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大学・研究所にある論文を検索できる 「サブストームトリガー機構のトポロジー構造」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

サブストームトリガー機構のトポロジー構造

田中, 高史 京都大学

2023.03

概要

サブストームトリガー機構のトポロジー構造
Study of growth phase topology inducing the substorm onset
研究代表者:研究代表者名
(九朴I
大学・名誉教授)
田中高史
@m.kyushu-u.ac.jp
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k
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i
.tanaka.084
研究分担者:研究分担者名
無し
研究目的 (Research Objective):

u
i
e
ta
r
c
昭和基地で、サブストームを観察した時、最も不思議に思ったのは、 q
であった。それは、オンセットの前に、必ず定位置にある。一般に考えられてい
るオンセットのシーケンスは、 NENL (
n
e
a
r
e
a
r
t
h neutral 1i
n
e)、フロー、 CW

(
C
u
r
r
e
n
tw
e
d
g
e
)であり、この場合必ず定位置にある q
u
i
e
ta
r
cは無視しても、
サブストームはほとんど成立する。 Q
uietarcの発生理論は、オンセットと別個
に考えられており、 thinning下での粒子散乱というのが有力な説のようである。

q
u
i
e
ta
r
cをオンセットに関連づけるには、“オンセット前でも、 NENLは弱く進
行している”と考えざるを得なかった。
オンセットが Q
uiet a
r
cの赤道側から始まることは、サブストーム研究の初
期から謎とされてきた。 Q
uieta
r
cとオンセットの関係は、 SuperDARNでも研究
されている。オンセット点は q
uieta
r
cの分布と密接に関係することや、 q
u
i
e
t

arcにはシアーが伴うことなどが分かっている。また衛星観測では、多重 quiet
arcに対する粒子降下の様相などが観測されている。これらをよく見て、その結
果の合わせることが必要であろう。しかし一般には、サブストームでは磁気圏観
測衛星による研究とそれを運用する機関が主役であり、それ以外の存在は取る
に足らないおまけであり、考慮する価値はないと思われているようである。
サブストームの研究では、地上観測、衛星観測のデータを用いて解析を進める
のが一般的である。これに対して私は、グローバルシミュレーションでサブスト
ームを再現し、その解からサブストームを解明するという方法を考えた。昭和基
地での観察から数えれば、この研究は 4 0年に亘って続けたことになる。到達し
た結果では、サブストーム現象の原因は対流変動であり、この系で対流を電離圏
に伝達するのが FACであり、アークは q
u
i
e
ta
r
cでも onset a
r
cでも上向き

FAC(field-aligned c
u
r
r
e
n
t
)の可視化として理解できるというものである。こ
の点については飯島先生の慧眼に脱帽するところである。

-7-

オンセットは対流の遷移過程である。 F
A
Cについて重要な点は、これを電離圏
に接続するには、電離圏に到達するシアー、すなわち電磁流体運動が必要である
ことである。菊池理論によれば、シアーの伝達とは電荷の伝達と等価でもある。
この点は多くのサブストーム理論で見過ごされており、それゆえ間違ったサブ
ストーム理論を信奉する羽目になっている人物が多い。
NENL は対流変動の重要要素である。しかしこれはもっと一般化され、対流形

成における、ヌル点の役割として理解されなければならないことに気づいた。ヌ

M
F
ル分布は、対流の基本構造となり、その全体変動を考えれば、なぜ北向き I
(
I
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)で s
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が発生し、なぜ南向き I
M
Fで Q
u
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r
c、o
n
s
e
ta
r
cが発生するかも明確に理解
できる。この点の詳細は以下にも述べる。
グローバルシミュレーションでは、電離圏を再現することが不可欠である。私

EPPU(
R
E
P
r
o
d
u
c
eP
l
a
s
m
aU
n
iv
e
r
s
e
)コードでは、(オーロラに結びつ
が研究した R
くように)初めから電離圏の再現を組み込んで開発が進められた。その解像度は、
格子構造で決まることを実感し、 R
EPPUコードで特徴的な 12面体分割三角格子

EPPU コー
を開発した。つぎにこれらをハイブリッド並列化したのが、現在の R
E
P
P
Uコードの適用で、今年度は、テーターオーロラの発生機構につ
ドである。 R
いてと、アークオーロラの発生機構についての 2つの成果が得られた。

計算手法 (Computational Aspects)

REPPUコードは、ハイブリッド並列化した、高精度 M
I結合系 M
H
Dシミュレー
ションである。球面格子は 12面体分割 3角格子であり、始めの分割でできたも
の (60三角)をレベル 1、その後 1つの 3角形を 4つに分割したものをレベル
2というふうに呼んでいる。 3次元格子は球を半径方向に重ね合わせる。ただし
球の中心を順次ずらし、内側は球座標、反太陽方向の外側は円柱座標に漸近させ


現在流通しているのはレベル 7であるが、半径方向に球を増加し、中心のずら

u
p
e
rf
i
n
e、さらにレベル 8が稼働している。レベル
し方を最適化したレベル 7S
8では格子点は約 5億である。これは計算に時間がかかり、次世代の高速計算機
もしく現在のトップクラス(富岳など)でないと実用化は難しいかもしれない。

