リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Nano-Structural Characterization and Hydrogen Effect in Precipitates of Al-Zn-Mg-(Cu) Aluminum Alloys」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Nano-Structural Characterization and Hydrogen Effect in Precipitates of Al-Zn-Mg-(Cu) Aluminum Alloys

Bendo Artenis 富山大学

2020.03.24

概要

ダイカストはアルミニウム,マグネシウム,亜鉛,銅などの溶融合金を精密な金型の中に圧入し,高精度で鋳肌の優れた鋳物を短時間にハイサイクルで生産する鋳造技術として,産業の発展とともに拡大してきた.ダイカストの鋳造条件は他の鋳造方法と比較し高圧かつ高速射出のため,金型表面には過酷な鋳造条件に耐えうる耐溶損性,耐磨耗性,耐ヒートチェック性などが要求され,金型寿命を向上させるための技術開発が進められている. 近年ダイカストにおいても薄肉化や複雑形状鋳物への展開が進められている中,鋳物内部のブローホールの発生のほか,鋳物表面のふくれや湯じわ,湯境などの欠陥や,金型表面の焼付きの課題の対策として金型温度を上げることが有効であることはよく知られている. 一方,金型温度を上昇させることは,金型の焼付きを促進させることになり,溶湯の急冷が抑制されるため凝固が遅延し湯回りがよくなり,ばりの発生や溶損など金型破損を引起こす要因になることから,金型表面への焼付きは実操業において未だ大きな課題となっている.更に焼付きが進行すると鋳物の肌荒れが深刻になり鋳物側に欠肉が発生するため,定期的にアルカリ溶液或いは酸による金型洗浄が行われるが,これらの溶剤による金型洗浄は金型自体に損傷を与え,金型寿命を短くする要因にもなっている.

本研究では,亜鉛ダイカストの焼付きによって亜鉛付着を引き起こす因子を明らかにし,従来の金型に適用されている窒化処理の代替技術として,硬質保護膜としてアモルファス炭素膜(a-C 膜)を開発する.窒化処理金型と a-C 膜を成膜した金型の特性について比較し,a-C 膜が亜鉛付着を抑制するメカニズムについて探索した.

第 1 章では,非鉄金属におけるダイカストの課題を挙げるとともに,亜鉛ダイカストの現状の課題を明らかにした.

第 2 章では,亜鉛合金ダイカストにおける焼付きの原因と進展メカニズムを明らかにするため,従来技術である窒化型を用いてダイカスト試験を行い,亜鉛付着の物理的及び化学的原因について,比較的低温の環境下での界面反応物の生成に着目し,亜鉛付着箇所の全域に Al,Zn,Fe からなる薄膜酸化層を透過型電子顕微鏡(TEM)にて確認した.更に,金型内の溶湯の湯流れ解析を行い金型表面温度が上昇する箇所を予測し,ダイカスト工程で発生する二重乗り(急冷凝固によって生成したせん断剥離層)の発生箇所と亜鉛付着箇所の相関性を確認した.走査型電子顕微鏡(SEM)による鋳物の断面観察の結果,金型低温部では二重乗りが発生していることから,亜鉛付着を抑制する対策として,亜鉛合金から金型材料への Al の拡散を抑止し界面の酸化層の生成を防ぐとともに,急冷凝固箇所を防ぐことが有効であると考えられた.

第 3 章では,亜鉛付着を抑制するための硬質保護膜として a-C 膜を開発し,窒化型と a-C 膜型の特性を比較した.a-C 膜は低摩擦係数,高硬度,化学的安定性といった潤滑性材料として優れた特性,更に酸素や窒素などのガスバリア性を持つ.窒化型と a-C 膜型について,二次イオン質量分析法(SIMS)による拡散元素の定量評価を行い,a-C 膜の耐酸化性を確認した.界面反応層の観察及び反応生成物について TEM による構造解析を行い,a-C 膜では亜鉛酸化物が付着するもののそれらの密着力が弱い為定期的に自浄作用が働き,一定量以上の亜鉛付着は観測されないという亜鉛付着抑制メカニズムを解明した.

第 4 章では, a-C 膜の亜鉛付着抑制効果を持続する要因として金型断熱効果に着眼し探索した.調査結果から,窒化型に比べて a-C 膜型は金型温度が低く,その原因として a-C 膜上に形成される亜鉛酸化物は密着力が弱く自然剥離によって自浄する際に,亜鉛酸化物中に空洞が形成され断熱効果を助長していることが示唆された.a-C 膜型では急冷凝固が抑制されているため,二重乗りが形成されないことが実証された.

第 5 章では,窒化型と a-C 膜型を用いて実操業上の生産効率を調査するため,金型の耐久性,鋳物品質,最終製品としての不良率を比較した.更に亜鉛付着を抑制したことに起因する金型洗浄回数の低減効果について,a-C 膜型金型耐久性の視点も交えて考察した.亜鉛付着及び抑制メカニズムを模式図にて整理し, a-C 膜は従来技術である窒化型と比較し,金型寿命,鋳物品質,ダイカストマシンの生産効率の観点に優れている技術であることを実証した.

第 6 章では,本論文の結論として,第 6 章までの研究成果を総括する.

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る