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プライマリ・ケア医の「仕事の意味」に関連する要因の探索と経験の抽出

山本, 由布 筑波大学 DOI:10.15068/0002008047

2023.09.04

概要

筑波大学
博 士(医学)学 位 論 文

プライマリ・ケア医の「仕事の意味」
に関連する要因の探索と経験の抽出

2022
筑波大学大学院博士課程人間総合科学研究科
山本 由布

目次

第1章

背景、研究の目的

1. 背景
1-1. 世界的なプライマリ・ケアの需要.............................................................................1
1-2. 日本のプライマリ・ケアの現状..................................................................................2
1-3. プライマリ・ケア医の研修・認定制度.......................................................................3
1-4. キャリアとしてのプライマリ・ケア医の選択と中断のリスク..................................4
1-5. 仕事の意味/意味ある仕事...........................................................................................6
2. 目的.......................................................................................................................................7

第 2 章 <研究 1>
プライマリ・ケアの「仕事の意味」にはどのような要因が関連するか?
1. 方法
1-1. 研究デザインと参加者...............................................................................................9
1-2. サンプルサイズ.........................................................................................................9
1-3. 測定項目
1-3-1. 基本属性................................................................................................................10
1-3-2. 日本語版仕事の意味尺度....................................................................................10
1-3-3. 各仕事への関わり.................................................................................................11
1-3-4. 各仕事への熱意.......................................................................................................11
1-4. データ分析................................................................................................................11
1-5. 倫理的事項................................................................................................................12

2. 結果
2-1. 参加者の属性............................................................................................................12
2-2. 日本語版仕事の意味尺度..........................................................................................13
2-3. 各仕事への関わりと各仕事への熱意........................................................................13
2-4. 単変量解析: 基本属性および各測定項目の J-WAMI 高得点群と低得点群間の
比較..........................................................................................................................14
2-5. 多変量解析:J-WAMI 高得点群に関連する要因.....................................................14
2-6. サブ解析:各下位尺度の高得点群に関連する要因.................................................14
3. 考察
3-1. 結果のまとめ.............................................................................................................15
3-2. 外来診療の熱意と「仕事の意味」との関連.............................................................15
3-3. 研究への関わりと「仕事の意味」の関連.................................................................17
3-4. 下位尺度毎の解析......................................................................................................18
3-5.今後の診療・研究に向けて.....................................................................................19
3-6. 限界............................................................................................................................19
4. 結語.....................................................................................................................................20

第3章

<研究 2>

プライマリ・ケア医はどのような経験に「仕事の意味」を感じているか?
-質的帰納的研究1. 方法
1-1. 研究デザインと参加者..............................................................................................21
1-2. データ収集.................................................................................................................21
1-3. データ分析.................................................................................................................23

1-4. 倫理的事項.................................................................................................................24
2. 結果
2-1. 参加者の属性............................................................................................................... 24
2-2. プライマリ・ケア医が意味があると感じた仕事の経験..............................................24
2-3. プライマリ・ケア医が仕事を続けていくうえでの課題..............................................27
3. 考察
3-1.結果のまとめ...........................................................................................................29
3-2.プライマリ・ケア医が意味があると感じた仕事の経験.........................................30
3-3.プライマリ・ケア医が仕事を続けていくうえでの課題.........................................32
3-4. 関連する先行研究との比較.......................................................................................33
3-5. 今後の診療・研究に向けて.......................................................................................34
3-6.限界..........................................................................................................................34
4. 結語.....................................................................................................................................35

第4章

結論

1.研究結果のまとめ.............................................................................................................36
2.研究全体の考察.................................................................................................................36
3.本研究の意義....................................................................................................................38
4.今後の展望........................................................................................................................39

要約図.....................................................................................................................................40
謝辞.........................................................................................................................................41
参考文献.................................................................................................................................42
図表.........................................................................................................................................50
参考資料.................................................................................................................................82

原典論文の再利用について

この学位論文は、(What kinds of work do Japanese primary care physicians who
derive greater positive meaning from work engage in? A cross-sectional study, Yu
Yamamoto, Junji Haruta, Ryohei Goto, Tetsuhiro Maeno. Journal of General and
Family Medicine, 2022, https://doi.org/10.1002/jgf2.595) の内容を再利用して
いる。 Journal of General and Family Medicine は open access ジャーナルであ
る。

第1章

背景, 研究の目的

1.背景

1-1.世界的なプライマリ・ケアの需要
近年, COVID-19 をはじめとした未知の感染症や自然災害の発生, 非感染性疾患(Non
communicable disease:NCDs)の増加や, 世界各地で経済格差が広がることによる世界の
健康課題の変化によって, 国や地域の状況に応じたプライマリ・ケアへの需要が高まってき
ている

1-3.

特に, プライマリ・ケアにおける医療の課題は, 急性の感染症を予防・診断・治

療する時期から, 高齢化やライフスタイルの変化による糖尿病などをはじめとした複数の要
因が複雑に関係してくる NCDs, 身体・心理・社会的側面から対応が求められるメンタルヘ
ルスに関連する疾患などへの対応に変遷してきている 3. このような複雑に変化する社会に
適応していくための, 健康に対して社会全体でアプローチを行う保健システムの一つがプラ
イマリ・ケアである 4. プライマリ・ケアの概念はこれまで何度も繰り返し解釈され, 定義
されてきた. その一例として, 米国国立科学アカデミーはプライマリ・ケアを, 「患者の抱

える問題の大部分に対処でき, かつ継続的なパートナーシップを築き, 家族及び地域
という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される, 総合性と受
診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである」と定義している 5. 世界的に知
られているプライマリ・ケアの 5 つの理念には, 図 1 に示すように近接性(accessibility),
包括性(comprehensiveness), 協調性(coordination), 継続性(continuity), 責任性
(accountability)があり, プライマリ・ケアは地域の医療を担う重要な役割を持つと考え
ら れ て い る 6. 世 界 で は , 家 庭 医 ( family physician : FP ) や 総 合 診 療 医 ( general
practitioner:GP)と呼ばれる医師がプライマリ・ケアの専門医として認識されているが,
この 2 つの名称は互換性のある同義語として理解されており 7, 日本においてもプライマ
1

