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書き出し

Broad-scale and long-term assessment of bird diversity in agricultural landscapes : Focusing on farmland intensification and abandonment [an abstract of entire text]

北沢, 宗大 北海道大学

2023.03.23

概要

Title

Author(s)

Citation

Issue Date

Doc URL

Broad-scale and long-term assessment of bird diversity in agricultural landscapes : Focusing on farmland intensification
and abandonment [an abstract of entire text]

北沢, 宗大

北海道大学. 博士(農学) 甲第15301号

2023-03-23

http://hdl.handle.net/2115/89890

Type

theses (doctoral - abstract of entire text)

Note

この博士論文全文の閲覧方法については、以下のサイトをご参照ください。

Note(URL)

File Information

https://www.lib.hokudai.ac.jp/dissertations/copy-guides/

Kitazawa_Munehiro_summary.pdf

Instructions for use

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

学 位 論 文 内 容 の 要 約
博士の専攻分野の名称:



士(農学)

氏名

北沢

宗大

学 位 論 文 題 名
Broad-scale and long-term assessment of bird diversity in agricultural landscapes:
Focusing on farmland intensification and abandonment
(農地景観における鳥類多様性の広域・長期評価:
耕作放棄と農業集約化に着目して)

農地は陸地の3分の1以上の面積を占めるため、農地景観における生物多様性保全策を
検討することは、陸上生態系の保全を進める上で必要不可欠である。自然生態系から農地へ
の土地利用転換は、生物多様性に大きな負の影響を与えてきたと考えられている。また、農
業の集約化と耕作放棄が世界的に進行しており、これらは農地景観における生物多様性変
化の主要因であると考えられている。しかしながら、これらの影響の定量的な評価は進んで
おらず、またそれらの影響には世界規模での地域差があることが知られている。食料を巡る
危機が顕在化し、また人口減少などの社会経済的要因によって農地景観が変容していく中
で、農地景観における主要な土地利用変化の影響評価と、地域に応じた効果的な保全策の構
築は、喫緊の課題である。本研究の目的は、自然生態系から農地への大規模な転換による生
物多様性への影響、および集約化された農地と耕作放棄地の生息地としての価値を、鳥類の
群集・機能群レベルで評価し、それらの影響の地域差や季節差に起因する要因を特定するこ
とである。これらの評価を進める上で、環境変化に対してよく応答する鳥類は、適した評価
対象分類群である。また、鳥類の機能群レベル(湿原性・草原性・森林性・裸地性・水辺性
の 5 つに分類)の応答に着目し、どのような生息地選好性を有する種が、土地利用変化から
負の影響を受けてきたかを評価した。
第二章では、北海道石狩平野に着目して、自然生態系から農地への転換が鳥類の種数・個
体数に与えた影響を定量化した。農業による土地利用の変化は、地球上の生物多様性にとっ
て大きな脅威であると考えられている。しかし、北半球では 1400 年代から 1700 年代にか
けて大規模な農地への転換が生じたため、その生態系への影響を定量化することが困難で
あり、農地への大規模な土地利用転換が生物多様性にどのような影響を与えたかについて、
よくわかっていなかった。北海道の石狩平野では、1870 年頃まで森林や湿原などの自然生
態系がまとまって残存していたため、土地利用が大規模に変化した時期(1850 年から 2016
年)の土地利用図が整備されている。そのため、この土地利用図と野外調査結果を用いるこ
とで、大規模な農地転換が生じる以前から、生物の種数や個体数変遷を推定することができ

