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大学・研究所にある論文を検索できる 「Biomechanical Stability of a Cross-Rod Connection with a Pedicle Screw System」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Biomechanical Stability of a Cross-Rod Connection with a Pedicle Screw System

水野 哲太郎 三重大学

2020.06.09

概要

Introduction
 近年脊椎外科の技術の進歩により脊椎固定術の件数は増加しており、特に、pedicle screw(PS) systemを用いた脊椎インストウルメンテーション手術が多く施行されている。脊椎固定術の目的は不安定性のある椎間の安定化であるにも関わらず、PS systemを用いたインストウルメンテーションでは回旋での安定性が不十分であり、そのことによって、偽関節、PSのlooseningやインプラント損傷などの合併症は少なからず存在しており、見過ごせない問題である。

Objectives
 本研究では通常のPS systemを用いた脊椎固定術の際にロッドの連結方法を工夫することで、椎体間の固定性をより向上させる方法を検討することを目的とした。

Materials and Methods
 試験体には、獣害対策として狩獬され、食肉に供されたシカ屍体腰椎のFunctional spinal unit(FSU)を用いた。-30Όで冷凍保存された腰椎を自然解凍し、軟部組織である筋肉や脂肪などを除去した後に、その両端を歯科用レジンで治具に固定した。
 試験体のモデルとして1)何も処置を加えないIntact model(INT)、2)正常な腰椎の椎間板に椎間板前縁から1/4、1/2、3/4の位置に直径3mmのドリルで貫通した穴を開け、棘上靭帯と棘間靭帯を切離し、両側椎間関節を切除したDamaged model(DAM)、3)損傷モデルにPSを挿入し、その後にロッドをクロス型に連結しその交点をレジンで固定したCrossrod(fix) model(CR)、4)損傷モデルにPSを挿入しクロスリンクを設置したCrosslink model(CL)の4つを作成した。PSにはKISCO社製のSUIREN((p5.5X35mm)を用い、ロッドはチタン製で径5鵬のものを使用した。
 試験機には当研究室にて開発された6軸材料試験機を使用した。本研究では、各試験体に対して前後・左右・それらの中間の斜め45°方向への曲げ試験及び、左右への回旋試験を行った。各方向へ2回屈曲および回旋運動を行った。その際、曲げ試験では±3[Nm]、回旋試験では±5[Nm]のトルクを加え、角速度0.1[deg./s]で負荷した。上位椎体における最大トルク負荷時の角変位をROM(Range of motion)と定義し、この試験より得られた卜ルク-角変位曲線から各ROMを算出した。
 シカのFSU18体(L1/2:7体、L3/4:7体、L5/6:4体)を用いて曲げ試験、回旋試験を行いCRの固定性を評価した。統計にはFriedman検定とSteel-Dwass検定を用い、risk ratio<5%を統計学的有意差ありとした。

Results
 DAMはINTと比較し屈曲、回旋運動のROMが大きく、全方向で有意差を認めた。インプラントを使用したCL、CRはDAMと比較し屈曲、回旋運動でROMの減少を認め、全方向で有意差を認めた。
 CLとCRは屈曲運動でCRの方がややROMが大きいものの有意差があるのは右側屈のみであり、ほぼ同等のROMといえた。回旋運動ではCRの方がCLよりもROMが有意差をもって小さかった。
 INTとCLの比較では、屈曲運動ではROMが有意差をもってCLの方が小さく、回旋運動では有意差をもってINTの方が小さかった。一方、INTとCRの比較では、屈曲運動ではROMが有意差をもってCRの方が小さかったが、回旋運動では有意差を認めなかった。

Consideration
 脊椎インストゥルメンテーション手術では不安定性を持つ脊椎の安定化が求められているにも関わらず、PS systemは回旋に対する固定力が弱いことが知られている。Wahbaらは破裂骨折モデルを用いた実験を行いPS modelでは回旋運動の際のstiffnessがIntact modelに劣ると報告しており、Limらは椎間板終板切除モデルを用いて実験を行いPS modelの回旋はIntact modelよりも大きくなるとしている。我々のバイオメカニクスの実験でも、回旋運動の際に損傷モデルにPSを使用したとしても正常モデル程の安定性は得られないという結果であった。
 回旋での固定力の向上のために、クロスリンクシステムが開発され使用されている。しかし、Wahbaらはクロスリンクを2本使用しても回旋運動の際のStiffnessはIntact modelに劣るとも報告しておりクロスリンクの併用による脊椎の固定力が十分であるとは言えない。
 本研究では回旋運動に対する固定力向上のため使用されるクロスリンクを使用したCLと我々が新たに考案したCRを比較した。屈曲試験ではCRはCLと同等のROMであり、INTよりも小さかった。回旋試験ではCRはCLよりもROMが小さく、INTと同等であった。これらの結果からCRは屈曲運動においてCLと同等の固定性を有し、回旋運動に関してはINTと同等の固定性を有することが確認できた。
つまりこれらの結果から、CRは屈曲試験においてPS systemを用いた従来の固定法と同様の固定力を有し、回旋運動において従来の方法よりも強固でINTに匹敵する安定性を有するといえる。このように回旋運動に対しても強固な固定を可能とするCRのような固定の方法は、安定性をより確実に得られるという点で手術の目的に沿っている。今までにPS systemのロッドをクロスさせて連結した場合の強度を報告した論文は我々が検索する限りは見つからず、これを報告した初の論文といえる。
 今回の試験の制限として、シカの腰椎を使用していること、繰り返し試験を行っていないこと、隣接椎間への影響を調べていないことが挙げられる。我々は以前シカの腰椎の運動動態は人に近似しており、定性的な判断は鹿の腰椎でも可能なことを報告した。しかし、定量的な判断に関しては人の腰椎を使用した試験が必要であるため、今後は人の検体を用いた試験も必要と考えられる。

Conclusion
 CRのような形の固定法は屈曲運動の際にはPSを用いた固定と同等の安定性を有し、回旋運動の際には正常の脊椎と同等の安定性を有すると考えられる。

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