リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「門脈浸潤を伴う肝細胞癌に対するGd-EOB-DTPA造影MRIを用いた術後肝不全の予測」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

門脈浸潤を伴う肝細胞癌に対するGd-EOB-DTPA造影MRIを用いた術後肝不全の予測

辻田, 有志 神戸大学

2022.03.25

概要

【目的】
肝切除は、十分な肝機能を有する肝細胞癌患者に対する根治的治療法の一っである。依然として議論の余地はあるものの、根治的な肝切除は脈管浸潤を伴う肝細胞癌患者に対しても治療オプションとなり得る。肝切除後の重要な合併症の一つとして術後肝不全( post hepatectomy liver failure: PHLF)が挙げられ、手術手技や周術期管理が向上した現在でも術後の罹患率や死亡率の主な原因となっている。肝細胞癌患者は背景に肝機能障害を有していることが多く、PHLFの主要なリスクとなる。したがって、各患者における肝切除範囲を適切に選択することはPHLFの発症を防ぐために不可欠である。PHLFを予測するためにいくつかの危険因子やパラメータが検討されており、生化学的な肝機能検査、インドシアニングリーン検査、術後予定残肝の体積評価などが一般的に用いられる。しかし、肝機能が肝全体で不均一に低下している症例では評価が不正確となることが推察される。gadoxetic acidはMRIで用いられる肝特異性造影剤で,静脈内投与により肝細胞に取り込まれ、肝機能と相関することが良く知られている。また、予定残肝体積と併せて評価することで局所的な肝機能評価を行うことができると考えられ令。本研究では門脈浸潤を伴う肝細胞癌患者のPHLFの予測におけるgadoxetic acidを用いた造影MRIの有用性を検討する。

【方法】
2014年8月から2019年4月の間に門脈浸潤を伴う肝細胞癌に対して肝切除を行った患者を後方視的に解析した。以下の基準を満たした患者を評価対象とした。

•CTあるいはMRIでVP2以上の門脈浸潤が疑われる肝細胞癌
•解剖学的肝切除を行い、病理学的に門脈浸潤を伴う肝細胞癌が確認された
•手術前2力月以内にgadoxetic acidによる造影MRIと造影CTの両方を実施

肝機能への-響を考慮し、gadoxetic acidによる造影MRI検査前1力月以内に術前治療を受けた患者(経カテーテル動脈塞栓術および放射線治療)は除外した。その結果、41名の患者(男性32例、女性9例、年齢中央値66歳)が本研究に参加した。
CT 装置は Aquilion 64 および Aquilion ONE (Canon Medical Systems). SOMATOM Force (SiemensHealthcare)を用いた。CT画像は、非イオン性ヨード造影剤を用いて、単純、動脈相(ボーラス、トラッキング法を用い、25〜40秒後)、門脈相(70秒後)、平衡相
(180秒後)を含む多相プロトコルで取得された。造影剤は患者の体重lkgあたり600mg Iの用量で,25-30秒の固定注入時間で静脈内に注入した。3Dワークステーションの SYNAPSE VINCENT (Fujifilm medical systems)を用いで予定残肝容積(future liverremnant: FLR),総肝容積(total liver volume: TLV),腫瘍容積(tumor volume: TV)を計測した。機能的肝臓容積(total functional liver volume: TFLV)は(TLV-TV)により算出した。MRI 装置は Achieva 3.0 T, Ingenia 3.0 T (Philips Medical Systems),
Vantage Titan 3 T(Canon Medical Systems)を用いた。gadoxetic acid (Primovist, Bayer Pharma)を 0.1 ml/kg体重で1〜2 mL/sの流量で静脈内注入し、20 mlの生理食塩水をチェイサーとして注入した。
ダイナミック造影には造影前、動脈相、門脈相、移行相が含まれていた。肝細胞相は注入の20分後に撮影した。
肝と脾の実質の信号強度は100 mm2の円形の関心領域(ROI)を用いて,アーチファク卜,腫瘍,血管構造を避けて肝細胞相で測定した。
肝内には外側区域、内側区域、前区域、後区域に4つのROIを配置した。そして、各術式に対応する切除肝と残肝のSIの平均値を算出した。
Ever spleen ratio (LSR)は、(切除肝、残肝の肝臓のSI) / (脾臓のSI)として計算した。

肝細胞へのgadoxetic acidの取り込み量を示す指標であるrHUIとHUIを以下の式で算出した。

rHUI = FLR x 磯肝の LSR -1)
HUI = rHUI + ([TFLV - FLR] x [切除肝の LSR -1])

PHLFとそのグレード分類の基準はInternational Study Group of Liver Surgeryのものを肝用した(Grade Aを軽度、B,Cを重度のPHLFと定義)。
各患者の切除肝と残肝のLSRの比較、FLR/TFLVとrHUI/HUIの比較にはWilcoxon signed-rank test を用いた。4 つの画像パラメーター (FLR、FLR/TFLV、rHUI、rHUI/HUI)を、Kruskal-WalHs検定を用いてPHLFグレード間で比較した。Spearmanの順位相関係数を用いて, 4つのパラメータとPHLFのグレードとの相関を評価した。また, Wilcoxonの順位和検定を用いて, これらのパラメータを正常例/ 軽度のPHLFと重度のPHLFの症例とで比較した。重度のPHLFの予測因子を特定するために、単変量解析および多変量解析を行った。多変量ロジスティック回帰分析では、単変量解析でP く 0.05を示したパラメータから、重度のPHLFの予測因子を抽出した。彰断能はreceiver operator characteristic解析を用いて評価し、Area under the curveを算出した。すべての統計解析において、有意水準はP<0.05とした。

[結果]
対象となった41名のうち、16名(39.0%)の患者がPHLFの基準を満たした。
内訳はグレードA7名、B8名、C1名であった。残肝のLSRは切除肝よりも有意に高く、
rHUI/HUIはFLR/TFLVよりも有意に高かった(いずれもP く 0.00l)o rHUI (P = 0.005), rHUI/HUI (P = 0.013)はPHLFグレードと有意に逆相関したが、FLR (P = 0.305), FLR/TFLV (P = 0.068)は有意な相関を認めなかった。
rHUIはPHLFのグレードと中程度の逆相関(p=-0.410, P = 0.008)、rHUI/HUI は弱い逆相関(p=-0.380, P = 0.014)を示したが、FLR (p=-0.073, P = 0.651)と FLR/TFLV(p=-0.118, P = 0.464)は相関しなかった。重度の PHLF では、軽度のものと比較して
rHUI (P <0.001), rHUI/HUI (P く 0.001), FLR/TFLV (P = 0.017)が有意に低かった。
多変量解析では rHUI (P = 0.012, odds ratio =1.016 [95 % CI:1.002-1.057])と
rHUI/HUI (P = 0.002, odds ratio =1.204 [95 % CI:1.052-1.600])が重度の PHLF の独立した予測因子であった。

【結論】
Gd- EOB- DTPA造影MRIは非侵襲的に肝機能を評価できる検査法である。肝切除前に残肝機能を推定することで、重度のPHLFの予測に有用である可能性が示唆された。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る