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大学・研究所にある論文を検索できる 「臨床データベース解析を通じた、アルツハイマー病の臨床病態に即したバイオマーカーの再構築」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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臨床データベース解析を通じた、アルツハイマー病の臨床病態に即したバイオマーカーの再構築

佐藤, 謙一郎 東京大学 DOI:10.15083/0002006965

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 佐藤 謙一郎

本研究では、大規模な臨床観察データの解析によって、バイオマーカーの目標指標を改良す
る、あるいはバイオマーカー自体のアクセス性を向上させる構成にすることによって検査・バ
イオマーカーの位置付けを変化させ、その検査性能を向上させることを目的として、多角的な
検討を行ったものであり、下記の結果を得ている。


プレクリニカル AD の web ベース検出では、
現在の AD 臨床研究で重要な介入対象である、
発症前だが Aβ 蓄積が始まっているプレクリニカル AD を web レジストリデータから予測
するアルゴリズムを構築した。少数(n=37)の J-TRC webstudy 参加者に対する予測アミロ
イド蓄積レベルと、自己申告のアミロイド陰性・陽性の結果との一致は良好であった(AUC
0.806)
。本モデルは 2020 年 9 月からの onsite 研究への招待における優先順位付において実
際に参考活用を開始しており、今後の onsite 研究での PET 結果の蓄積とともに、適時モデ
ルの評価・アップデートを繰り返していくことで、現在進行中の J-TRC 研究の効率化が期
待できる。



遺伝子発現解析の手法を構造 MRI データに転用し、脳萎縮の時間的・空間的拡がりを可視
化する手法を考案した。J-ADNI 研究の公開データを利用して、ちょうどアミロイドカス
ケードにおいてタウ介在性神経変性とともに脳萎縮、また認知機能障害が明らかになって
くるタイミングに相当する認知機能状態として、MCI が観察期間の 36 ヶ月中に AD
dementia に変化する(convert する)か否かという要素と、その萎縮変化の方向性とで相関
が見られる脳領域クラスタを見出した。結果として、ベースラインの時点では側頭葉にあ
った同程度に萎縮している脳領域 module は、36 ヶ月の変化の差分で見ると側頭葉のみな
らず頭頂葉にも分布が拡がっていた。これはちょうど Braak ステージに規定されているよ

うなタウ病理の進展様式と重複しており、本手法は AD における脳萎縮の背景にあるタウ
病理学的変化(T)の同時的な拡大を間接的に可視化しうる手法で、MRI で見ている脳萎
縮よりも AD 病理のより上流の変化を検出する potential が期待できると考えられる。

③ 加齢亢進に関する指標の一つである Aging Acceleration を用いて、Aβ のみならず AD 病理
に関係したバイオマーカー分類として A/T/N 分類そのものの予測を試みた。データとして
は北米 ADNI 研究の公開データを取得し、加齢亢進(AA)の計算には血液 DNA メチル化
情報として Illumina EPIC microarray のデータを用いて、Horvath らの方法に従って AA を計
算で求め、予測モデルに組み込んだ。結果としては、AA を予測モデルに含めても A・T・
N いずれに対しても精度は一切改善しなかった。このため、加齢指標としての血液 AA は
AD 病理バイオマーカーとして有用ではない可能性がある。
以上、各検査・バイオマーカーの位置付けの trade-off という観点から見ると、①では A+に対す
る予測精度は十分ではないもののアクセス性は大幅に向上させることができ、②ではより AD 病
理の上流に近い状態へ位置付けを転換させることができた。③では特にバイオマーカーの位置
付けには変化がなかった。全体的には、既存の AD バイオマーカーの性能を、データ解析を

通じて向上させることができる可能性を示したものと考えられる。今後のアルツハイマー
病の病態解明及び臨床研究の更なる発展に貢献するものと考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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