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書き出し

GATA6とCK5の免疫組織化学的発現表現型が術前化学療法後切除膵癌の予後を層別化する

國米, 崇 東北大学

2023.03.24

概要

博士論文

GATA6 と CK5 の免疫組織化学的発現表現
型が術前化学療法後切除膵癌の予後を
層別化する

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻
外科病態学講座 消化器外科学分野
國米 崇

1

目次

略語

3p.

第Ⅰ章

要約

5p.

第Ⅱ章

研究背景

7p.

第Ⅲ章

研究目的

10p.

第Ⅳ章

研究方法

11p.

第Ⅴ章

研究結果

16p.

第Ⅵ章

考察

27p.

第Ⅶ章

結論

33p.

第Ⅷ章

謝辞

34p.

第Ⅸ章

参考文献

35p.

第Ⅹ章

表と図

45p.

2

略語

BR,切除可能境界/borderline resectable
CAP, College of American Pathologists
CT, computed tomography
95% CI, 95% confidential interval
DFS, 無病生存期間/disease-free survival
EMT, 上皮間葉転換/epithelial-mesenchymal transition
EUS-FNA, 内視鏡的超音波ガイド下穿刺/endoscopic ultrasound guided fineneedle aspiration
FFPE, ホ ル マ リ ン 固 定 ・ パ ラ フ ィ ン 包 埋 /formalin-fixed and paraffinembedded
GnP, gemcitabine plus albumin-bound paclitaxel
GS, gemcitabine plus S1
HE, hematoxylin and eosin
HR, hazard ratio
IHC, 免疫組織化学組織染色/immunohistochemistry
LCM, laser capture microdissection
MET, 間葉上皮転換/mesenchymal-epithelial transition
FFX, 5-fluorouracil, leucovorin, irinotecan, and oxaliplatin
NAC, 術前化学療法/neoadjuvant chemotherapy
NCCN, National Comprehensive Cancer Network
3

OS, 全生存期間/overall survival
PC, pancreatic cancer
PDO, 患者由来オルガノイド/patient-derived organoids
R, 切除可能/resectable
R1, microscopically residual tumor
RNA-seq, RNA-sequence
TBS, トリス塩酸緩衝液/tris buffered saline
UICC, Union for International Cancer Control
UR, 切除不能/unresectable
WHO, World Health Organization

4

第Ⅰ章

要約

背景:近年、RNA signature に基づいて、膵癌を classical type と basallike type に分類し、basal-like type は modified FOLFIRINOX 療法に対して
抵抗性を有し、予後不良であることが報告されている。classical type の有用
なバイオマーカーとして GATA6 があり、免疫組織化学染色(IHC)で代用可能で
あることが報告されている。basal-like type のバイオマーカーの候補として
CK5 や vimentin があり、IHC で代用可能である可能性が示唆されているが、治
療効果や予後との関連は未だ不明である。
目的:術前に化学療法(NAC)を施行し、切除を行った膵癌において GATA6、
CK5、vimentin を用いて、IHC 表現型分類を確立し、膵癌の予後や化学療法の
効果予測に応用することを目的とした。
方法:2010 年 1 月から 2020 年 3 月までに東北大学病院総合外科で NAC 後に膵
切除術を施行した膵癌 159 例、対応する NAC 前の内視鏡的超音波ガイド下穿刺
検体 120 例、外科的に切除した異時性肺転移 3 例を対象とし、GATA6、CK5、
vimentin の IHC を施行した。GATA6、CK5 は QuPath ver. 0.3.0 を用いて、
vimentin は顕微鏡下に染色強度を評価し、腫瘍陽性細胞率を算出した。
GATA6、CK5, vimentin の発現強度閾値は Cox 比例ハザードモデルによる予後解
析から求めた。KRAS 変異はデジタル PCR で評価した。
結果:GATA6 発現閾値は 50%に定められ(GATA6-high;≧ 50%, n = 67 vs.
GATA6-low; < 50%, n = 92)、さらに各 GATA6 発現強度群中での CK5 発現閾値
は GATA6-high 群で 10%、GATA6-low 群で 30%に定められた。この GATA6, CK5
5

