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大学・研究所にある論文を検索できる 「Osteoconductivity of bioactive Ti-6Al-4V implants with lattice-shaped interconnected large pores fabricated by electron beam melting」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Osteoconductivity of bioactive Ti-6Al-4V implants with lattice-shaped interconnected large pores fabricated by electron beam melting

後藤 幹伸 三重大学

2021.06.29

概要

Introduction(導入)
生体内に使用する金属製インプラントは様々存在する。近年レーザービーム溶解法や電子ビーム溶解法といった金属粉末からより複雑な造形物を作成する金属積層製造法(3Dプリンター)の技術が確立しつつある。また生体内に使用する金属製インプラントと骨との結合性を扁めるために様々な技術が発達してきた。また金属製インプラントはその形状よりもその多孔性が生体内での細胞結合性や血管新生、組織内殖に重要な役割を果たすと考えられている。

Background(背景)
外科医にとって荷重のかかる部位の巨大な骨欠損に対する再建術は困難である。例えば骨盤の悪性骨腫瘍に対する治療には広範囲な骨切除と再建術が必要である。今までいくつかの再建法が存在するが、人工物のインプラントのゆるみや脱臼、周囲の骨の骨折や感染など多くの合併症が存在するため、治療成績は良好とは言えない。理想的なインプラントの素材としては欠損部との形状適合性がよく、早期に周囲の骨と癒合すること、骨盤と同程度の強度、弾性を持つこと、生体への悪影器がないことなどが挙げられる。そこで今回3Dプリンター技術とアルカリ・塩化カルシウム・温水による生体活性化処理(NaOH, CaC12, Heat, and water treatment; ACaHW処理)技術に着目し新たなインプラントの作成、および臨床応用の可能性を検討した。

Objectives(目的)
本研究の目的は将来的には骨腫瘍切除後に生じる広範囲骨欠損部にインプラントとして使用することを目標に、金属表面に生体活性処理した直径5mm、長さ15mmの円柱状チタン合金製多孔体試験片を電子ビーム金属粉末積層造形法(EBM法)により新たに作成し、この生体材料が骨インプラントとしての臨床応用に使用できるかどうかを判断するために、生体適合性と機械的特性を評価することである。

Methods(方法)
Ti-6Al-4V粉末からEBM法にて直径5mm長さ15mmの円柱構造で、格子状に平均孔系0.75mmの連通孔を有する試験片を作成し、試験片の内部構造をmicro-CTを用いて評価した。また試験片の機械的特性を調べるためJIS1608を参照して圧縮試験を行った。また試験片をNaOH-CaC12溶液-1]□熱・温水処理(アルカリ塩化カルシウム加熱温水処理:ACaHW)による生体活性処理を行ったBioactive群(Bioactive group: BG)、未生体活性処理群をcontrol群(Control group: CG)とし、疑似体液に3日間浸して骨形成能を電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散型X線分析(EDX)で評価した。

またBG群およびCG群それぞれの試験片を家兎大腿骨顆部の左右にそれぞれランダムに埋入後4、8、12週で摘出し、各試験片につき2つの硬組織切片標本を作成し、Villanueva Goldner stainを行い、試験片中心部への骨進入度、骨と金属との骨親和度(Affinity index)を測定し、その結果をMann Whitney-Uテストで統計処理し、両群間の骨伝溝能を比較検討した。

摘出後の試験片の表面観察のためSEMでの観察およびエネルギー分散型X線分析(EDX)を行った。骨結合能評価のため同一素材(Ti-6Al-4V)製の表面平滑な円柱を作成しBG群およびCG群に分け、同様に家兎大腿骨顆部に埋入し4週、12週で摘出し、押し出し試験を行った。また押し出し試験後の試験片に対しても表面の骨結合能評価にSEM-EDX評価も行った。