リ・ケアの専門医という意味で使用されている. また, 日本ではかかりつけ医という言葉も
存在し, 厚生労働省は「健康に関することをなんでも相談できる上, 最新の医療情報を熟知
して, 必要な時には専門医, 専門医療機関を紹介してくれる, 身近で頼りになる地域医療, 保
健, 福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義している 8. かかりつけ医は患者が医師
を表現する言葉であるが, 求められる役割としてはプライマリ・ケア医とほぼ同じである.
現在の日本では, もともとの専門により診療の幅が限られているかかりつけ医もいるため,
複数のかかりつけ医をもつ患者も存在している. 本稿では, 後述する日本のプライマリ・ケ
アの特徴から, プライマリ・ケアに関わる医師を「プライマリ・ケア医」と表現する.
日本では, 急速な高齢化により, 多疾患併存や心理社会的な問題に継続的なケアを必要と
する患者が増加していることや, 外来受診や再入院の増加などの主に医療経済的な問題から,
医療システムの変革が求められるようになってきた 9. そのような中, 特定の臓器や疾患に
限定することなく幅広い視野で患者を診るプライマリ・ケア医の専門性が評価されるよう
になり, その需要が高まってきている 10. 次項より, 日本のプライマリ・ケアシステムの概要
を示し, 引き続いて「仕事の意味」の概念と, プライマリ・ケアでキャリアを追求する事の
関連性を示す.

1-2.日本のプライマリ・ケアの現状
日本のプライマリ・ケアを理解するために, プライマリ・ケアの歴史が長い欧州の国々と
日本の, 診療内容やプライマリ・ケアシステムに関する類似点および相違点を示す. まず類
似点としては, 日本のプライマリ・ケア医も欧米と同様に, 内科的疾患や皮膚疾患, 整形外科
的疾患などの幅広い疾患に対応していることが挙げられる 11. ただし, 日本では, 妊娠に関す
る問題など, 性別特有の問題を扱うことは少ない 11. 一方, 主な相違点は医療制度に関連する
ものである. 日本では長い間, プライマリ・ケアを専門とする医師を認定する制度がなく, 代
わりに臓器別専門医がプライマリ・ケアを提供していた

12.

また, プライマリ・ケアは診療

2

所だけでなく, 中小病院の外来でも提供されている 12. これは, 診療所にかかりつけ患者を登
録する制度のある欧州とは異なり

13,

日本の医療はフリーアクセスを基本としているため,

患者は疾患の重症度に限らず, 自分の好きな医療機関に受診することが出来るためである 12.
日本では全外来患者のうち, 約 30%が病院の外来を利用していると報告されている 12. 病院
に勤務するプライマリ・ケア医は, 半日単位で外来診療, 訪問診療, 入院診療, 救急外来での
救急診療など, さまざまな医療業務に従事することも多い. 一方で, 診療所に勤務するプライ
マリ・ケア医は, 医療業務としては外来診療や訪問診療に従事するのが一般的であるが, そ
の他の業務として学校医や地域のヘルスプロモーション活動に参加する医師もいる. さらな
る相違点として, プライマリ・ケア医が均等に配置されている欧米諸国と異なり, 日本では
地域差が大きく, 医師偏在が大きな問題となっている 14.

1-3.プライマリ・ケア医の研修・認定制度
そのような背景の中で, 日本でもプライマリ・ケアを担う医師の専門医制度を構築する動
きが始まった. 日本プライマリ・ケア連合学会(Japan Primary Care Association:JPCA)
は, 2010 年に独自の家庭医療専門医制度を開始した 12. また, 2014 年に日本全体の専門医認
定基準の標準化のため, 日本専門医機構が発足し, 2018 年には新専門医制度の開始に合わせ
て総合診療専門医が新設された

10, 12.

しかし, 専門医制度が発足して日が浅いことや, 上記

のように現在のプライマリ・ケアは長年地域医療を支えてきた臓器別専門医が担っている
診療所や病院も多いため, プライマリ・ケア医の人数を正確に把握するのは困難である. そ
の中で, 全国の医師数が 2020 年末の時点で約 34 万人であることを鑑みると 15, JPCA に加
入しているプライマリ・ケアに関心がある医師会員数は 10166 人(2022 年 9 月現在)で
あることから

16,

JPCA に加入しているプライマリ・ケア医は全医師数の 3%弱であり, 各

国と比較しても少ない 17, 18. さらに, JPCA 認定の家庭医療専門医は 1048 人, JPCA 認定の
プライマリ・ケア認定医は 5207 人(2022 年 7 月現在)であり 19, 臓器別専門医と比較して

3

も未だ少ない状況である. 医学生や研修医にもプライマリ・ケア医の認知も十分ではなく,
総合診療専攻医コースに登録した初期研修は, 専門研修開始初年度の 2018 年は 184 名,
2022 年度は 250 名であり, 微増にとどまっている 20.
現在 JPCA が提供している新・家庭医療専門医制度は総合診療専門医を基盤としており,
2020 年に世界家庭医療専門医機構(WONCA)の国際認証を取得した 21. 専門研修では, 先
に示したプライマリ・ケアの 5 つの理念(図 1)に基づき研修プログラムが構成されてい
る. JPCA が定める専門医のコンピテンシー(高い成果を発揮する行動特性)には包括的統
合アプローチ, 一般的な健康問題に対応する診療能力, 患者中心の医療・ケア, 連携重視のマ
ネジメント, 地域包括ケアを含む地域志向アプローチ, 公益に資する職業規範, 多様な診療の
場に対応する能力が含まれる

22.

具体的なローテーションとしては, 様々な場で幅広い疾患

への対応能力を身に着けるため, 病院の総合診療部門, 地域の診療所や小規模病院, 小児科,
救急科などで研修することが義務付けられている 23. ...

