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大学・研究所にある論文を検索できる 「Peri-operative monocyte count is a marker of poor prognosis in gastric cancer: increased monocytes are a characteristic of myeloid-derived suppressor cells」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Peri-operative monocyte count is a marker of poor prognosis in gastric cancer: increased monocytes are a characteristic of myeloid-derived suppressor cells

浦川, 真哉 大阪大学

2021.10.31

概要

〔目 的(Purpose)〕
 胃癌は外科的治療後も再発率が高く非常に予後不良ながん種である。本邦では、外科的切除可能な進行胃癌症例に対して、TS-1単剤の術後補助化学療法が標準治療とされ、多剤併用の術前・術後補助化学療法も臨床試験として実施されてはいるが、明らかな成績改善を認めていない。再発を予測し、さらには治療標的となりうる新規マーカーの同定が喫緊の課題である。近年の抗PD-1抗体をはじめとする免疫抑制機構阻害剤の成功は、抗腫瘍免疫に対する抑制因子の重要性を示している。抑制因子の種類としては、制御性T細胞などのリンパ球系細胞以外に、骨髄系免疫細胞の中ではCD14+である腫瘍関連マクロファージ{tumor associated macrophage: ΤΑΜ)および骨髄由來抑制細胞(myeloid-derived suppressor cell: MDSC)とCD15+である好中球が知られている。マウスにおいては手術のストレスが末梢血中MDSCを増加させ、抗腫瘍免疫を抑制することで腫瘍の進行を促進すると報告されている。今回、我々は胃癌切除症例より周術期に末梢血を採取し、骨髄系免疫細胞を解析し、その機能的および臨床的意義を検討した。

〔方法ならびに成績(Methods/Results))
 (1) 2007年から2014年に根治切除を行ったpStage2-3胃癌症例278例の一般血液検査から骨髄系免疫細胞である好中球数および単球数と予後との関連性を後ろ向きに検討した。
 単球数は、術前422±144/μL(中央値40l/μL)を示し、中央値で区切った場合、多い群は少ない群に比して予後良好であった(p=0.019)。術後は645±281/μL(590/μL)と増加傾向にあり、術前に比して術後に増加した単球数(223±256.176)が多い群では低い群に比して予後不良であった(p=0.035)。好中球数と予後との関連性は認めなかった。そこで術後に増加する単球に着目することとした。
 (2) 2016年から2017年までに根治切除を行った胃癌75症例より末梢血を経時的に採取した。
 CD14+細胞、M-MDSC(CD14+CD11b+CD33+HLA-DR-)、CD15+細胞、Tregなどの頻度をフローサイトメトリーを用い解析し、臨床病理学的因子との関連性を検討したところ、一般血液検査値から算出したM-MDSCの絶対数は、術前ではpStageが進行するほど多いのに対して、健常人ではほぼ0であった。術後は1日目あるいは3日目にかけ急激に上昇し、ピークを示したことから、術後に増加するM-HDSCの絶対数を算出したところ、一般血液検査値より算出した術後増加単球数と正の相関(p<0.0001, r2=0.57, Y=12.7+1.1X)を示したことより、同一の細胞群を示していることが強く示唆された。一方で、制御性T細胞は変動を示さなかった。
 次いで、術前-術後の末梢血からCD15+、CD14+、M-MDSC各細胞群を精製し、CD8+T細胞のIFN-g分泌に対する抑制能およびindoleamine-pyrrole 2, 3-dioxygenas(IDO)・arginase(Arg)産生能を解析した。術後において、CD14+細胞は、CD15+細胞に比して、強い抑制能を示した。CD14+の中でも、M-MDSCはさらに強い抑制能を示し、さらには強いIDO・Arg産生能を有していた。
 (3) (2)の結果より、術後に増加した単球は強い免疫抑制能を持つM-MDSCである可能性があることから、(1)の症例を用い、単球数の変化を含む臨床病理学的因子により予後因子となりうるか多変量解析を行ったところ、pT因子、ρΝ因子、術後合併症とともに、術前単球数(HR 0.66; 95% CI0.45-0.99)や術後増加単球数(HR 1.48: 95% CI 1.01-2.19)は独立した予後規定因子であった。

〔総 括(Conclusion)〕
 周術期における単球数の測定は、胃癌予後を予測するために非常に重要である。特に術後に増加する単球数は、抑制性免疫細胞であるM-MDSCと同一の細胞群である可能性が高く、抗腫瘍免疫にとって負に作用することにより、予後に関与する因子となりうることが示唆された。MDSCはがん転移環境の整備・構築に関与するとの報告もあり、術後急性期に増加するMDSCは、直接的に腫瘍免疫を抑制することに加えて、様々な機序により、再発に関与していると考えられた。術後に増加するM-MDSCを標的とした治療は、胃癌予後の改善につながる可能性があることが示唆される。

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