発現強度閾値により解析症例は以下の 4 群、すなわち、classical type
(GATA6-high/CK5-low; n = 22)、hybrid type (GATA6-high/CK5-high; n =
45)、basal-like type (GATA6-low/CK5-high; n = 53)、null type (GATA6low/CK5-low; n = 39)に分類された。この分類により、患者の予後は良好に層
別化され、classical type は最も予後良好で、null type は最も予後不良であ
った (overall survival (OS); multivariate hazard ratio (mHR) 2.81, 95%
confidential interval (CI) 1.35−5.86, p < 0.01, disease free survival;
mHR 1.97, 1.07−3.62, p < 0.01)。hybrid type と basal-like type はその中
間であった。NAC 前膵癌における vimentin-high (≧ 10%, n = 30)は
vimentin-low (< 10%, n = 90)に比べて有意に予後不良であった(median OS:
31.8 vs. 49.9 months: p = 0.03)。NAC 前後の表現型の変化について検討する
と、73/120 (61%)の症例で表現型の変化を認めた。NAC 効果 CAP grade ごとに
検討すると、grade 2/3 では有意に予後不良な表現型に変化していた(p =
0.0497)。KRAS 変異と IHC 表現型に関連は認めなかった。
結語: NAC 後切除膵癌においてその予後を明瞭に層別化する GATA6 と CK5 の
IHC による表現型分類、及び、vimentin 発現の臨床病理学的意義を明らかにし
た。この IHC 表現型分類は NAC 後切除膵癌において化学療法の前後と腫瘍の進
行により変遷を来す腫瘍の指標として有用であった。IHC 表現型を迅速に評価
することは、NAC 後切除膵癌患者の的確な治療戦略の構築に貢献する可能性が
ある。

6

第Ⅱ章

研究背景

膵癌は、5 年生存率が 10%未満であり消化器癌の中では最も予後不良な疾患の
一つであり 1)、発症数、死亡数とも年々増加傾向にある。2019 年の統計では、
本邦における膵癌の死亡数は男女合わせて 36,356 例であり、全癌の中では 4
番目に多く、死亡率は 10 万人当たり 30.1 と全癌の中でも 3 番目に多い疾患と
なっている 2)。
膵癌の治療は、Gemcitabine+albumin-bound paclitaxel(GnP)、5fluorouracil, leucovorin, irinotecan, and oxaliplatin (FFX)などの化学
療法レジメンが臨床試験で有効性を示している 3-5)ものの、現時点においても
膵癌の唯一の根治法は外科的完全切除である。NCCN ガイドラインでは、膵癌を
切除可能性に応じて切除可能/Resectable (R)、切除可能境界/Borderline
resectable (BR)、切除不能/Unresectable (UR)の 3 つに分類している 6)。膵癌
に対する化学療法や放射線療法の進歩により、UR 膵癌と診断された症例に対し
て化学放射線療法後に切除可能となって切除(コンバージョン切除)できた例
は非切除例より予後はよく 7-9)、また、BR 膵癌に対する術前治療は標準治療と
なっている 10, 11)。さらに、近年では R 膵癌に対する Gemcitabine+S1 (GS)ま
たは modified FFX を用いた術前化学療法/Neoadjuvant chemotherapy(NAC)
が非 NAC 手術先行よりも良好な予後を示すとする多施設共同研究が複数報告さ
れ 12-15)、膵癌に対する術前治療は広く一般的となりつつある。
膵癌の治療効果や予後と関連する表現型分類を見出すことは、効果的な癌治
療に直結すると考えられるが、膵癌では、RNA シグネチャーに基づく表現型分
7