この論文で使われている画像

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49

図表

50

図 1 プライマリ・ケアの 5 つの理念

Accessibility

(近接性)

• 地理的

• 経済的

• 時間的

• 精神的

• 予防から治療,リハビリテーションまで

Comprehensiveness(包括性)

• 全人的医療

• Common diseaseを中心とした全科

的医療

• 小児から老人まで

• 専門医との密接な関係

Coordination

(協調性)

• チーム・メンバーとの協調

• Patient request approach

(住民との協調)

• 社会的医療資源の活用

Continuity

(継続性)

Accessibility

• 「ゆりかごから墓場まで」

• 病気の時も健康な時も

• 病気の時は外来-病棟-外来へと継続

的に

• 医療内容の監査システム

• 生涯教育

(責任性)

• 患者への十分な説明

日 本 プ ラ イ マ リ ・ ケ ア 連 合 学 会 ホ ー ム ペ ー ジ https://www.primarycare.or.jp/paramedic/index.html)より筆者が作図

51

図2

新・家庭医療専門医のコンピテンシー

日本プライマリ・ケア連合学会ホームページ(https://www.shin-kateiiryo.primarycare.or.jp/competency)より筆者が一部改変

52

表 1 日本語版仕事の意味尺度(J-WAMI)

仕事には,人それぞれに色んな意味があります. 以下の項目は,あなたの人生の中で仕事がどの

ような役割を果たしているのかを聞くものです. 各項目が,あなた自身とあなたの仕事にどのく

らい当てはまっているかをありのままにお答えください.

1 私は,有意義なキャリアを見つけてきた

10

自分の仕事は,自分自身の成長に貢献すると

思っている

私の仕事は,実際には,世界に変化を何も生

み出していない

私は,自分の人生の意味に仕事がどうつなが

るのかを理解している

私は,自分の仕事を有意義なものにするのは

何なのかを十分に感じている

私は,自分の仕事は,世界にポジティブな変

化を惹き起こすことを知っている

自分の仕事を通じて,自分自身をよりよく理

解することができる

私は,満足できる目的のある仕事を見つけて

きた

自分の仕事を通じて,自分の周囲の世界の意

味を理解することができる

私がしている仕事は,より大きな目的のため

に役に立っている

53

図 3 解析対象者のフローチャート

オンライン調査票を閲覧した医師(n=330 )

参加に同意なし(n=5)

参加に同意(n=325)

・1 問目に回答なし

(n=36)

・回答を中断

(n=21)

解析対象者(n=268)

54

図4

J-WAMI 合計点のヒストグラム

人数

14 16 18 20 22 24 26

28 30

32 34

36 38 40 42

44 46 48 50

J-WAMI 合計点

55

表 2 参加者の基本属性の J-WAMI 低得点群と高得点群での比較

全体

n=268

低得点群

高得点群

<38 点

≥38 点

n=121

n=147

P値

性別, n (%)

199 (74.3)

88 (72.7)

111 (75.6)

0.538

20.2 (10.7)

21.2 (10.0)

19.4 (11.0)

0.167

パートナーと同居, n (%) **

217 (81.0)

96 (79.3)

121 (82.3)

0.537

子供と同居, n (%) **

157 (58.6)

63 (52.1)

94 (63.9)

0.049

81 (30.2)

36 (29.8)

45 (30.6)

0.879

小都市以下, n (%) **

96 (35.8)

44 (36.3)

52 (35.6)

中都市以上, n (%) **

172 (64.2)

77 (63.6)

95 (64.6)

診療所, n (%) **

135 (50.4)

60 (49.6)

75 (51.0)

病院, n (%) **

132 (49.3)

61 (50.4)

71 (48.3)

199 (74.3)

90 (74.3)

109 (74.1)

男性 **

医師としての経験年数, 年, 平均 (SD) *

家族構成 (複数選択)

JPCA 認定家庭医療専門医の取得, n (%) **

勤務地のある都市の規模

0.866

勤務施設の種類

勤務施設での学生・研修医・専攻医の受け入れ

の有無, n (%) **

0.772

0.966

J-WAMI, Japanese version of the work as meaning inventory(日本語版仕事の意味尺度); SD, standard deviation(標準偏差); JPCA,

Japan Primary Care Association(日本プライマリ・ケア連合学会)

*, t 検定; **, カイ二乗検定

56

表 3 J-WAMI 合計点, 各仕事への関わり, 各仕事への熱意の J-WAMI 低得点群と高得点群での比較

低得点群

高得点群

<38 点

≥38 点

n=121

n=147

38(34-41)

34 (30-36)

41 (39-44)

<0.001

ポジティブな意味, 中央値 (IQR)*

16 (14-17)

14 (12-15)

17 (16-19)

<0.001

仕事による意味生成, 中央値 (IQR)*

12 (11-13)

10 (8-11)

13 (12-14)

<0.001

大義への動機づけ, 中央値 (IQR)*

10 (9-12)

9 (7-10)

12 (11-12)

0.003

外来診療, n (%) ***

265 (98.9)

118 (97.5)

147 (100.0)

0.091

訪問診療, n (%) **

190 (70.9)

83 (68.6)

107 (72.8)

0.452

病棟診療, n (%) **

124 (46.3)

57 (47.1)

67 (45.7)

0.803

救急診療, n (%) **

130 (48.5)

61 (50.4)

69 (47.0)

0.571

教育, n (%) **

204 (76.1)

82 (67.8)

122 (83.0)

0.004

研究, n (%) **

136 (50.8)

48 (39.7)

88 (59.9)

<0.001

地域活動, n (%) **

178 (66.4)

74 (61.2)

104 (70.8)

0.098

会議・マネジメント業務, n (%) **

210 (78.4)

88 (72.7)

122 (83.0)

0.042

外来診療, 平均 (SD)*

77.6 (19.8)

70.6 (22.4)

83.31(15.1)

<0.001

訪問診療, 平均 (SD)*

67.0 (31.5)

60.3 (31.3)

72.6 (30.6)

0.001

病棟診療, 平均 (SD)*

46.8 (35.2)

43.0 (35.9)

49.8 (34.5)

全体

n=268

J-WAMI 合計点 a, 中央値 (IQR) *

P値

下位尺度の合計点 b

各仕事への関わり (reference:no)

各仕事への熱意 c

0.119

57

救急診療, 平均 (SD)*

44.8 (32.0)

40.7 (31.5)

48.1 (32.2)

0.058

教育, 平均 (SD)*

59.5 (30.7)

51.2 (31.1)

66.4 (28.6)

<0.001

研究, 平均 (SD)*

42.2 (33.1)

34.4 (33.1)

48.7 (31.8)

<0.001

地域活動, 平均 (SD)*

59.7 (28.1)

52.5 (28.2)

65.6 (26.7)

<0.001

会議・マネジメント業務, 平均 (SD)*

47.3 (29.4)

41.7 (28.9)

51.8 (29.1)

0.005

J-WAMI, Japanese version of the work as meaning inventory(日本語版仕事の意味尺度); IQR, interpuartile range(四分位範囲);SD,

standard deviation(標準偏差)

