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大学・研究所にある論文を検索できる 「A Phenotypic Analysis of Involucrin-Membrane-Bound Ovalbumin Mice after Adoptive Transfer of Ovalbumin-Specific CD8⁺ T Cells」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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A Phenotypic Analysis of Involucrin-Membrane-Bound Ovalbumin Mice after Adoptive Transfer of Ovalbumin-Specific CD8⁺ T Cells

Nakagawa, Yujin 京都大学 DOI:10.14989/doctor.r13516

2022.11.24

概要

皮膚における自己免疫反応あるいは末梢性免疫寛容の機序を研究するため、これまでにいくつかのトランスジェニックマウスが作製・使用されてきた。ケラチン5(K5)あるいはケラチン14(K14)は表皮角化細胞の基底層で発現するが、これらのプロモーター下に膜結合型卵白アルブミン(mOVA)を組み込んだK5-mOVAおよびK14-mOVAマウスなどである。これらのマウスでは表皮特異的にmOVAが発現し、OVA特異的CD8陽性T細胞(OT-I細胞)の移入により様々な表現型を呈する。しかし、これまでのマウスは皮膚炎を誘導すると進行性の体重減少が生じたり、皮膚炎を誘導するためにガンマ線照射やテープストリッピングといった追加処置が必要であったりと、皮膚炎への二次的な影響が懸念された。

 こうした背景から、表皮有棘層特異的に発現するインボルクリン(Ivl)のプロモーターを用いて、その下流にmOVAを組み込んだトランスジェニックマウス(Ivl-mOVAマウス)を新規に作製し、OT-I細胞の移入後に生じる皮膚を標的とした自己免疫・末梢性寛容についての表現型解析を行った。

 まず、Ivl-mOVAマウスが表皮特異的にmOVAを発現していることを、免疫組織化学および定量的逆転写PCRにより確認した。そして、OT-I細胞を移入したところ、皮膚所属リンパ節においてOT-I細胞は抗原特異的に増殖していた。移入後の経過を観察すると、マウスは約1週間で追加処置を必要とせずに皮膚炎を自然発症し、その後の体重減少もみられないことが判明した。病理組織学的には苔癬様反応に類似した所見を呈し、CD8陽性T細胞による表皮角化細胞の壊死を示していた。皮膚には多くのOT-I細胞が浸潤しており、インターフェロンγをはじめとする種々の炎症性サイトカインを産生していた。

 これまで、移植片対宿主病(GVHD)に代表される苔癬様反応を呈する皮膚疾患において、表皮角化細胞死がいつどこで始まるのかは十分に解明されていなかった。そこで次に、OT-I細胞の皮膚への浸潤過程に注目して解析を行った。赤で蛍光標識したOT-I細胞をIvl-mOVAマウスに移入し、皮膚炎発症前後の耳介皮膚を採取して透明化処理後、ライトシート蛍光顕微鏡で観察した。複数のタイムポイントで解析したところ、移入されたOT-I細胞は真皮に出現した後、毛包周囲に集積し、毛包部の表皮からやがて表皮全体へと広がっていた。そして、毛包周囲ではOT-I細胞が真皮樹状細胞とクラスターを形成していることも観察できた。これらの所見から、毛包が真皮のCD8陽性T細胞を引き寄せて、表皮へと浸潤するための入口となっている可能性が示唆された。

 OT-I細胞移入後2週間程度で約半数のマウスは死亡したが、生き残ったマウスの皮膚炎はやがて自然治癒した。治癒後も皮膚に浸潤したOT-I細胞は残っており、制御性T細胞の浸潤が増加していた。一方、制御性T細胞を除去すると、本来は皮膚炎を発症しないはずの少ない細胞数のOT-I細胞移入でも皮膚炎を発症したことから、制御性T細胞の病態形成および治癒過程への関与が示唆された。

 このように本マウスは、薬疹やGVHDといった細胞性免疫が主体となる皮膚疾患の病態モデルとして有用と考えられた。

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