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書き出し

Plant Physiology Control by Unnatural Molecules

上田, 彩果 名古屋大学

2023.07.04

概要

学位報告4

別紙4
報告番号





















論 文 題 目 Plant Physiology Control by Unnatural Molecules
(非天然分子による植物生理の制御)


名 上田 彩果

論 文 内 容 の 要 旨
植物は自らの意思で移動できないため、刻々と変化する自然環境にしなやかに順応す
るストレス耐性機構を有する。しかし、近年の急激な気候変動は、植物のもつストレス
応答の許容範囲を大きく超え、枯死へと至る非常に深刻な問題を提示している。この状
況は世界の食糧問題を深刻化させており、早急な解決が望まれている。この問題に対す
る解決策としては、育種や遺伝子組み換えなどの遺伝学的アプローチが主流である。こ
のようなアプローチは恒常的な環境ストレスに対しては威力を発揮するものの、急激な
環境変化には対応することは難しい。植物ストレス問題の新たな解決策として、合成分
子を植物に添加してストレス耐性を付与させる方法が注目されている。このような化学
的アプローチは任意のタイミングで、特定の組織に耐性付与が可能であるため、急激な
環境ストレスの変化に順応できると期待される。さらに、分子の標的を植物に備わる基
本的な生理現象とすることで一つの植物種に限らず、多様な植物種に対しても適用する
ことができる。しかしながら化学的アプローチの実用例はごくわずかで、ストレス耐性
を付与できる分子の開発は進んでいない。そこで申請者はストレス応答に関与する植物
生理を制御する分子の開発に取り組んだ。本論文は以下 4 章から構成される。
第 1 章では機構解明を目指したフェアリー化合物の誘導体合成について論じている。
フェアリー化合物群は植物に内在し、植物の成長やストレス応答に関与していることが
知られている。しかし、分子機構は不明瞭なことが多い。そこで申請者はフェアリー化
合物であるイミダゾール-4-カルボキシアミド(ICA)の構造活性相関研究と 2-アザヒポキ
サンチン(AHX)のアフィニティープローブの合成を行った。ICA の類縁体を種々合成し
活性を評価したところ、ICA とは真逆の活性をもつ誘導体が発見された。また標的タン
パク質の同定のために、AHX のアフィニティープローブ合成をおこなった。C–H 直接

学位関係

官能基化を用いることで、構造変換許容部位へのタグ導入に成功した。本結果は新
たな構造活性相関の知見が得られただけでなく、本プローブは今後フェアリー化合
物の機構解明に大きな進歩をもたらすと考えられる。
第 2 章では非ステロイド骨格をもつブラシノステロイド(BR)様分子の開発につい
て論じている。BR は、植物の成長、分化、ストレス応答を司る植物ホルモンであ
る。BR の農業利用は大いに望まれているがステロイド構造に起因する構造の複雑
さが問題であった。これまでにも非ステロイド構造 BR は報告されているが低活性
な点から応用には至っていたない。そこで申請者は既存の模倣分子 NSBR1 をもと
に新たな分子設計を行った。いくつかの候補分子を合成し、その活性を評価するこ
とで天然 BR に匹敵する新たな非ステロイド分子 UA1 の開発に成功した。本成果は
農業を加速させる可能性を秘めている。
第 3 章では花粉管ガイダンス促進分子の開発について論じている。花粉管ガイダ
ンスは受精において重要な過程であり、その促進は農業を発展させると考えられて
いる。申請者は BR 模倣分子 NSBR1 と BL8 に花粉管ガイダンス促進活性を見出し
た。さらに BL8 においてはある程度の温度ストレス条件下でも花粉管ガイダンスを
促進させる知見を得た。本成果は今後のさらなる検討が進めば、新たなストレス耐
性付与分子の創製に繋がると期待される。
第 4 章では気孔開閉阻害分子の開発について論じている。気孔の開閉は植物成長
やストレス応答に深く関与している。中でも乾燥ストレスとは深く関与しており、
気孔閉鎖を促せば乾燥ストレス耐性が付与できる。申請者は新たな気孔開口阻害分
子 AUs を開発し、その構造活性相関研究を行った。さらにプルダウンアッセイと生
物学的実験から標的タンパク質候補として LRX-RALF 複合体を同定し、量子力学計
算からその妥当性を評価した。農業応用に原理的に展開可能な分子 AUs を開発した
ことに加え、気孔開閉運動の新たな制御因子候補を発見した本成果は、植物科学に
新たな知見をもたらした。
以上、申請者は植物のストレス問題において新たなアプローチとして植物生理を
制御する分子の開発に取り組んだ。本研究で新たに開発した一連の分子群のもつポ
テンシャルは高く、今後の研究で農業に応用されることが大いに期待される。また、
本研究は農業応用だけでなく、これらの分子を研究ツールとして応用することで新
たな植物科学の展開にも繋がると考えられる。

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