*, t 検定; **, カイ二乗検定; ***, Fisher の正確性検定

a: 合計点は最大 50 点

b: 合計点はポジティブな意味が最大 20 点, 仕事による意味生成が最大 15 点, 大義への動機づけが最大 15 点

58

図 5-1

各仕事への熱意のヒストグラム(臨床業務)

59

図5-2

各仕事への熱意のヒストグラム(臨床業務以外)

60

表4

J-WAMI 高得点群に関連する要因に関する

ロジスティック回帰分析の結果

OR

(J-WAMI

95% CI

P値

高得点群)

医師としての経験年数

0.99

0.96-1.02

0.376

男性

(reference:女性)

1.59

0.89-2.85

0.115

子供と同居 (reference:なし)

1.43

0.81-2.52

0.219

教育への関わり (reference:なし)

1.53

0.73-3.21

0.250

研究への関わり (reference:なし)

2.85

1.39-5.84

0.006

地域活動への関わり (reference:なし)

1.31

0.69-2.46

0.409

1.29

0.63-2.65

0.625

外来診療への熱意 a

1.04

1.02-1.06

<0.001

訪問診療への熱意 a

1.01

1.00-1.02

0.254

救急診療への熱意 a

1.00

0.99-1.00

0.559

教育への熱意 a

1.00

0.99-1.02

0.366

研究への熱意 a

1.00

0.99-1.01

0.638

地域活動への熱意 a

1.01

0.99-1.02

0.375

会議・マネジメント業務への熱意 a

1.00

0.99-1.01

0.988

会議・マネジメント業務への関わり

(reference:なし)

OR, odds ratio(オッズ比); CI, confidence interval(信頼区間)

a:熱意は 0-100 の visual analog scale で測定

61

表 5 PM 高得点群であることに関連する要因に関する

ロジスティック回帰分析の結果

OR

(PM 高得点群)

95% CI

P値

医師としての経験年数

1.02

0.99-1.05

0.331

男性

1.56

0.86-2.82

0.140

子供の有無 (reference:なし)

1.63

0.91-2.91

0.102

教育への関わり (reference:なし)

1.40

0.65-3.00

0.391

研究への関わり (reference:なし)

2.51

1.20-5.28

0.015

地域活動への関わり(reference:なし)

1.64

0.87-3.11

0.127

1.71

0.81-3.60

0.159

外来診療への熱意 a

1.03

1.01-1.05

0.001

訪問診療への熱意 a

0.99

0.99-1.01

0.915

救急診療への熱意 a

0.99

0.98-1.01

0.355

教育への熱意 a

1.01

0.99-1.03

0.085

研究への熱意 a

0.99

0.98-1.01

0.489

地域活動への熱意 a

1.02

1.00-1.03

0.024

会議・マネジメント業務への熱意 a

0.99

0.98-1.01

0.384

(reference:女性)

会議・マネジメント業務への関わり

(reference:なし)

OR, odds ratio(オッズ比); PM, positive meaning(ポジティブな意味);

CI, confidence interval(信頼区間)

a:熱意は 0-100 の visual analog scale で測定

62

表 6 MM 高得点群であることに関連する要因に関する

ロジスティック回帰分析の結果

OR

(MM 高得点群)

95% CI

P値

医師としての経験年数

0.99

0.97-1.02

0.601

男性

1.36

0.77-2.43

0.295

教育への関わり (reference:なし)

1.77

0.85-3.70

0.126

研究への関わり (reference:なし)

2.54

1.23-5.25

0.012

地域活動への関わり(reference:なし)

1.72

0.91-3.21

0.091

0.99

0.47-2.06

0.968

外来診療への熱意 a

1.03

1.01-1.05

<0.001

救急診療への熱意 a

1.00

0.99-1.01

0.478

教育への熱意 a

1.00

0.99-1.02

0.543

研究への熱意 a

0.99

0.98-1.01

0.355

地域活動への熱意 a

1.01

0.99-1.02

0.319

会議・マネジメント業務への熱意 a

0.11

0.99-1.02

0.124

(reference:女性)

会議・マネジメント業務への関わり

(reference:なし)

OR, odds ratio(オッズ比); MM, meaning making through work(仕事による意味生

成); CI, confidence interval(信頼区間)

a:熱意は 0-100 の visual analog scale で測定

63

表 7 GG 高得点群であることに関連する要因に関する

ロジスティック回帰分析の結果

OR

(GG 高得点群)

95% CI

P値

医師としての経験年数

0.94

0.91-0.97

<0.001

男性

1.27

0.67-2.40

0.472

0.47

0.19-1.20

0.114

教育への関わり (reference:なし)

2.43

1.03-5.70

0.042

研究への関わり (reference:なし)

2.13

0.94-4.81

0.070

1.40

0.62-3.27

0.415

外来診療への熱意 a

1.04

1.02-1.06

<0.001

訪問診療への熱意 a

1.01

0.99-1.02

0.410

病棟診療への熱意 a

1.01

1.00-1.03

0.046

救急診療への熱意 a

0.98

0.97-0.99

0.011

教育への熱意 a

1.01

0.99-1.02

0.239

研究への熱意 a

1.00

0.99-1.02

0.665

地域活動への熱意 a

1.01

0.99-1.02

0.498

会議・マネジメント業務への熱意 a

1.01

0.99-1.02

0.116

(reference:女性)

勤務施設での医学生・研修医の受け入れ

(reference:なし)

会議・マネジメント業務への関わり

(reference:なし)

OR, odds ratio(オッズ比); GG, greater good motivation(大義への動機づけ); CI,

confidence interval(信頼区間)

a:熱意は 0-100 の visual analog scale で測定

64

表 8 参加者の属性

n=14

性別

男性

女性

医師としての経験年数

19.2 (7.3)

平均 (SD)

専門医・認定医の有無

勤務地

JPCA 認定家庭医療専門医

11

JPCA 認定プライマリ・ケア認定医

関東地方

北海道, 北陸, 近畿, 中国, 九州

各1

JPCA, Japan Primary Care Association(日本プライマリ・ケア連合学会)

65

表 9 抽出されたテーマ, コード, 代表的なテキストデータ(プライマリ・ケア医が意味があると感じる仕事の経験)

