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大学・研究所にある論文を検索できる 「Formation of Bulky DNA Adducts by Non-Enzymatic Production of 1,2-Naphthoquinone-Epoxide from 1,2-Naphthoquinone under Physiological Conditions」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Formation of Bulky DNA Adducts by Non-Enzymatic Production of 1,2-Naphthoquinone-Epoxide from 1,2-Naphthoquinone under Physiological Conditions

松井 拓也 横浜市立大学

2020.03.25

概要

環境汚染化学物質であるPAH(多環芳香族炭化水素)は、体内に取り込まれると代謝され、種々のキノン誘導体を作り、細胞の変異原として働く。PAH-o-キノンおよび1,2-NQ(ナフトキノン)は、DNA(デオキシリボ核酸)の塩基がもつ窒素の求核性を介して、DNAと種々のアダクト(付加体)を作り、遺伝子や細胞へ毒性をもたらす。しかし1,2-NQがどのような生成経路でアダクトを作るかは未明である。同様に、医薬品の部分構造を構成する2,6-ジメチルアニリンの代謝物2,6-DMPHA(2,6-ジメチルアミノフェニルヒドロキシルアミン)によるDNAアダクトも存在するが、その生成経路に関する研究は少ない。そのため1,2-NQと共に2,6-DMPHAのアダクト構造や生成経路を比較することは、環境汚染物質のみならず医薬品候補化合物の毒性発現メカニズムの解明に利用できる新モデルをつくることができると期待された。本学位論文は、これら2種類の化合物、およびDNAに見たてたヌクレオシドを生体に近い条件で反応させ、生じたヌクレオシドアダクトの構造を決定し、体内で起きるDNAアダクトの生成経路を推察したものである。

第一章では、DNAに見立てたヌクレオシドdG(2'-デオキシグアノシン)および1,2-NQ を弱塩基性pH条件で反応させ、生じたアダクトの構造を決定した。生成物の構造決定には、LC/ESI-MS/MS (液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析)と1 H NMR(核磁気共鳴)分析を用いた。その結果、1,2-NQが過酸化水素により酸化され、1,2-NQ-エポキシドを生成した後、4種のdGアダクトの作られたことが判明した。さらに、過酸化水素は,1,2-NQが水和により生じる不安定なナフトヒドロキノンと2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノンを経た酸化還元サイクルにより発生したと考えられることを明らかにした。この結果、1,2-NQのDNAアダクトは、ケト基の共役する電子不足二重結合に核酸塩基が1,4-付加するマイケル付加反応によるDNAアダクト、および1,2-NQの直接的な酸化により生成するエポキシドに対して共有結合するDNAアダクトの2種類の生成経路により生じる可能性が考えられた。さらに,酸化還元サイクルにより発生する活性酸素によるDNA損傷の可能性も考えられることが判明した。

第二章では、医薬品の部分構造を構成する2,6-ジメチルアニリンの代謝物である2,6-DMPHAのDNAアダクトの生成経路を、同様の手法で明らかにした。その結果、1,2-NQ同様、反応系中に活性酸素が生じ、DNAを損傷する可能性のあるこが判明した。
2,6-DMPHAは,アミノフェノールおよび、キノン様物質のイミノキノンへ変換し得ることが実験結果から認められたことから,これらの酸化還元サイクルにより2,6-DMPHAが活性酸素を生じたものと考えられた。活性酸素の生成は、1,2-NQに見られたキノンに加え、生体内での代謝でキノン様物質を生成し得るような他の医薬品においても起きると推察され、より毒性の低い薬剤を将来開発するために必要な手がかりを得ることできた。さらにDNA-アダクトの形成のしくみや代謝中の化合物が生体にどう影響するかを考察するための情報を得ることができた。

総合考察では以下が述べられた。環境から体内に取り込まれた毒性のある化合物の代謝は、生物により異なる。哺乳動物では、体外へ排泄しやすくするため親水基を抱合させ水溶性を上昇させる代謝が行われる。一方微生物は、毒物を栄養源に利用する経路がある。しかし、代謝過程で生じたがDNAと結合すると,哺乳類はDNAを損傷し発がんへつながる可能性があり,微生物では細胞死を起こし得る。したがって,反応代謝物がDNA損傷を引き起こすしくみの解析は,生物における毒性の現われる複雑な過程において、巨視的な視野を与える。本研究では解析した化合物に関するアダクトの種類の多様さよりも、生成されたアダクトの割合の違いを見つけられた。その点から、本研究は動物と微生物への毒性影響の理解に近づくと意義を記した。

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