書き出し
液滴の分裂にまつわる数理
概要
本研究の目的は, 液滴の分裂に関する数理モデルを立て, ミクロな視点で降雨現象を理解することである. 単位体積当たりに存在する直径 r(mm) の液滴の数は, r に関して指数減衰的に振る舞うことが知られており, これは Marshall-Palmer 則と呼ばれている. 本論文では Becker-D¨oring モデルという数理モデルを立て, そこに表れる方程式を解くことで, どのような雨粒の分裂モデルがMarshall-Palmer 則を満たすか考察する. 結論として, 平衡状態における雨粒の分布は, 各過程での遷移確率ではなくそれらの比によって決まるということを証明する.