る。2015 年および 2017 年に、石狩平野に設定した 2ha の調査地点 79 地点において、鳥類
各種の個体数を記録した。野外調査のデータを統計的に処理することで、石狩平野の各土地
利用の鳥類個体数密度を得た。そして、それらの値をデジタル化した過去の土地利用図に外
挿することで、過去 6 時期(1850 年、1880 年、1900 年、1950 年、1985 年、2016 年)の石
狩平野全域の鳥類個体数を階層群集モデルから推定した。その結果、農地への転換前には約
200 万個体の鳥類が石狩平野に生息していたものの、現在は約 50 万個体にまで減少したと
推定された。すなわち農地への転換によって、鳥類個体数が過去 166 年間で 70%以上減少
したと推定された。個体数変化の程度は機能群によって異なり、湿原性および森林性鳥類の
個体数は 88%以上減少した一方で、
裸地性鳥類の個体数は 50%以上増加した。
この結果は、
石狩平野と同様の大規模な土地利用転換が 1700 年以前にすでに生じていた、北半球の広い
範囲においても、農業に起因する土地利用の変化が、湿原性および森林性鳥類の個体数の激
減をもたらし、群集組成が長期的に変化してきたことを示唆している。本研究は、自然再生
などの生物多様性保全策の策定時の基準となる情報を提供するだろう。
第三章では、耕作放棄地の鳥類の生息地としての価値を評価するために、北海道全域の耕
作放棄地および農地(牧草地、畑、水田)、湿原にて鳥類調査を実施した。耕作放棄地面積は
1980 年代以降、世界的に拡大し続けている。しかし、耕作放棄地の生物の生息地としての
保全上の価値は研究例や地域によって異なることが報告されており、耕作放棄が生物多様
性に与える影響を予測することは困難である。今後も耕作放棄地面積の拡大が世界的に予
測されているため、農地景観における適切な生物多様性保全戦略を策定する上で、耕作放棄
地の生物の生息地としての価値を評価することは重要である。そこで本研究では、北海道全
域(400km×500km; 稚内から函館まで)において、農地(牧草地、畑、水田)および湿原と
の比較から、耕作放棄地の鳥類の種数、個体数を種、群集、機能群レベルで比較検討し、耕
作放棄地の鳥類の生息地としての価値を評価した。北海道全域に 3ha の面積をもつ調査地
点を 116 地点設定し、調査地点内で繁殖する鳥類各種の個体数を記録した。階層群集モデ
ルにより解析を行い、応答変数を鳥類各種の個体数、説明変数を土地利用カテゴリ、繁殖期
の平均気温、繁殖期の平均降水量、そして土地利用カテゴリ(耕作放棄地についてのバイナ
リ値)と平均気温あるいは平均降水量の交互作用項とした。その結果、耕作放棄地の生息地
としての価値は、機能群間で顕著な違いが見られた。耕作放棄地における草原性鳥類の種数
と個体数は農地よりも高く、湿原と同程度だった。一方、裸地性鳥類の種数と個体数は、湿
原や耕作放棄地よりも農地で高かった。ほとんどの種について、気温あるいは降水量と土地
利用カテゴリ間の相互作用は有意ではなく、地域による気候の差異にかかわらず、耕作放棄
地の生息地としての価値は広域で一貫していた。すなわち、耕作放棄地が草原性鳥類および
森林性鳥類にとって、広域で重要な生息地として機能している可能性があり、耕作放棄地は
農地の拡大によって本来の生息地が失われた種にとって、貴重な代替生息地になりうるこ
とが示唆された。湿原および耕作放棄地における草原性鳥類の個体数密度が高かった、北海
道道南地域の耕作放棄地は、湿原消失の悪影響を緩和している可能性が特に高い。本研究で
は機能群レベルの応答に着目した解析を行った結果、種レベルの様々な応答を統合し、耕作