テーマ

2次コード

1次コード

<幅広い疾患

の診療>

<未知の事柄

への遭遇>

<未分化で多様な

症状への対応>

<患者が持つ

幅広く多様な

問題からの学び>

<適切な

[医学の専門家と

鑑別診断>

しての基本的

<総合的な疾患

能力の発揮】

の診断と

マネジメント>

<繰り返し

出会うコモン

ディジーズ診療

<コモンディジーズ

の質の担保>

のマネジメント>

<疾患に対する

適切なマネジ

メント>

テキストデータ

対象者

番号

「(多世代への対応や多疾患併存、疾患の初期段階を含めた)いろいろな病

気を診られるということは、とても自分にとっては大事で、やりがいを感じ

るのです。」

「日々、勉強といいますか、知らないことがとてもたくさんあるということ

が、とても自分にとっては、面白く、ある意味、やりがいかなと思いま

す。」

「自分はいろいろなことに興味があって、いろいろなことの知識を増やして

いきたいのです。この仕事は、目の前の患者さんに無数の問題があるではな

いですか。そういった意味で、自分の医学的なモチベ(モチベーション)に

事欠かないのが、自分は医者としては価値を置いてます。」

「普通に鑑別(診断)があたるとかでも、嬉しいんだと思います。」

まずは、生物医学的な診断がしっかりできるとかいうことは、一番になるか

なと思うので、自分の診断が合っていて、ある程度マネージメントできて、

患者さんが実際に良くなっていくとか、ということができる時は、もちろん

12

それは、医師としてのやりがいかなとも思っています。

「高血圧の初診みた時に、初めに、血糖が高いかどうかを診て、(他の疾患

との相互評価のために)これとこれを抑えていくところをきちんとやり続け

ること、(中略)プライマリ・ケア医は、コモンディジーズ(日常よくある

疾患)のプロですので、コモンディジーズを、きちっと押さえていくこと

は、(プライマリ・ケア医の)品質として大事だと思います。」

「(日々の診療で)患者さんのケアをして、それが、良い方向に行ったりと

かする時に、とてもやりがいを感じたりします。(中略)医師のスキルとし

て、良いマネジメントができたということに対する喜びなのでしょうか、そ

13

れがシンプルにあるかなと思います。」

66

テーマ

2次コード

1次コード

<複雑な症例を

包括的にマネジ

メントし、安定化

させた経験>

<複雑な症例を

安定化させた

<包括的、多面的に

経験>

関わる事で患者の

転機が変わった経験>

【人や課題への

包括的な

<複雑困難事例

アプローチ 】

への関わり>

テキストデータ

対象者

番号

「救急に頻繁に来るような(心理社会的な問題と複数の疾患が関わりあって

いる)人たちとか、(中略)訪問診療では患者さんの生活に入っていきなが

ら、患者さんのトータルの状況を見ながら、マネジメントするのは、専門性

が活かせる様な気もしますし、結果的に自分の満足度にも繋がっていま

す。」

「他の人でなく、自分が総合的に関わった結果うまくいったなと思える瞬間

はやりがいに感じる。例えばワンストップでいろいろな病気をまとめてみた

り、病気だけではなくて社会的なところも配慮しながらケアしていくなどで

す。」

「みんなが湧けたいと思うような(複雑な)症例に出会った時、自分がこの

ようなもの(症例)に関われて良かったと思います。自分だから関われると

10

いう気持ちがあるのでしょうか。」

「患者さんと、打ち解けて、何気ない診療以外の生活に関する相談が出来て

<病気以外の

<病気以外の事も

いる時はすごくやりがいを感じたりします。(中略)病気だけみるのであれ

相談される>

ば、どの科の先生もできると思うので、それ以外の事をできているというの

は、やりがいを感じます。」

事も相談された

経験>

「(医学的な問題の)裏にあった子育ての悩みですとか、その人にとっては

<病気以外の悩み

病院で話す内容ではなかった様なことを話したことで、少し楽になるみたい

を引き出す>

な経験が大事なのかなと思って。身体の症状を窓口にして、その裏にあった

14

日常の悩みが出て来る事があると、意味があったと思います」

67

テーマ

2次コード

1次コード

テキストデータ

対象者

番号

「やはり看取りというところは、自分としては、とても大事なことをやらせ

<患者の人生に

てもらっているのだろうなという風に(思います)。(看取りは)その人の

とって大事な瞬間

人生にとって、何か役に立つことを出来たということを感じられるではない

である看取り>

ですか。(中略)そこはやはり、かなり自分にとってもインパクトは大きい

なとは思います」

「家族が微妙な関係性(の時が私が関わり始めたとき)で、(例えば)少し

<看取りを通じた

遠くに息子さんがいたり、昔のわだかまりがある人たちが家族にいる場合、

家族ダイナミクスの

その家族の一人が亡くなることをきっかけに新しい家族の形に転換する場に

変化に立ち会う>

立ち会えることがあります。それは、私の心が落ち着いた感じになりまし

<家族ケアも含めた

た。」

在宅看取りの経験>

「少しでも家族が、ずっと気に病むようなことがない様な看取りが出来れば

【人や課題

<家族の後悔を軽減

への包括的な

する看取りの

アプローチ 】

プロセスの構築>

よいなと思って。(中略)(家族に適切なタイミングで情報提供する事で)

その(人に囲まれて幸せそうに亡くなっていく)ような場が作れること自

12

体、私たちが作ったわけではないことも多いのですけれど、(中略)とても

やりがいがあるなと思っています。」

「良い看取りができて家族から感謝されたりするときです。(中略)看取り

<在宅でのより

良い看取り>

期の段階になって、直前で入院する、しない、みたいな話が出てきてしまっ

た様な場面でも、きちんとコミュニケーションを取ってて場を落ち着かせ

13

て、自宅での看取りに何とか着地させたという所は、良い仕事をしたな、と

感じます。」

「科の切れ目になる時期はやりがいを感じます。例えば、産婦人科から小児

<科と科の切れ目

を埋める経験>

科とかの移行で継続的に子供や母親を見るとき。在宅では、専門内科とか、

外科から紹介を受けたり、がんを診てもらっていた専門科から終末期の紹介

14

を受けたりします。そういういう科の切れ目になるところを繋いであげられ

るのが、私は家庭医として、一番意義を感じています」

68

テーマ

2次コード

テキストデータ

1次コード

対象者

番号

「ここは耳鼻科ではないと知っているけれど、耳が痛いのですと受診した

り、こんなことを質問して良いのかわからないのですがと言って、親の病院

<どんな症状でも

での診療について心配なので今日は相談に来ました、と言われることがあり

相談される関係>

ます。それを聞くと、そのために私がいるのです、という気持ちになりま

す。」

<人生の節目を

共有するパートナー

として選ばれる>

「外来の人は、もう15年くらいの付き合いになります。そうすると、一緒に

人生を生きているみたいな感じがするのです。(中略)それ(患者さんの人

生に起こる出来事を)共有できる相手に選んでくれていることが、とても有

り難いなという風に思ったりします。」

「先生だったら何でも相談できるのでと言って、話してくれる患者さんはい

【継続性から

構築される患者

との信頼関係】

<患者家族に

<共に人生を歩む

らっしゃいます。自分はこの人にとって、何でも相談できる人とみなされて

とって価値のある

価値のある存在

いるのだな、つまり、その人の人生を歩んでいく中で、(その人にとって)

