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大学・研究所にある論文を検索できる 「AFP産生胃癌の治療標的探索と腫瘍免疫回避機構」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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AFP産生胃癌の治療標的探索と腫瘍免疫回避機構

深澤, 京 東京大学 DOI:10.15083/0002006949

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 深澤 京
本研究は、高悪性度胃癌の代表である AFP 産生胃癌の個別化医療の推進、最適な治療
戦略確立を目指すため、この癌に特徴的な免疫回避機構の解明と新たな治療標的分子の探
索を試みたものであり、下記の結果を得ている。
1. 2000 年から 2015 年の間に東京大学医学部附属病院で切除された胃癌症例のうち AFP
産生胃癌 45 例、EBV 関連胃癌 44 例、MSI 胃癌 57 例、diffuse-type 胃癌 45 例、
intestinal-type 胃癌 54 例の合計 245 例を用いて HLA-G、HLA classI、PD-L1 の免疫
染色を行った。免疫染色で発現を検討した結果、AFP 産生胃癌の 76%に HLA-G 高発
現がみられ、対照群と比較して AFP 産生胃癌が有意に高頻度であった。また、HLAG 高発現は胃癌の全生存期間において有意に予後不良であったが、AFP 産生胃癌に限
っては予後に有意な差はみられなかった。HLA-G に加え、HLA classI 発現低下は
AFP 産生胃癌症例の 76%にみられ、他のいずれの対照群と比較しても有意に高頻度で
あった。さらに、EBV 関連胃癌群と MSI 胃癌群では既報と同様に PD-L1 発現が高頻
度であったが、AFP 産生胃癌群でもこの 2 群に次いで高い頻度で PD-L1 発現がみら
れた。AFP 産生胃癌では、様々な免疫回避戦略を駆使していることが窺われた。
2. 上記の合計 245 例の臨床検体で、FGFR3 および HER2 の免疫染色を行った。FGFR3
の免疫染色では、AFP 産生胃癌の 24%に FGFR3 高発現が認められ、すべての対照群
と比較して有意に高い頻度であった。胃癌、特に AFP 産生胃癌においては、FGFR3
高発現が予後に有意な影響を与えるものではなかった。また、HER2 テストでは、
AFP 産生胃癌の 60%が HER2 陽性と高い頻度を示した。FGFR3 高発現症例では有意
に HER2 陽性症例が多いことが特徴であった。
3. FGFR3 高発現の機序として遺伝子増幅の可能性を考え、FISH による解析を行った
が、高発現例においても FGFR3 遺伝子増幅はみられなかった。
4. 胃癌細胞株に対する FGFR 阻害薬や siRNA による FGFR3 発現抑制実験では、FGFR
阻害薬投与で一部の AFP 産生胃癌細胞株に細胞占有面積率の有意な減少が認められた
が、siRNA による FGFR3 ノックダウンでは、対照群と比較して細胞占有面積率に有
意な差はみられず、FGFR3 の増殖能における影響は限定的であることが示唆された。

以上、本論文は AFP 産生胃癌に特徴的に発現している、HLA-G や FGFR3 をはじめと
した分子に関して検討を行い、この癌の特性を明らかにした。本研究は AFP 産生胃癌の
みならず、広く胃癌の診断や治療にも貢献するものと考えられる。
よって本論文は博士(医 学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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