放棄地の生息地としての適性を包括的に理解することができた。機能群アプローチを採用
することで、農地景観における適切な生物多様性保全戦略の確立に貢献することができる
だろう。
耕作放棄と農業の集約化は、陸域の生物多様性損失の 2 大要因である。しかし、それらの
生物多様性への影響は地域によって評価が正負に分かれており、影響の地域差を無視した
生物多様性保全策の構築は、非効率的な保全活動につながり、また重要な保全機会を見過ご
すことになる。したがって陸域の生物多様性劣化を防ぐためには、耕作放棄や農業集約化の
影響の地域差の要因を明らかにすることが不可欠である。第三章では耕作放棄地の生息地
としての重要性が見出された一方で、南日本では耕作放棄の進行は「生物多様性第二の危機」
であると認識されている。そのため、第三章の結果と国内の既往研究結果が異なる原因につ
いて、全国レベルでの検討が必要になる。同様に、農業集約化の影響も地域によって異なる
可能性が示唆されている。そこで第四章では、耕作放棄地および集約化された農地の生息地
としての価値を広域で評価するために、また耕作放棄と集約化の影響の地域差に影響する
要因を特定するために、日本全国(北海道から長崎県まで)の耕作放棄地、農地(集約化され
た水田、集約化されていない水田、畑)、湿原および森林で、越冬期および繁殖期に鳥類調
査を実施した。全国各地の 199 調査地点で鳥類各種の個体数を調査し、応答変数を鳥類各
種の個体数、説明変数を土地利用カテゴリ、調査期の平均気温、周囲 100m の森林率とした
階層群集モデルにより解析した。解析は季節ごとに実施した。その結果、農業の集約化と放
棄に対する機能群レベルの応答は地域や季節によらず一貫していたが、群集レベルの応答
は、地域に優占する機能群の移り変わりに依存して空間的・時間的に変化していることが示
唆された。繁殖期の結果について、冷涼な地域では、森林性鳥類、湿原性鳥類、草原性鳥類
が群集に優占しており、そのため群集レベルの種数および個体数は、低集約度の農地よりも
耕作放棄地で多かった。温暖な地域では、裸地性鳥類および水辺性鳥類が群集に優占してお
り、低集約度の農地における群集レベルの種数及び個体数は、高集約度の農地や耕作放棄地
よりも多かった。これらのことから、群集にどの機能群が優占するかによって、耕作放棄お
よび農業集約化の群集レベルの応答に地域差が生じると考えられた。このような、群集に優
占する機能群の地域差は、高緯度地域の冷涼な気候や大陸との地理的連続性など古地理学
的な要因に起因する可能性がある。更に、山地の耕作放棄地には、森林と同程度かやや少な
い程度の種数および個体数の森林性鳥類が生息しており、低地の耕作放棄地には、湿原と同
程度の種数および個体数の湿原・草原性鳥類が生息していた。機能群レベルの応答を評価す
ることによって、農業が生態系に及ぼす影響を統合的に理解できたため、土地利用や気候変
動下で保全策を効果的に実施するための強力なアプローチとなりうる。
農地への大規模な転換が生じる以前からの鳥類個体数変化を推定した結果、湿原および
森林性鳥類の劇的な個体数減少が示唆され、これらの機能群の保全上の優先度が高いこと
が示された。また、北海道における調査から、森林・湿原性鳥類の生息地としての耕作放棄
地の重要性が見出され、耕作放棄地面積の増加が、森林・湿原性鳥類を保全する好機を提供
している可能性が示された。残存する森林・湿原の保護が最も重要ではあるものの、低地の

耕作放棄地は湿原性鳥類の代替的な生息地として、山地の耕作放棄地は森林性鳥類の代替
的な生息地として、保護区に含めることなども有効な保全策である。同時に、南日本では裸
地・水辺性鳥類の多様性が高く、これらの地域では集約化されていない水田の耕作放棄を防
止することも重要な保全策である可能性が示された。さらに本研究では、機能群レベルの評
価を進めることで、群集レベルの種数・個体数に耕作放棄が正の影響を与える地域・季節、
また集約化の負の影響が大きい地域を特定することができた。本研究で提案したアプロー
チに基づいて、各地域の群集組成を明らかにすることで、その地域における効率的な保全策
を提案することができるようになると考えられる。 ...

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