存在として

として捉えられる>

利用価値のある存在になれているのだなという風に思える時が、嬉しいです

頼られる経験>

ね。」

「ある程度こういった場所(診療所)で継続的にやることで、患者さんとの

<家族も含めた属人的

信頼関係とか人間関係が、段々熟してくるのです。(中略)そういった中

で継続的な関係から

で、この患者さん家族にすごく信頼してもらえている、ということを実感で

得られる信頼感>

きる瞬間とかは、自分のやりたい仕事ができているな、貢献できているな、

やはり意味のある仕事だな、という様に思います。」

「ずっとタバコを吸い続けて、禁煙はしないと言っていた人が、急に気持ち

<患者が生活習慣

が変わって禁煙外来やることにした、という人がいます。そういう時は、す

を自ら顧みる機会

ごく(継続して医師を)やっていて良かったなとか思います。(中略)自分

を提供できた経験>

がその患者さんの生活にとって、良いことをしたのだろうなと思えると、そ

れはとても自分にとっては良い瞬間なのかなと思います。」

69

テーマ

2次コード

多職種間の円滑

<ディスコミュニ

な情報共有を

ケーションの防止>

進める経験>

最善のケアを提供

できているという感覚>

困難事例

の経験】

<多職種で最善の

ケアを提供できて

いるという感覚>

番号

が、どうしても医療者で話が進んでしまって、ご家族がその内容を分かって

いない状況でした。そこで、私から話の内容を改めて説明して、家族がなる

ほどと理解してくれました。家族を置いてけぼりにしなくて済んだのは良

かったです。」

<多職種でできうる

共に対峙する

対象者

「この間、退院前カンファ(レンス)に行った時に、ご家族もいたのです

<患者家族や

【多職種と

テキストデータ

1次コード

<多職種でできうる

最善のケアを提供

できているという感覚>

「医者一人ではなく、看護師さんが力を発揮してくれている、リハビリの理

学療法士さんが力を発揮してくれている、事務の方々がフォローしてくれて

いる。みんなで患者・家族のために関われている実感がある時は、多職種

チームの力で、チームの価値を最大化できているな、と思います。」

「病気だけではなくて、他職種との、例えば、看護師さんとか、訪看さんと

か、ケアマネさんとか、いろいろな人に協力してもらって、何とか(状態

を)上げていった症例は、いろいろな人が関わってくれて、チーム力で対応

できたことが、何か良かったと思えるかなと思います。」

<多職種で個々の

「お家にいたいという、本人の物語を支えると言いますか、こうしたいとい

患者の状況に即した

う思いを、みんなで相談しながら叶えて行くということも、一つ、(意味を

医療を提供する>

12

感じる)大きな要素だなと思っています。」

70

テーマ

2次コード

テキストデータ

1次コード

対象者

番号

「何か不都合があるけれど家で過ごしている患者さんで、医学的な見解と

<多職種との関わり

か、医学的な対応とかが必要な人がいるわけです。そこに、(多職種から)こ

の中で医師としての

の人診てと言われて、主治医として役割が果たせることによって、医師から

役割を果たす>

のプロとしての意見とか、そういう今まで得られなかった部分に(自分の役割

を)はめられるというのが、良いかな。」

「多職種の人と話した時に、やはり先生にお願いしたいみたいに言われる時

に、価値を感じます。例えば、近隣に小児科はいくつもあるのですが、困難

【多職種と共に

対峙する困難

事例の経験】

<多職種より困難事例

事例とか、お母さんが鬱とか、そういう人をしょっちゅう紹介してくれるの

の紹介を受ける>

です、保健師さんが。後は、ケアマネさんが、他の患者さんを何故か、あの

<多職種の中

クリニックに行きなよと言われて、(中略)そのようなときに意味を感じま

で医師として

すね。」

頼られそれに貢献

できた経験>

コミュニティースクールと言うものがあるのです。(中略)その様なところ

<地域活動に参加し

医師としての

役割を果たす>

で、最近、不登校の子や学校医が議論に参加したり、(その後)私が医者と

して、診療所でその子をフォローしたりとか、その様なことが、やはり、地

域に根付いた家庭医ならではと思います。(小児科の専門医と)病診連携を

上手くやりながら、普段はここでフォローする、(または)学校と連携する

みたいな、それは結構、最近のトピックでしょうか。

医師が発言することで上手く収まる事態というのが、たまにあると思ます。

<多職種との関わりの

複雑な事例においても、どの様に言えば、その家族やその人に伝わるか、と

中で医師としての

いうことを考えながら、ずっとやっているところです。(中略)そういう仕

役割を果たす>

事に価値がある(と思っており)、役割が与えられていることはやっていこ

12

うかなと思っております。

71

テーマ

2次コード

1次コード

テキストデータ

<学習者の

「学生、研修医、専攻医が、段々成長していくのを見ると、医者という職業

ポジティブな

を志す人の成長になんらかの良い方向で関わりが出来ているというのを実感

成長に関わる経験>

対象者

番号

します。それも、医者の(仕事の)意味かなと思います。」

<コミュニティー

「診療所実習をしている学生さんには、地域の第一線の診療所で現場を通じ

を教育の場として

て学べる環境を提供したいです。それに、とても意味を感じます。」

提供する経験>

<学生への教育が

学生がずっと来ないと、生涯教育が成り立たないです。(中略)それ(患者

自身の生涯教育

さんや治療に関する説明)は自分の生涯教育として使っています。(中略)