Results(結果)
SEMとmicro-CTでEBM製試験片がデザインどおりに作成されていることおよび3次元的連通孔を有していることを確認した。平均多孔率は57.5%であり、機械的特性として最大荷重負荷は78.9MPaでYoung率3.57GPaとヒト皮質骨と同程度の強度および弾性係数を有していた。疑似体液に浸した試験片ではSEM-EDXにてBGで表面にアパタイト形成および骨の構成元素であるCa、Pの存在を確認した。

組織学的検査ではBG4週で摘出した例から線維組織介入なしに直接金属表面と骨とが結合している像が認められ、8週、12週例でも同様であった。BGにおいてSEMにて表面のアパタイト像も確認されEDXでも金属表面にCa、Pの存在が認められた。Affinity indexはBGで4週、8週、12週=27.7土5.3、21.4土5.8、31.7土9.4(%)、CGで10.1士2.7、10.9士7.3、16.4士7.7(%)でありBGはCGと比較して有意に高い結果(p<0.01)であった。一方骨侵入度はBGとCGに有意差は見られなかった。また押し出し試験で平均peal loadは4週例でBG:CG=320.4士54.9:77.0土16.0(N)、12週例で324.9土53.1:283.4土33.7(N)と4週で有意にBGで高い結果であった。

また押し出し試験後の試験片表面にもSEM-EDXにてBGで骨組織の残存が確認された。

Discussion(考察)
最近の報告では孔の大きさは6001-1111程度が骨形成に適していると言われている。一方で3次元プリント技術を用いて小さな孔を持つ金属性インプラントを作成することは未だ困難であり、特にEBM法で作成する場合、小さな孔では金属粉末の残存、熱による目詰まりが問題となる。本実験結果より880-1400pmと比較的大きな連通孔を持つ金属製インプラントをEBM法で作成し、micro-CTおよびSEMで内部に金属粉末の残存なく、計画どおりの連通孔を持たせることを確認した。

機械的特性としても、一般にヒト皮質骨の平均ヤング率は3~20GPa程度、ヒト皮質骨の最大荷重量はlOOMPa程度との報告があり、本実験結果から本インプラントのヤング率3.57GPa、最大荷重量は平均78.9MPaと強度、弾性度からも荷重部で使用する金属製インプラントとして対応しうる素材となりうることが確認された。

また一般に人工関節や歯科用インプラントにおいて短期間に金属と骨が自然に化学的に接合することは期待できない。金属表面と骨との結合性を高める方法としては表面を多孔構造にするファイバーメッシュコーティング法やハイドロキシアパタイトプラズマスプレー法などがあるが、これらの方法はインプラントの外表面にのみ有効であり、今回使用したACaHW処理は比較的簡便でインプラント内部の表面まで処理可能のため優位性があると考えられた。

Affinity indexは早期(4週)から有意に処理あり群で高い結果で、また時間経過とともに増加が認められた。この結果からACaHW処理によりEBM法で作成した金属(Ti-6Al-4V)でも早期に骨とインプラントとの結合性が高まることも確認された。一方Boneing row thareaではどの期間でも有意差は見られず、また時間経過で減少していた。理由として今回のインプラントの連通孔が大きすぎるため辺縁から中央への骨伝導性が少ないことや、インプラント周囲のstress-shieldingの影響が考えられた。すなわち生体活性処置により早期に辺縁部でインプラントと骨との結合性が高まったため、荷重がインプラント部にかかり周囲のstress-shieldingを引き起こしたものと推察された。

押し出し試験結果から生体埋め込み後に、力学的にもACaHW処理群は骨との強い結合力があることが示された。また押し出し試験後のインプラント表面をSEM-EDXで調べるとACaHW処理群で骨が金属表面に多く残存していることが確認され、早期から強固に骨と金属が結合していることが示唆された。

Conclusion(結論)
EBMで作製した連通孔を持つACaHW処理されたチタン合金製インプラントは従来の医療用材料に代わる優れた代替材料であることを示唆している。

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