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大学・研究所にある論文を検索できる 「Local hyperthermia combined with CTLA-4 blockade induces both local and abscopal effects in a murine breast cancer model」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Local hyperthermia combined with CTLA-4 blockade induces both local and abscopal effects in a murine breast cancer model

伊吹, 依利子 大阪大学

2021.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
放射線治療の併用療法として用いられる局所温熱療法Hyperthermia (HT)は、腫瘍へ直接的な熱のダメージを与える。しかし近年では免疫細胞を賦活化することが知られている。熱に暴露された腫瘍から放出され、樹状細胞に作用し、免疫応答を誘導させる"danger signal”が、T細胞への抗原提示能が増強することが報告されている。一方で、免疫チェックポイント阻害剤は高い効果が望める免疫療法として近年注目されているが、HTとの併用効果に関しては未だ十分に明らかにされていない。そこで本研究では、活性化T細胞や制御性T細胞に発現するCTLA-4を抑制する抗CTLA-4抗体(C4)が、HTによる免疫賦活化の誘導の強化できると仮説を立て、HTとC4の併用療法の検討を行った。

〔方法ならびに結果(Methods/Results)〕
局所治療後に、治療を行っていない遠隔部位にある腫瘍も縮小する現象をアブスコパル効果と呼ぶが、本研究では遠隔転移の抑制への寄与を明らかにする為に、局所効果のみならずアブスコパル効果も含めた治療効果を検討した,マウス乳がん細胞株4T1を両足に接種したマウスに対し、3回のC4投与と、片足の腫瘍へのみ42.5° C、20分間のHTを行った。加温腫瘍(HT tumor)で局所効果を、非加温腫瘍(UnHT tumor)でアブスコパル効果を評価した。各々の腫瘍体積の経時変化、マウスの生存期間、肺への転移数を、無治療群、HT単独治療群、C4単独治療群と比較し解析を行った。その結果、HT tumor、UnHT tumorにおいて共に、併用治療群は最も強力な腫瘍増殖遅延を示した。またDay 28に治療開始日のDay1よりも腫瘍が縮小したマウスの匹数を解析したところ、HT tumor. UnHT tumor各
々において18匹中7匹であり(39%)、C4単独治療群と比較して有意に腫瘍制御率は高かった(各々P=0.009)。更に、C4単独治療群と比較して有意な肺への転移抑制と(P=0.040)、有意な生存の延長(P=0.024)が得られた。

次に、治療によって誘導される免疫環境の変化を明らかにする為に治療後のマウスの腫瘍内から腫瘍浸潤リンパ球を採取しHow cytometrylこよる解析を行った。細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、制御性T細胞、骨髄由来抑制細胞(MDSCs)の4種類を解析した。まずはHTのみによる免疫環境変化への寄与を調べる為に、無治療群とHT単独治療群で比較したが、HT tumor. UnHT tumorにおいて共に有意な差はみられなかった。次にC4単独治療群と併用治療群を比較した。HT tumorではヘルパーT細胞が有意に増加(P=0.023)、MDSCsが有意に減少した(P=0.013)。 一方、UnHT tumorでは、Helper T細胞が有意に増加した(P=0.014)。

更に、併用療法による腫瘍内の免疫環境の変化の治療効果への寄与を明らかにする為に、リンパ節からのリンパ球の流出を抑制する薬剤であるFTY720をマウスに投与して併用療法を行い、両足の腫瘍体積の経時変化、マウスの生存期間を解析した。HT tuffiorにおいては、FTY720投与群と未投与群に有意な差はなかった。これは熱による物理的なダメージあるいは、腫瘍接種からFTY720投与までの期間のリンパ球の作用が影響していた可能性が示唆された。一方UnHT tumorに関しては、FTY投与群は有意に腫瘍が増殖した(P=0.001)。治療によって誘導されるリンパ球の腫瘍への移行が、アブスコパル効果には重要であることが示唆された。

〔総 括(Conclusion)〕
本研究では、HTとC4の併用療法は局所効果だけでなく、アブスコパル効果をも増強させ、遠隔転移の抑制や生存の延長に繋がることを明らかにした。更に、併用療法は局所腫瘍内、遠隔部位の腫瘍内の免疫環境を共に優位な方向に変化させた。そしてアブスコパル効果には、治療によって誘導される腫瘍へのリンパ球の移行が重要であることが示唆された。