となる>

学生実習は最高な、自分にとっての栄養、営業ではなくて糧です。

「(専攻医の教育に関しては)教える、教えられる側、というよりは、殆ど

<生涯学習に

【医療者教育

つながる共学者

への貢献】

としての関わり>

<教授者から共学者

一緒に学んでいる感じです。そのようなスタンスを見せることで、総合診療

となる生涯学習>

医の生涯教育を感じてもらいつつ、教育ができて、総合診療医が増えると良

いなと思います。」

「(誰かに)教えることは、自分も教えてもらうことになると思うので、お

互いに高め合うことが実感できる。それが教育の良い所ので はな いか なと

<学生への教育が

思っています。」

自身の生涯教育

「個人的にポートフォリオ(学びが深い症例のレポート)の教育が好きで、

となる>

(中略)思いを深めたりとか、省察を一緒にしたり、という作業はとても好

きです。(中略)たぶん自分の振り返りにもなっているからなのかも知れま

14

せん。」

この地域での総合診療医の教育は、私たちにしか教えられないと思う気持ち

でやっています。それは、同じ様なフィールドがあったとしても、教え方と

<プライマリ・ケア

か、見せ方で、全然、(専攻医の)学び方が違います。

医としての

「学生さんや研修医に(私の診療を)見ていただいた時に、先生みたいに患

ロールモデル>

者さんに寄り添える人になりたいです、と言われるときがたまにあります。

その時は、率直にうれしいです。家庭医にやりがいを持って働いている場面

を見せて、それが伝わった時に、やりがいになります。」

12

72

テーマ

2次コード

1次コード

テキストデータ

対象者

番号

「如何にチームを作るか、如何に仲間を作っていくか、というところが、と

てもやりがいとリンクしているのです。今も地域包括ケアでは、行政の仲

<地域の医療の改善

に取り組むための

<社会のニーズに

チーム作り>

応えるための

たちと(地域包括ケアを構築することが)大事だなと思いながら関係を作っ

てきて、それが実る形で(地域包括ケアの)事業計画が進んでいくと、私

は、このため、この日のために関係を作り、仕事をしてきと思うのです。来

年から始まる(地域包括ケアに関わる)事業が進むのですが、この事業をや

チーム作り>

るために(これまで関係や信頼を)積んできたのだなと思います。」

<チーム環境を

整え、チームの成長

への貢献をしている>

【地域や社会

<社会からの医療ニーズ

への貢献】

間、地域の介護や福祉の事業所、医師会の仲間も大事にしています。その人

に対応する>

「チーム全体、クリニック全体として良いパフォーマンスができないと、結

果的に、(チームの)価値を下げてしまうということがありますので、やは

り、メンバー一人一人の成長をしっかり求めていかないといけないのだな、

13

ということを感じています」

「(新型コロナウィルス感染拡大に伴う発熱外来の設置に関して)やはりそ

れをやらなければいけないという社会的要請が大きいので、私はそこ(発熱

外来をおこなうこと)にとても価値を感じています。」

「地域活動に関しては、やはりプライマリケア医とか家庭医ではないとやっ

<所属組織や社会

<地域活動への

からのタイムリー

積極的な関わり>

な医療ニーズに

ていないし、そっちに目が行かないだろうなと思います(園医の依頼が来た

時に)うちの診療圏なので、無条件に、もちろん当たり前のようにはいはい

と(引き受けました)。(中略)地元の子育てサロンとかの講演依頼とか、

敬老会の講演とか、そういうのは時々、もちろんですという感じでやってい

対応できる経験>

「自分が仕事を選ぶというよりは、入れ物(所属組織)とか(組織や社会

<医療機関の求めに

の)状況に合わせて(診療を)行う人たちが、総合診療医です。俺、これや

応じて状況に合わせた

れるから(この問題に困っている)患者は集まってこい、という態度ではな

業務を行う>

いです。私、そこに行って、(所属組織や社会から)求められることをやり

ます、という態度が総合診療医だと思っています。」

73

テーマ

2次コード

1次コード

テキストデータ

対象者

番号

「それ(研究を行うこと)が少しでも社会を変える判断の根拠になると、と

<より社会に近い

ても嬉しいという風に思います。臓器専門医の先生も、そこで沸くリサーチ

領域の研究

クエスチョンに対してアプローチしているというのが通常かなとは思うので

への関わり>

すが、我々(プイライマリ・ケア医)の研究は、それ(リサーチクエスチョ

ン)がより社会に近いのではないかなという風に思います。」

<地域の課題解決

につながる知見

を発信する経験>

【地域や社会

「全国の介護レセ(レセプト)を、何年分も集めて、介護の評価をした研究

<現場での疑問を

研究にし、その結果

への貢献】

で社会が変わる>

をしました。(中略)そこで、(介護の)実態を、しっかりと研究にして出

すと、政策が変わっていくこともありますので、それによって目の前の診療

が変わっていく。その診療から得られた結果をもっと大きなデータとして数

字を使って分析して、発信する。この診療と研究を、両方ぐるぐる回すのは

とても面白いです。」

「何か論文を書くと、こちらの雑誌にも投稿して下さいとか、専門性を踏ま

<研究を通して

えての査読依頼が、3日に1回くらい来るのです。(中略)そこで、世界の誰

世界とつながる

かの目に留まるということは、(自分の研究の知見が)世界の誰かの知的な

経験 >

刺激になっているのではないかなと思います。それは一研究者としては、と

てもやりがいを感じる部分です。」

74

表 10

テーマ

インタビューから抽出されたテーマ, コード, 代表的なテキストデータ

(仕事を続けていくうえでの課題)

