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大学・研究所にある論文を検索できる 「八重山諸島の農業生態系における両生爬虫類相に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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八重山諸島の農業生態系における両生爬虫類相に関する研究

芳賀 沙也花 佐々木 剛 東京農業大学

2021.10.31

概要

国内の生物多様性ホットスポットに指定されている琉球列島において,農地化は人為的な環境改変の一つの要因であり,生態系に負の影響を与えてきた可能性がある。一方で,農地は食料生産のみならず生物多様性の保全効果があるなど,農地の多面的機能には近年注目が高まっている。これまで琉球列島では農業生態系における生物多様性調査はほとんど行われていなかったことに加え,従来の生物多様性調査では脊椎動物はカエル類と魚類に限られていた現状がある。農業生態系において両生類と爬虫類はその環境を物語る重要な生物である。これらの種間には生態学的,生理学的に共通する特徴がいくつかあるが,農地拡大のような人為的撹乱に対する適応力には違いがあり,両者は生物多様性評価の指標種として有用であることが示唆されている。本研究は石垣島と西表島の農地(水田とサトウキビ畑)6地点と森林2地点で両生類・爬虫類生息調査を合計61回行い,農地における生物相の特徴を評価した。調査の結果,多くの森林依存性の両生類・爬虫類が両島の農地で確認され,農地間で生物相に違いが見られた。この違いは農地が立地する周辺の森林環境の差異による可能性が示唆された。Hornの重複度指数(R0)に基づく動物群集構造のデンドログラム解析を行ったところ,本研究の調査地は大きく水田クラスターと森林クラスターの2群集に区分された。この結果は水田の存在が群集構成を左右する重要な景観要素であることを示唆している。そして森林クラスターがこれらの島に生息する両生類・爬虫類の本来の生息環境を反映した群集構成と仮定すると,水田クラスターは独自の群集を構成したグループであることが示唆された。本研究による石垣島と西表島の農地に生息する両生類・爬虫類相調査はこれらの島の農地が琉球列島の生物多様性を維持する機能を有した農業生態系である可能性を示した。

参考文献

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17) 江崎保男,田中哲夫(1998)水辺環境の保全.朝倉書店,東京.

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