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大学・研究所にある論文を検索できる 「血中Mac-2 binding proteinとHDLコレステロール濃度の相関とその機序」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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血中Mac-2 binding proteinとHDLコレステロール濃度の相関とその機序

上北, 宏美 大阪大学

2022.03.24

概要

【目的】
アディポネクチン(adiponectin; APN)は、脂肪細胞から特異的に分泌される抗炎症性のアディポサイトカインである。血清APN濃度は肥満、2型糖尿病や冠動脈疾患において有意に低下することが知られている。APNが抗糖尿病作用、抗動脈硬化作用や抗炎症作用を有することは報告されているが、作用機序などは明らかになっていない。これらの作用は受容体や結合蛋白質を介していると考えられている。そこで、未知のAPN結合蛋白質を同定して、動脈硬化やその危険因子であるメタボリックシンドロームとの関連を明らかにすることを目的とした。

【方法と結果】
ヒト血清を抗APN抗体または対照IgGで免疫沈降したサンプルをSDS-PAGE後、銀染色を行った。抗APN抗体に特異的なバンドの質量分析の結果、Mac-2 binding protein(Mac-2BP)が同定された。APNとMac-2BPの結合は、培養細胞にそれぞれの発現ベクターを共発現させ、抗APN抗体、抗Mac-2BP抗体で免疫沈降した系からも確認できた。冠動脈疾患患者21名とその対照健常者における血清パラメータの比較検討では、冠動脈疾患患者で血清APN濃度は低下し、血清Mac-2BPは増加傾向、血清Mac-2BP-APN複合体濃度は著増した。ヒト臍帯静脈細胞を用いてMac-2BPがAPNの抗動脈硬化作用に対する影響を調べるために、TNF-α刺激によって血管内皮細胞の単球接着分子のmRNA発現量の変化を検討した。TNF-α刺激によりICAM-1、E-selectin、VCAM-1のmRNA量は増加したがAPNの前処理によって抑制された。さらに、Mac-2BPと共培養すると発現量の低下は認めなかった。このことから、Mac-2BPはAPNの抗動脈硬化作用に拮抗すると考えられた。
さらに54名の男性健常人における血清Mac-2BP濃度と臨床パラメータとの関連を検討した結果、血清Mac-2BP濃度はBMIと収縮期血圧と有意な正相関を示したが、血清HDL-C濃度とは負の相関を示した。血中Mac-2BP-APN複合体濃度と血清HDL-C濃度の相関は認めなかった。この相関には慢性炎症の関与を示唆したため、HepG2細胞をIFNγで処理し、HDL-Cの代謝に重要なapoA-1およびABCA1のmRNA量の変化を検討した。IFN-γの刺激によりMac2BPの蛋白量とmRNAは増加したが、apoA-1とABCA1のそれらは減少した。apoA-1の転写因子であるPPARαのmRNAは有意な変化は認めなかったが、その標的分子であるANGPTL4とACOX1のmRNAは有意に減少した。ABCA1の転写因子であるLXRαおよび標的分子のFASMとSREBP-1cのmRNA量は有意に減少した。

【考察】
新規APN結合蛋白質としてMac-2BPを同定した。冠動脈疾患患者において血清Mac-2BP-APN複合体量は著明に増加し、Mac-2BPはAPNの血管内皮細胞における単球接着分子の発現抑制作用を阻害した。さらに、血清Mac-2BP濃度はBMIおよび収縮期血圧と正相関を示し、健常者のHDL-C濃度と負の相関を示すことを明らかにした。また、IFN-γ処理したHepG2細胞を用いた検討から、慢性炎症がMac-2BPを増加させ、apoA-1とABCA1の発現を減少させるメカニズムに関連している可能性が考えられた。

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