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Relationship between lower limb torsion and coronal morphologies of the femur and tibia in patients with medial knee osteoarthritis

子島 俊太郎 横浜市立大学

2021.03.25

概要

1. 序論
内側型変形性膝関節症 (osteoarthritis, OA)において, 冠状面の変形と, 大腿骨, 脛骨の回旋角度の変形の関係に関する報告は少ない (Chang et al., 2018; Yagi, 1994). 大腿骨, 脛骨の回旋角度が変形性膝関節症の病態に関連している可能性が考えられ, これらの回旋角度を評価することは重要である. しかし, 下肢の回旋変形は単純 CT による評価が一般的である. 単純 X 線において, 大腿骨と脛骨の回旋角度と関連する因子が分かれば, 単純 X 線画像から大腿骨, 脛骨の回旋角度を予測することが可能となり得る. 冠状面における下肢アライメントとして hip-knee-ankle angle(HKA)があるが, 本研究では大腿骨と脛骨の形態に焦点を当て, 大腿骨, 脛骨の回旋角度との関係を調査した.

また, 大腿脛骨関節の OA において, tibial tuberosity-trochlear groove (TT-TG) distance, 膝蓋骨の外方傾斜の増加は, 膝蓋大腿関節の変性につながることが報告されている (Haj-Mirzaian et al., 2018; Otsuki et al., 2016). 下肢のアライメントと膝蓋大腿関節の OA に関する報告はあるが(Otsuki et al., 2016), 二つ目の研究では, 一つ目と同様に, 冠状面における大腿骨と脛骨の形態に焦点を当て, TT-TG distance, 膝蓋骨の外方傾斜の指標である patellar tilt angle との関係を調査した.

本研究の目的は, 内側型膝 OA において, 冠状面での大腿骨, 脛骨の形態と,大腿骨, 脛骨の回旋角度の関係を調査することである. また, 二つ目の研究においては, 冠状面で の大腿骨, 脛骨の形態と, TT-TG distance, patellar tilt angle の関係, TT-TG distance, patellar tilt angle と内側, 外側の膝蓋大腿関節の関節裂隙の関係を調査することである.

2. 対象および方法
当院にて2011年6月から2016年6月にかけて内側型膝OAに対してopen wedge高位脛骨骨切り術を行った女性57例75膝を対象とした. また, 二つ目の研究では, 2011年6月から2018年 11月にかけて膝周囲骨切り術を施行した女性患者104例139膝を対象とした.

全例で, 術前に立位下肢長尺単純X線正面像と下肢単純CTを撮影した. X線像でHKA, mechanical lateral distal femoral angle(mLDFA), mechanical medial proximal tibial angle(mMPTA)を計測した. CT画像で, 大腿骨, 脛骨の回旋角度を計測した. 大腿骨の回旋角度は, Reikerås et al. (1983)の方法に従い計測した. 脛骨の回旋角度は, bimalleolar methodにより計測した(Liodakis et al., 2012). 遠位が近位に対して外旋している場合を正の値と定義した. 二つ目の研究において, CT画像で, TT-TG distance, patellar tilt angle, 膝蓋大腿関節の関節裂隙を計測した.

Pearsonの相関係数を用いて, HKA, mLDFA, mMPTAと大腿骨, 脛骨の回旋角度の関係を調査した. 二つ目の研究において, HKA, mLDFA, mMPTAとTT-TG distance, patellar tilt angleの相関を, Pearsonの相関係数を用いて調査した. また, TT-TG distance, patellar tilt angleと膝蓋大腿関節外側, 内側の関節裂隙の相関を, Spearmanの相関係数を用いて調査した. P値<0.05で有意差ありとした.

3. 結果
大腿骨の内旋角度は平均12.2°±8.5°であった. 75膝のうち, 内旋が70膝, 外旋が5膝であった. 脛骨の外旋角度は平均18.0°±7.4°であった. 75膝全例が外旋していた. mMPTAは大腿骨の回旋角度 (r=0.33, p=0.003), 脛骨の回旋角度 (r=-0.32, p=0.005)とそれぞれ相関していた. 大腿骨, 脛骨の回旋角度とHKA, mLDFAには相関を認めなった.