M
I結合シミュレーションでは、磁気圏変動を正確に電離圏に投影するため、
磁気圏変動を内部境界まで不連続がないように接続するところが難関であるよ
うだ。世界のシミュレーションを観察してみると、この M
I 結合の正確さが、

REPPUの優位性のように感じられる。しかしこの点は論文の記述上は現れず、解

-8-

の様相から推定されるだけである。



‘,‘、

研究成果(Accomplishments

REPPUコードの適用で、今年度は、テーターオーロラの発生機構と、アークオ

ーロラの発生機構についての 2つの結果が得られた。
若いころにテーターオーロラを始めて(ビデオで)見た時、世の中にこんな不
思議なものがあるのかと驚愕した。これを発見した Frank という人を 1回だけ
見たことがあるが、世の中にこんな偉そうにした人物がいるのかと、これまた驚
愕した。その威張り方は永田先生も真っ青であろう。しかしテーターオーロラが
ヌルの入れ替え過程の投影とは、想像だにしなかった。テーターオーロラはその
奇怪さ故、極めて多くのモデルが提唱され、まさに百花瞭乱である。しかし誰一
人として、ヌルに結び付けた人物はいなかった。考えられたのは、カスプリコネ
クションの投影、プラズマシートの不安定、マグネトポーズの不安定、リターン
磁場の停滞、などである。立ち止まって考察すると、これらは知られている要素
の変形である。人間の思考は如何に枠内で留まるかを見ることが出来る。シミュ
レーションではヌルの分布が分かり、磁力線のトレースができる。今年度には、
テーターオーロラはヌルの入れ変え過程であることを明確にした。なぜテータ
ーバーが東西に移動するかも良く理解できた。シミュレーションは、既存の概念
の具体化の範囲を超えることが出来ると感じた。
磁気圏物理学でヌルを考察することの意義を最初に唱えたのは、 Dorelli e
t
a
l
.(
2
0
0
7
)であろう。私はそれが実際に観測できることを示しただけである。エ
ポック makingは点から始まり、みんなの協力というような美しい世界は、その
後の惰性である、というような良く言われる伝説を、実際に垣間見られた気がす
る。しかし実働の研究社会は、美しい世界の建前で運動しているのは、致し方な
いことであろうか。
JGRのレビューワーは当然百花瞭乱の一人であるはずで、対話には難航も予想

されたが、意外にも“私はこれまでのテーターオーロラの理論は明確でないと思
っていた”とのことであった。さて百花瞭乱は今後どうなるであろうか。決定的
なモデルを無視して、今後も百花練乱を続けることも可能である。それは複合系
の科学では、完全に間違いであることを証明するのもまた難しいからである。
オーロラはアークとディフューズに分類されることは古来より知られている。
サブストームに関与する quiet a
r
cとオンセットアーク、北向き I
M
Fで観察さ
れる、 sun-aligneda
r
c、fanarc、テーターオーロラは、全てアークである。ア
ークはそれぞれの発生条件も、明るさにも大きな幅があるが、それなのになぜ同

-9-

じアークなのか。その理由は、アークは上向き FACの可視化ということである。
今年度には、 FACとは磁気圏から電離圏への対流の伝達であり、アークの違いは、
伝達する対流のトポロジーの違いの反映である、との結果を得た。
アークは上向き FAC の可視化であることは、当たり前であろうか。一般に流
通している論文を読んだ感想として、たいていはアークは粒子落下、粒子加速で
あるという通念にこだわり、すぐには FAC とは理解しないであろうと予想して
いた。しかし、 JGRのレビューワーの一人は、当たり前であると断言した。世界
(米国)も一枚岩ではなく、多種の人種が混在しており、中には達人もいると感
じた。世界から日本に伝来する際に、多数意見が平凡性のフィルターを通し、主
流として再流通する仕組みがあるのかもしれない。
サブストームオンセットを特別扱いし、これぞ MHD の破れであると主張する
のは、古来よりの常道である。オンセットアークは確かに異常である。これだと、
CW、粒子効果など、自然に湧き出てくる。オーロラは粒子落下であり、粒子加速

の結果となるのは自然である。このような既存路線ができると、それに逆行する
のは極めて難しいようである。複合系では決定的な証明は難しいという困難は、
この場合も当てはまる。これらに対し、グローバルシミュレーションの解では、
サブストームは MHD であり、

トポロジーと対流の変動である。これにより

HD(Harang discontinuity)の成長と崩壊も自然に理解できる。 HDもまた古来よ

り知られていたにも関わらず、理解できなかった間題である。 MHDでは、電離圏
のグローバル変動、 quietarcから onsetaceへの移行、 2段階オンセットなど
を再現できるところが尤もらしい。観測がなければ、磁気圏シミュレーションは
数学になるが、観測があると、複合系の科学になる。観測の全体像を見ずに、磁
気圏シミュレーションの数学を研究してしまう学徒もまた多いようである。
公表状況( Publications) :
(論文)
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