大学病院本院群の機能評価係数Ⅱに影響を及ぼす診療行為と主要診断群分類について東京慈恵会医科大学附属病院を例として (第137回成医会総会一般演題)
概要
【目的】
DPC 制度の機能評価係数Ⅱ(係数Ⅱ)は,毎年施設毎に設定され,係数が大きいほど診療報酬が高くなる.東京慈恵会医科大学附属病院(本院)の係数Ⅱは,大学病院本院群82施設において,2018年と2019年は80位,2020年は81位(0.0664)と低迷している.よって今回は,DPC 調査結果を用い,本院の特徴を検討したので報告する.
【方法】
2018年の調査より,調査項目として 「DPC算定病床数」(病床数),「在院日数」,「紹介率」,「救急車搬送数」,「救急入院数」,「手術数」,「化学療法数」,「放射線療法数」,「全麻数」,及びMDC18疾患の比率(MDC 比率)を用い,相関分析,重回帰分析,クラスター分析,主成分分析で検討した.
【結果】
①係数Ⅱに対し,救急車搬送数,全麻数,手術数,化学療法数,病床数,外傷は正相関,眼科と耳鼻科は負相関を認めた.②重回帰分析では,救急車搬送数,外傷,放射線療法数,紹介率は正の影響,小児,救急入院数,眼科,耳鼻科は負の影響を与えた.③調査項目のクラスター分析により,82施設をA, B, C に群別した.係数Ⅱは,A とC は差を認めずB は低かった.本院が属するC は,病床数最大,在院日数最短,紹介率最低,救急車搬送・救急入院数及び手術・全麻数は最多であった.一方A は,紹介率は最高,化学療法・放射線療法数は最多であった.④MDC 比率のクラスター分析ではⅠ~Ⅵに群別した.係数Ⅱは群間で差を認めないが,本院が属するⅡは,眼,呼吸器,循環器,外傷が少なく,筋骨格が多かった.⑤主成分分析では,本院は主成分1 「手術・全麻-救急医療」 度は高いが,主成分2 「放射線・化学療法-紹介」 度は中程度であり,また主成分1 「産婦-筋骨格-新生児」 度は中程度,主成分2「神経-新生児-乳房-循環器」度は低かった.そして 「手術・全麻-救急医療」度の主成分得点と 「神経-新生児-乳房-循環器」度の主成分得点が係数Ⅱと正相関を認めた.
【結語】
本院は,紹介率と化学療法・放射線療法が多い群ではなく,救急医療と手術・全麻が多い群であり,MDC 比率では,係数Ⅱを減らす疾患比率が認められた.