類が盛んに提唱されている 16-20)。Moffitt らは、laser-capture
microdissection (LCM)と non-negative matrix factorization を用いて膵癌
特有の高度の間質細胞浸潤による影響を排除し 21)、RNA シグネチャーに基づく
二つの表現型分類、classical type と basal-like type を提案し、basal-like
type は modified FFX に抵抗性で予後不良であることを明らかにした 20, 22)。
GATA6 は (A/T/C)GAT(A/T)(A) 配列を認識し、そのジンクフィンガー領域を
通じて他の転写調節因子と相互作用する 23, 24)。正常な膵臓の発生に必要な転写
因子である GATA6 の発現消失は EMT や播種を促進させると考えられており 25)、
予後良好な classical type のバイオマーカーとして、免疫組織化学染色
/Immunohistochemistry (IHC)で代用可能であることが報告されている 22, 24, 26,
27)



CK5 は重層上皮、移行上皮、混合腺、中皮細胞に発現する分子量 58kD の塩基
性サイトケラチンで上皮細胞の全体的な構造的統合性を維持する機能を有して
いる 28)。CK5 陽性細胞は、肺や顎下腺において幹細胞としての役割を果たし、
再生を促進することが実証されている 29)。正常な膵臓や腺癌細胞では発現を認
めず、膵癌では EMT のバイオマーカーとして用いられることがある。そして、
CK5 が GATA6 と負の相関にあり、basal-like type を識別できる可能性が報告
されている

26, 30)

。また、広範な間葉系細胞に発現する vimentin は 31)、分化度

の低下し進行した一部の膵癌で観察され、CK5 と同様に basal-like type を識
別できる可能性があるが、CK5 や vimentin の発現が膵癌の治療効果や予後と関
連するかは未だ不明である 26, 30)。
8

RNA sequence (RNA-seq)解析による表現型分類は、化学療法の効果や予後と
関連することが数多く報告され、既に確立した概念となっているが、実際の臨
床応用には未だ至っていない。表現型分類を広く臨床応用するためには、短時
間、低コストに多くの施設で実施可能な IHC による表現型分類の確立が必要で
ある。IHC は様々な分野で臨床応用され、治療適応の決定に関わっているが、
その主観的な評価は、腫瘍全体の染色強度やその比率を再現性よく評価するた
めの障害となり得る。近年のデジタルパソロジーと画像解析の進歩により、
IHC のスコアリングのためのデジタル解析支援は、IHC によるバイオマーカー
評価能を向上させる可能性がある 27, 32, 33)。

9

第Ⅲ章

研究目的

本研究は、GATA6、CK5、vimentin を用いて、IHC 表現型分類を確立し、膵癌の
予後や化学療法の効果予測に応用することを目的とした。

10

第Ⅳ章

研究方法

対象

東北大学病院において 2010 年 1 月から 2020 年 3 月までに NAC 後に手術加療
が施行された膵癌 224 例を対象とした (Figure 1)。術前放射線療法を受けた
57 例と標本がない 8 例は除外し、最終的に、NAC を受けた 159 人の膵癌患者が
本研究に登録された。159 人の NAC 後の膵切除検体、120 人の NAC 前の内視鏡
的超音波ガイド下穿刺/ endoscopic ultrasound guided fine-needle
aspiration(EUS-FNA)検体、3 人の外科的に切除された異時性肺転移について
検討した。本研究は東北大学大学院医学系研究科倫理委員会において承認され
た(承認番号:2022-1-309)。

周術期管理

このコホートでは、GS または GnP が主要な術前化学療法レジメンであった
(Table 1)。NAC の効果は、NAC 前の CT 検査と最終投与から数週間後に施行し
た CT 検査を用いて Response Evaluation Criteria in Solid Tumors (RECIST)
によって評価した。全例で NAC 前、もしくは手術前に審査腹腔鏡を施行し、非
切除因子 (腹腔洗浄細胞診陽性、腹膜播種、肝転移)がないことを確認した。
審査腹腔鏡で非切除因子を認めた際には全身化学療法を継続して行い、非切除
因子の陰転化を確認してから根治的な膵切除術 (コンバージョン手術)へ移行
した。術後は、補助化学療法として gemcitabine または S1 を半年間投与し
た。
11