2次コード

1次コード

テキストデータ

対象者

番号

制度の曖昧性であったりとか、その様なことを答える気がします。地域住民の

理解度とか、後は、医師会の力、市立、公立病院、私立の病院、診療所が相対

的にやはり多いので、コントロールができない。本来、医療はインフラだと思

<フリーアクセス

とかかりつけ医制度

<かかりつけ医制度

の両立の難しさ>

改革の困難さ>

いますが、そのインフラが、自由裁量権を持ち過ぎているので、それによって

コントロール不能な状態に今の日本はなっている。ですので、プライマリケア

も野放し状態に。(受診する医療機関を)自由に選択することが、本当に良い

ことなのかと言った時に、ある程度選択肢が狭められている方が、カオスにな

るくらいであれば、社会的弱者の人たちを落とさないためにも、その様な発想

も大事なのではないかと。その時に、プライマリケアというものが、一つの日

【インフラとして

<かかりつけ医

のプライマリ・

制度の未整備>

ケアの未整備】

<プライマリ・ケア医

の開業支援制度

の不足>

本のインフラとして成立させるという、基盤作りとか、医師会も一緒にやって

制度として、かかりつけ医というのをきっちり(規定)していないのは課題だ

と思います。例えば、きっちりすれば、かかられたかかりつけ医はしっかりし

なければ、と思う様な面もあるではないですか。

家庭医をやっている人で開業したりする人が多いと思うのです。その土地に家

庭医をやっている病院とか、クリニックがなければ、基本的に自分で開業しな

いといけなくなりますので、そうなると、開業とか、グループ診療をもう少し

14

学会とかが、支援してくれたら良いなと思います。

これから日本のプライマリケアを充実させていくためには、私たちみたいな生

え抜きの若手の家庭医、総合診療医だけの力では足りないと思うのです。これ

<多様な背景を持つ

開業医との連携不足>

まで歴史的に日本は、地域の開業医の先生が主にプライマリケアを担ってきた

のだと思うのですが、もちろんいろいろな先生がいて、それが日本のこれまで

の課題だったと思うのですが、でも、やはりその中には、とても良い先生が一

杯いるのです。その様な先生方とはしっかり連携していかないと、(プライマ

リ・ケア医が)全然足りないのではないかなとは思います。

75

テーマ

2次コード

1次コード

<知名度の低い

プライマリ・ケア医>

<プライマリ・ケア医

やプライマリ・ケア

の不十分な認知>

テキストデータ

対象者

番号

プライマリケア医の認知度が、低いのがやはり課題かなとは思います。患者さんが相談したいと

思った時に、総合診療科、プライマリケア医という概念が出てこないというのは、お互いに損失だ

なと思います。

家庭医のという存在の社会的な認知度がまだ行き渡ってはいないので、患者さんにも、医療ス

<プライマリ・ケアの タッフに対しても、理解してもらうのが(難しいと思っています)。もう少し時代が進んで、

認知度の低さ>

認知度が高まれば、患者さんの理解度の壁がもう少しなくなって、働きやすくなると言います

11

か、もっと、いろいろできることも広がるのかなとは思うことはあります。

<定着していない

まだまだプライマリ・ケアという概念とか名前とかが、世の中に浸透していないな、というのは感

プライマリ・ケア

じています。もちろん、それを専門とする私たちの仕事も、まだまだ理解されていないと言います

の概念>

13

か、広まっていない部分は感じます。

一つは、その専門医という名前、家庭医療専門医なり、総合診療専門医という名前が、あま

【普及・浸透が

難しいプライマリ

・ケアの価値】

<プライマリ・ケア

の専門性の認識不足>

り、世間一般に知られていないと思うので、(患者さんに)説明しにくいです。(中略)世間

の人たちは、何を診てくれるお医者さんかなとか、何科の先生かなと思うと思いますので、医

14

療者だけではなくて、一般の人への(プライマリ・ケアの)認知度もやや低いのかなというこ

とが、少し不安な要素ではあります。

私は個人的にはプライマリケアとか総合診療医というのは前途洋々ではないと思っています。地域

<時間を要する

プライマリ・ケア

の価値の浸透>

の医師会とかに行けば、どういう人なのだろうなと思われてしまっているのだと思います。まだま

だマイノリティだと思っているのです。(課題としては)専門医を持つことではなくて、専門医を

取ってから、(専門医としての)価値、存在感を出せるかではないでしょうか。そこ(専門医を

取った後)からどういう活躍をして、質の低い医療をしない様に、日々戦いです。(地域の開業医

に認められるようになるまで)それが後、30年は掛ると思っています。

<軽視される

プライマリ・ケア

の専門性>

世間的な評価みたいなところはあるのかなと思います。(中略)何となくプライマリ・ケアは

臓器別専門医に比べると、高く見てもらえない場合がある様な気がしています。(中略)だか

らこそ、しっかりと教育できる様なことをしていかないといけないのだなと思っています。

76

テーマ

2次コード

1次コード

<プライマリ・ケア

<複雑で不透明な

キャリアの不透明性>

プライマリ・ケア医の

キャリア>

【プライマリ・ケア医

<複雑なプライマリ・

ケアキャリアの整備>

のキャリアパスの

テキストデータ

対象者

番号

やはり魅力があるキャリアパス作りではないでしょうか、一番は。総合診療

は専門性があるものなのだというところが、あまり上手く社会や医学生とか

に発信出来ているのかという事は、未だに思います。

専門医制度が出来て、やはりみんなが専門医(の研修プログラム)に乗るとなる

と、総合診療、家庭医療の専門医の道を、ちゃんと整備して広げないと数がどん

どん減って行ってしまいますので、そういう面ではとても重要です。

学生や研修医でも、本当は(プライマリ・ケアを)やりたいなと思っても、

複雑性・不透明性】

<教育における

明確なキャリアパス

の提示不足>

結局辿り着けずに、専門医になって、そのまま医師の人生を終えている人と

かもいるのではないかなと思います。(中略)1、2年生とかで、結構、家庭

医に興味を持っている人が多い中で、3~6年生になって、研修医になって、

12

どんどん家庭医から遠ざかっていく、この現象をどうにかしたいな、と思っ

ているのです。

77

テーマ

2次コード

1次コード

テキストデータ

対象者

番号

(現在プライマリ・ケアを担っている元臓器別専門医の開業医が)プライマ

リケアになる時に、そこで、しっかりとそこを勉強された先生もたくさんい

<診療の質のばらつき>

らっしゃるけれど、残念ながら、玉石混交ですので。

開業医の、いろいろな地域で頑張っている先生方は、多かれ少なかれ、みん

な同じ様な感じになるのです。患者さんに揉まれると、みんなある程度のレ

<経験と省察の蓄積

ベルになってしまう、という気がするのです。大部分の開業医の先生方は、

で獲得可能となる

医師会などの活動をして、それ程変な人はいない様な気がしますので、それ

プライマリ・ケア

10

で家庭医療の専門的ないろいろなことを勉強した人と、どれだけ差が出てく

の専門性>

るのかなと言いますと、ある程度時間が経ってしまうと、あまり変わらなく

なってしまう ...

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