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大学・研究所にある論文を検索できる 「Motor Imagery Training with Neurofeedback from the Frontal Pole Facilitated Sensorimotor Cortical Activity and Improved Hand Dexterity」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Motor Imagery Training with Neurofeedback from the Frontal Pole Facilitated Sensorimotor Cortical Activity and Improved Hand Dexterity

大田 裕也 富山大学

2020.03.24

概要

〔目的〕
脳卒中、パーキンソン病ならびにアルツハイマー病など運動リハビリテーションを必要とする中枢神経疾患患者は、過去 25 年間増加し続けており、今後も増加し続けることが示唆されている。これらの患者では、特に上肢や手指の巧緻性運動が障害され、日常生活動作(ADL)の障害により生活の質(QOL)が障害されるため、効果的な上肢の巧緻性運動のリハビリテーション法の開発が望まれている。

運動リハビリテーションでは、繰り返し運動学習を行うことにより、運動技能に関与する神経回路を変化させて機能不全に陥った運動機能を改善させることが可能である。特に上肢の巧緻性運動の技能学習では、第一次運動野に関連した神経回路が重要な役割を果たしていることが示唆されている。ニューロフィードバックは、対象者自身の脳活動の情報を対象者に提示して特定の行動や脳機能に関わる脳領野の活動を誘起させる方法であり、近年リハビリテーション分野での応用が始まっている。一方、我々の以前の研究により、手指の巧緻性運動の技能学習では、1)前頭葉最前部の前頭極の活動が増大し、前頭極活動と技能学習に有意な関連が認められる、および 2)健常者およびパーキンソン病患者において、前頭極への経頭蓋直流電気刺激(tDCS)により,手指の巧緻性運動能力が増大したことが明らかにされている。本研究では、前頭極のニューロフィードバック訓練法を開発するため、健常人を用いて同方法が、手指の巧緻性運動や第一次運動野の脳血行動態に与える影響を検討した。

〔方法並びに成績〕
右利き健常成人 31 名を用いた。被験者を真フィードバック群(n=16)と偽フィードバック群(n=15)に分け、被験者の頭部に脳血行動態を測定する近赤外分光法(fNIRS)測定用ヘッドキャップおよび送光/受光プローブを装着後、1)右手指でペグ棒をつまんで穴に入れる課題(ペグ課題)による手指の巧緻性運動能力の測定(訓練前巧緻性運動能力測定)、2)運動想起訓練(2 週間に 6 回実施)、および 3)ペグ課題による訓練後巧緻性運動能力測定を実施した。運動想起訓練では,i)ペグ課題のビデオを見ながら同動作をイメージする訓練(ビデオ誘導運動想起訓練)、および ii)前方スクリーンに前頭極の活動を提示し、右手指でのペグ課題動作を想起しながら自身の前頭極の活動を増大させる訓練(運動想起誘導ニューロフィードバック訓練)を行なった。運動想起誘導ニューロフィードバック訓練では,真フィードバック群には、被験者自身の前頭極活動を,偽フィードバック群には,被験者自身の脳活動と関連のない偽りの活動をスクリーンに提示した。

課題中の脳活動は、fNIRS により脳血行動態(oxy-Hb、deoxy-Hb、total-Hb 濃度)を計測し、SPM(statistical parametric mapping)解析を行った。訓練の効果は、1)ペグ課題における訓練前後の移動本数の比(訓練後/訓練前, 巧緻性改善率)、および 2)訓練中の前頭極活動の改善率(訓練第 6 日目/訓練第一日目, 活動改善率)およびペグ課題における訓練前後の脳活動の比(訓練後/訓練前, 活動改善率)により解析した。

その結果、真フィードバック群では偽フィードバック群に比べ、訓練中の前頭極の脳活動、および手指の巧緻性改善率が有意に高かった。また訓練中の前頭極における活動改善率は、手指の巧緻性改善率と有意な正相関を示した。訓練後のペグ課題遂行中は,真フィードバック群では左側感覚運動野(運動前野,一次運動野,一次体性感覚野)において,偽フィードバック群では補足運動野で脳活動が増大した。これら左感覚運動野の脳活動は,訓練第 5 および 6 日目の前頭極の脳活動と有意な正相関を示した。さらに、左側一次運動野の手領域の活動改善率は,手指の巧緻性改善率と有意な正相関を示した。

〔総括〕
前頭極活動に基づくニューロフィードバック訓練により、1)訓練中の前頭極活動、2)訓練後の感覚運動野の活動、および 3)手指の巧緻性が増大した。さらに、1)訓練中の前頭極の脳活動は、訓練後の左側感覚運動野の活動と、2)訓練中の前頭極の活動改善率は手指の巧緻性改善率と、および 3)左側一次運動野の手領域の活動改善率は手指の巧緻性改善率と正相関を示した。一方、これまでの研究により、1)前頭極は新規課題の学習に関与する、および 2)前頭極を含む前頭前野は、運動前野やドパミン性投射を介して運動野の興奮性を高めることが示唆されている。これらの結果より、同訓練は、前頭極が感覚運動野の活動を促進することにより運動技能学習を促進させて手指の巧緻性を改善したことが示唆された。以上から、本方法では実際の運動を行うことなく、運動機能障害を呈する中枢神経疾患患者の上肢運動機能のリハビリテーションに有用である可能性が期待された。

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