超臨界流体クロマトグラフィーにおける充填粒子内リガンド密度の保持因子に及ぼす影響
概要
物質を分離する方法として、一般的に移動相に有機溶媒を用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法や気体を用いるガスクロマトグラフィー(GC)法が知られている。近年、移動相に超臨界流体とモディファイアと呼ばれる少量の有機溶媒の混合流体を用いた超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)法が、医薬品や食品産業で注目されている。
超臨界流体は高拡散性、低粘性であるため、SFC法はHPLC法よりも高速分離が可能である。また、SFC法は超臨界流体の高い溶解性によりGC法では分離できない不揮発性物質の分離も可能である。さらに、有機溶媒の使用量が少なく、環境への負荷が小さいという利点がある。
SFC法は圧力や温度、モディファイアの種類や組成、カラムの充填粒子のリガンドの種類や密度により保持因子kが変化する。そのため、これら操作因子とkとの関係が不明であるといった問題がある。既往の研究において、蒸発熱やエントロピーなどの熱力学量や溶質と溶媒の化学構造からkの評価が試みられているが、高精度での予測や相関はされていない(1)。
本研究では、カラムの充填粒子のリガンド密度、圧力、温度に着目し、リガンド密度のみを変化させた4種類のODSカラムを用いて、SFC法によりtrans-stilbene oxideとoctadecanophenoneのkを測定した。そして、得られた結果より、操作因子とkとの関係を調査した。