二つ目の研究において, mMPTA はTT–TG distance (r = −0.383, P < 0.01), patellar tilt angle (r = −0.34, P < 0.01) と相関を認めた. TT–TG distanceは patellar tilt angleと正の相関を認めた (r = 0.476, P < 0.01). 外側のPF関節裂隙はTT–TG distance (r =−0.256, P = 0.002), patellar tilt angle (r = −0.205, P = 0.016)と負の相関を認めた.

4. 考察
内側型膝OAにおいて, 脛骨近位の内方傾斜が大きくなるに従い, 大腿骨の内旋角度と脛骨の外旋角度が大きくなっていた. Yazdi et al. (2016)は死体膝を用いた研究において,脛骨の外旋により, 大腿脛骨関節内側の関節面の接触圧は減少し, 外側の関節面の接触圧が増加した. 一方, 内旋により, 内側の関節面の接触圧は増加し, 外側の関節面の接触圧は減少することを報告した. 本研究では, mMPTAが減少すると脛骨は外旋しており, 脛骨の内反により, 内側の関節面への荷重が増加することに対する代償変化ではないかと考えた.

また, 本研究では, mMPTAが減少すると大腿骨の内旋が増加していた. mMPTAの低下と大腿骨の内旋は, 関節面傾斜と, 屈曲位での脛骨のアライメントを適切な位置に保つための変化ではないかと考えた.

本研究の臨床的な意義として, 今後さらなる研究が必要ではあるが, 内側型膝OAにおいて, 単純X線像における脛骨の内方傾斜から大腿骨と脛骨の回旋角度を予測できる可能性があることである.

二つ目の研究において, mMPTAが低下するとTT-TG distance, patellar tilt angleが増加していた. その原因として, 脛骨近位の内反変形の変形様式により, 脛骨粗面が関節面に対して相対的に外側へ変位するからではないかと考えた. また, TT-TG distance, patellar tilt angleが増加すると, 膝蓋大腿関節外側の関節裂隙が狭小化していた. これらのことから, 内側型膝OAにおいて, 脛骨近位の内反変形により, 脛骨粗面が外側へ変位し, 膝蓋大腿関節の変性につながるのではないかと考えた.

5. 結論
内側型膝OAでは, mMPTAが小さくなるに従い, 大腿骨の内旋角度と脛骨の外旋角度が大きくなっていた. また, mMPTAが小さくなるに従い, TT-TG distance, patellar tilt angleが大きくなっており, TT-TG distance, patellar tilt angleが大きくなるに従い, 膝蓋大腿関節外側の関節裂隙は狭小化していた.

この論文で使われている画像

参考文献

Chang, M.J., Jeong, H.J., Kang, S.B., Chang, C.B., Yoon, C., Shin, Y.J. (2018), Relationship between coronal alignment and rotational profile of lower extremity in patients with knee osteoarthritis, J Arthroplasty, 33 (12), 3733-3777

Haj-Mirzaian A, Guermazi A, Hakky M, Sereni C, Zikria B, Roemer FW, Tanaka MJ, Cosgarea AJ, Demehri S (2018), Tibial tuberosity to trochlear groove distance and its association with patellofemoral osteoarthritis–related structural damage worsening: data from the osteoarthritis initiative. Eur Radiol, 28 (11): 4669–4680

Liodakis E, Doxastaki I, Chu K, Krettek C, Gaulke R, Citak M, Kenaway M (2012), Reliability of the assessment of lower limb torsion using computed tomography: analysis of five different techniques. Skeletal Radiol, 41 (3), 305–311

Otsuki S, Nakajima M, Okamoto Y, Oda S, Hoshiyama Y, Iida G, Neo M (2016), Correlation between varus knee malalignment and patellofemoral osteoarthritis. Knee Srug Sports Traumatol Arthrosc, 24 (1), 176 –181

Reikerås O, Bjerkreim I, Kolbenstvedt A (1983), Anteversion of the acetabulum and femoral neck in normals and in patients with osteoarthritis of the hip. Acta Orthop Scand, 54 (1), 18–23

Yagi, T. (1994), Tibial torsion in patients with medial-type osteoarthritic knees, Clin Orthop, 302, 52-56

Yazdi H, Mallakzadeh M, Farshidfar SS, Givehchian B, Daneshparvar H, Behensky H (2016), The effect of tibial rotation on knee medial and lateral compartment contact pressure. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc, 24(1), 79–83

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