組織学的解析

切除標本のホルマリン固定・パラフィン包埋/ formalin-fixed and paraffinembedded(FFPE)組織の hematoxylin and eosin (HE)染色を用いて行った。組
織学的評価は,Union for International Cancer Control (UICC) 8th TNM 分
類、および消化器系腫瘍の World Health Organization (WHO)分類に従って,
膵臓病理学に精通した 2 名の病理医により行われた。化学療法の効果は、
College of American Pathologists (CAP) grade に従って、CAP grade1 は軽
度の効果あるいは無効(癌の推定残存率が 50%以上)、grade2 は中等度の効果
(癌の推定残存率が 10%以上かつ 50%未満)、grade3 は高度の効果 (癌の推定残
存率が 10%未満)と評価した 34, 35)。

IHC 解析

IHC には、それぞれの腫瘍最大割面に該当する FFPE 組織の 4μm 厚切片を用い
た。組織サンプルはキシレンで脱パラフィンし、段階的にエタノール系列で水
和した。切片を以下に示す pH 液に浸漬し 120℃、10 分間オートクレーブ処理
して抗原を賦活化した。次に、組織切片は 3%過酸化水素を滴下した 85%メタ
ノール溶液に室温で 20 分間保持し内因性ペルオキシダーゼをブロックした。
トリス塩酸緩衝液/tris buffered saline (TBS)で洗浄後、以下に示す一次抗
体と共に 4℃で一晩インキュベートした: 抗 GATA6 抗体 (AF1700, pH9, 1:250;
R&D Systems, MN, USA)、抗 CK5 抗体 (RCK103, pH9, 1:50; Santa Cruz
12

Biotechnology Inc., Santa Cruz, CA, USA)、抗 vimentin 抗体 (V9, pH9,
1:100; Santa Cruz Biotechnology Inc.)、抗 SMAD4 抗体 (B-8, pH9, 1:100;
Santa Cruz Biotechnology Inc.)、抗 MUC1 抗体 (Ma695, pH6, 1:5; Leica
Biosystems, Newcastle, UK)、抗 MUC5AC 抗体 (CLH2, pH6, 1:200; Santa
Cruz Biotechnology Inc.)、抗 MUC6 抗体 (CLH2, pH6, 1:200; Santa Cruz
Biotechnology Inc.)。TBS による洗浄後、切片を二次抗体を含む Histofine
Simple Stain MAX-PO(Nichirei Biosciences, Tokyo, Japan)と共に室温で
35 分間インキュベートした。3.3' diaminobenzidine (DAB and Substrate
Chromogen System, Dako, Glostrup, Denmark)を用いて発色反応を行い、
hematoxylin による核染色を行った。

GATA6、CK5、vimentin のタンパク発現量のスコアリング

GATA6, CK5 の IHC のスライド全体デジタル画像を NanoZoomer S360
(Hamamatsu Photonics, Hamamatsu, Japan) を用いて 40 倍率で取得した。
GATA6 と CK5 の IHC 発現レベルを、0 (陰性)、1+ (弱陽性)、2+ (陽性)、3+
(強陽性)の 4 段階で、デジタル画像解析ソフト QuPath (ver 0.3.0)

27, 32, 33)



陽性細胞検出アルゴリズムにより病理医の検証のもと評価した (Figure 2)
27)

。 GATA6 では、正常腺房の染色強度を 2+とし、GATA6、CK5 は既報を参照し

2+、3+を陽性細胞として腫瘍陽性細胞率を算出した 26, 27)。Vimentin の IHC 発
現レベルは、0、1+、2+、3+をマニュアルで評価し、既報を参照し 1+、2+、3+
を陽性細胞として腫瘍陽性細胞率を算出した(Figure 3)30)。
13

