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大学・研究所にある論文を検索できる 「Studies on Syntheses and Properties of Metal-Organic Framework-Based Hybrid Materials via Metal Mixing and Thermal Treatment」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Studies on Syntheses and Properties of Metal-Organic Framework-Based Hybrid Materials via Metal Mixing and Thermal Treatment

Mukoyoshi, Megumi 京都大学 DOI:10.14989/doctor.r13478

2022.03.23

概要

金属イオンと有機配位子の自己集積によって合成される多孔性配位高分子(Metal– Organic Framework: MOF)は、その特異な吸着特性や設計自由度の高さからガス分離・吸着等の分野で広く応用研究が行われている多孔性材料である。この発展形として、近年では修飾剤を利用したMOFの形態制御や触媒材料等機能性材料との複合化、 MOFを出発物質とした処理によるMOF由来複合体も注目されている。本研究では、MOFの金属固溶化や熱処理を用い、金属イオンと2,5-ジヒドロキシテレフタル酸(H4dhtp)からなるMOF、MOF-74 (M2dhtp, M = Co, Ni)から金属固溶型MOF、金属ナノ粒子/MOF複合体、ナノ粒子/カーボン複合体など種々のMOF由来複合材料の合成に成功しその同定と物性探索を行った。

(1) 金属固溶MOFの合成とその磁気特性
通常、MOを構成する金属は1種類であるが、2種類以上の金属を固溶化させることで単金属のMOFにはない物性を示すことから、MOFの機能向上の手段として近年注目を集めている。このようなMOFは金属固溶MOF(mixed-metal MOF)と呼ばれる。金属固溶MOFは主に触媒やガス分離・貯蔵、安定性については積極的に検討が行われており、磁性について金属イオン組成との関係を系統的に調べた例は少ない。本研究では、Coイオン・Niイオンが固溶した金属固溶MOF、CoNi-MOF-74を題材として、金属イオンを系統的に制御することで組成が磁性に与える影響を調べた。水熱合成により3つの異なる組成のMOFを合成し、粉末X線回折(XRD)と走査型電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散型X線分光(EDX)測定から、全組成においてCoとNiが均一に分布した目的物質である固溶金属MOF-74の合成に成功したことを確認した。単一金属から構成されるCo-MOF-7 4またはNi-MOF-74は先行研究でも報告されている通り反強磁性を示し、この現象は最近接鎖同士の相互作用に由来するが、固溶金属MOFであるCoxNi1-x-MOF-74はこれらとは異なり弱強磁性を示した。これらの結果は金属固溶化によってMOFが異なる磁気特性を示すことを実証したものである。また、Co0.5Ni0.5-MOF-74エチレン吸着体の磁気特性についても測定を行い、エチレン吸着の結果鎖間の磁気的相互作用が弱まることを確認した。この結果はゲスト吸着が金属固溶MOFの磁性に与える変化を明らかにしたものである。

(2) Ni ナノ粒子/MOF複合体の合成とその物性
金属ナノ粒子/MOF複合体は触媒材料として優れた性質を示すナノ粒子とガス分離・貯蔵・濃縮効果を示すMOFの相乗効果により新規な高機能複合材料として注目を集めている。先行研究によるとこれまで様々な金属ナノ粒子/MOF複合体の合成手法が開発されているが、その複雑な手法や不純物混入などの問題から、より簡便な手法が必要とされていた。本研究では、Ni-MOF-74が還元能を持つ配位子から構成されることを利用し、MOFの部分熱分解を利用することで簡便なNiナノ粒子/MOF複合体合成手法を開発することに成功した。得られた複合体について詳細な同定を行ったところ、粒径 2~5 nm程度のNiナノ粒子がMOF内部に高分散化した複合体が生成していることを確認した。Niナノ粒子は液相法でもナノメートルサイズの均一な粒子を得ることが難しく、本研究は凝集しやすい3d金属における単分散なナノ粒子を合成する手法としても有用であると考えられる。さらに詳細な物性測定から、得られた複合体がMOF由来の吸着特性とNiナノ粒子に特徴的な磁性を有することを示した。

(3) MOF由来カーボン複合体の構造制御
炭素材料は広い表面積と優れた電気・熱伝導度を持つことから様々な分野で用いられており、その構造制御はガス吸蔵や触媒性能等の物性を制御するうえで重要である。この炭素材料またはナノ粒子/炭素材料複合体の新しい合成手法として、MOFを前駆体とする手法が近年注目されている。MOFを前駆体とする手法においても炭素材料の構造制御については様々な検討が行われており、先行研究では熱処理のガス雰囲気、焼成温度やMOF配位子の選択等が有効であることが示されている。本研究では、炭素材料の構造制御の新しい手法として、MOFを構成する金属イオン種の違いを利用したナノ粒子/カーボン複合体の構造制御を行った。異なる金属イオンを含むNi-MOF- 74とCo-MOF-74をそれぞれ出発物質とし、真空化で熱分解反応を行うことでナノ粒子/カーボン複合体を得た。Ni-MOF-74からはNiナノ粒子/オニオンカーボン複合体が、Co-MOF-74からはCoナノ粒子/アモルファスカーボン複合体が生成されていることを高分解能走査型透過顕微鏡(HRSTEM)観察より確認し、金属イオンの選択によって炭素材料の構造制御が可能であることを実証した。特にオニオンカーボンが400 ℃という比較的低温で合成できた例は極めて少ない。吸着測定や伝導度測定からもそれぞれの複合体はその炭素構造の違いに由来する物性の違いを示しており、金属イオン種の違いを利用した炭素材料の構造制御が複合材料の物性制御に適用可能であることを示した。

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