書き出し
The impact of human gut microbiota on the response to neoadjuvant chemotherapy for locally advanced esophageal squamous cell carcinoma : A single center prospective study
概要
[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 淺岡 礼人
本研究は進行食道癌に対する術前化学療法の治療効果を予測するバイオマーカーとして
腸内細菌叢に着目し、化学療法への感受性と腸内細菌叢の関連をメタゲノム解析によって
明らかにすることを試みたものであり、下記の結果が得られている。
1. 化学療法の奏効群と非奏効群の間では種の多様性(α多様性)
、細菌構成(β多様
性)に統計学的有意差を認めなかった。
2. 両群をそれぞれ特徴づける菌を検索したところ、奏効群では Paraprevotellaceae
科、Paraprevotella 属と Phascolarctobacterium 属が有意に豊富であり、非奏効群で
は Turicibacter 属と Oscillospira 属が有意に豊富であった。
3. 化学療法開始前から手術前にかけて経時的に細菌構成が変化したが一貫性は認められ
なかった。
以上、本論文は術前化学療法をうける食道癌患者において、奏効群と非奏効群では複数の
腸内細菌に違いがあることを明らかにし、腸内細菌と化学療法の効果に関連がある可能性
を示した。癌患者における腸内細菌叢の違いは、治療効果を予測するバイオマーカー、あ
るいは新たな治療のターゲットとして有効である可能性があり、今後の癌治療において重
要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医 学 )の学位請求論文として合格と認められる。