MUC1、MUC5AC、MUC6、SMAD4 のタンパク発現量のスコアリング

MUC1、MUC5AC、MUC6 は腫瘍陽性細胞率を、0%、1-10%、11-50%、51-100%
の 4 段階に分類し、11-100%を陽性とした (Figure 4)。MUC1、MUC5AC、MUC6
の発現により分類した Mucin 表現型/Mucin subtypes は、MUC1+/MUC5AC-/MUC6を膵胆道型/pancreatobiliary subtype、MUC1+/MUC5AC+/MUC6+を混合型/mixed
subtype、MUC1-/MUC5AC+/MUC6+を胃型/gastric subtype、MUC1-/MUC5AC/MUC6-を無形質型/null subtype とした (Figure 5A)。SMAD4 の発現減弱、消
失を異常と評価した (Figure 5B)。

Droplet digital PCR による KRAS 変異解析

159 症例の NAC 後膵切除検体において、腫瘍最大割面の FFPE 組織を 10μm の
厚さで切開し、腫瘍組織をマクロダイセクションした。ゲノム DNA は GeneRead
DNA FFPE Kit (Qiagen, Hilden, Germany)を用いて、製造元のプロトコルに従
い抽出した。KRAS コドン 12,13,61 変異は、先の報告に従って、droplet
digital PCR(QX200 Droplet Digital PCR System,Bio-Rad,Hercules,CA,
USA) を用いて解析した (Maeda et al. in submission)。

統計解析

GATA6、CK5、vimentin の腫瘍陽性細胞率の最適な閾値は、Cox 比例ハザードモ
デルを用いて解析した。無病生存期間/disease-free survival(DFS)は、手
14

術から膵癌が再発するまでの期間と定義した。追跡終了時に再発がなく生存し
ていた患者、および再発の状況が明確に記録されずに死亡した患者は、最後の
臨床連絡があった日に打ち切りとした。全生存期間/overall survival(OS)
は、NAC 開始日から死亡までの期間と定義した。観察期間は 2021 年 12 月 31 日
まで、フォローアップ期間中央値は 31.5 ヶ月であった。生存曲線は KaplanMeier 法で推定し、Wilcoxon 検定で比較した。単変量および多変量解析は、
Cox 比例ハザード回帰モデルを用いて行った。多変量解析の因子は単変量解析
で統計学的有意差のあったものと単変量解析のハザード比を参照して選択し
た。カテゴリー変数の比較には Ҳ2 検定を、連続変数の評価には Mann-Whitney
U-検定を用いた。すべての統計解析は,JMP Pro 16.2.0(SAS Institute
Inc., Cary,NC, USA)および Prism 9.3.1(GraphPad, San Diego,CA, USA)
を用いて行い、P 値が 0.05 未満である場合を統計学的有意差ありとした。

15

第Ⅴ章

研究結果

1. NAC 後切除膵癌において GATA6 低発現(GATA6 < 50%)は予後不良と関連す


159 例の臨床病理学的情報を収集した (Table 1)。159 例の NAC 後膵癌につい
て、IHC での GATA6、CK5、vimentin の発現を QuPath で半定量的に評価した。
NAC 後膵癌の 1 例あたりの評価腫瘍細胞数は中央値 28,070(69-571,865)であ
った。
GATA6 の発現強度閾値は Cox 比例ハザードモデル、ROC 曲線から 50%に定めら
れ(Figure 6A-C)、それにより GATA6 低発現群(GATA6-low ; GATA6 < 50%, n =
92)、GATA6 高発現群(GATA6-high; GATA6 ≧ 50%, n = 67)に分けた時、
GATA6-low は GATA6-high に比べて有意に予後不良であった (median OS (mOS):
31.8 vs. 49.9 months, p = 0.03, Figure 6D; median DFS (mDFS): 12.2 vs.
21.8 months, p = 0.02, Figure 6E)。
GATA6-low の患者は、臨床学的には診断時の CT で腫瘍が有意に大きく (p =
0.02)、術式では膵全摘術の割合が高かった (p = 0.02)。 ...

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