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大学・研究所にある論文を検索できる 「Impact of the Focal Apex Angle on Postoperative Decompression Status of the Spinal Cord and Neurological Recovery after Cervical Laminoplasty」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Impact of the Focal Apex Angle on Postoperative Decompression Status of the Spinal Cord and Neurological Recovery after Cervical Laminoplasty

加藤 慎也 横浜市立大学

2021.05.31

概要

1. 序論
一般に頚椎圧迫性脊髄症では圧迫主因子は脊髄前方に位置しているが, 頚椎椎弓形成術は後方から行う手術であり, 前方圧迫因子を直接除去出来ない為, 除圧の成否は前方圧迫因子の形態と頚椎アライメントに依存すると考えられる. そこで我々は前方圧迫因子を定量的に評価するためにFocal apex (FA) angle を考案した. また頸椎椎弓形成術後の手術成績は術後の脊髄アライメントに依存するとも言われている(kawakami et al, 2002). 本研究では頚椎椎弓形成術が行われた症例に対し, FA angle と頸椎のアライメントが術前, 術後の脊髄のアライメント, 術後神経症状の改善率に与える影響を検討した.

2. 実験材料と方法
2004 年 4 月から 2015 年 3 月までに横浜南共済病院, 関東労災病院で頚椎圧迫性脊髄症に対し頚椎椎弓形成術を施行し後述の評価項目データが揃った 109 例を対象とした. 疾患は頚椎症性脊髄症, 連続型, 混合型を除く頚椎後縦靱帯骨化症で, 外傷, 感染, 腫瘍, 頚椎の手術歴のある症例は除外した. 性別は男 73, 女 36 例, 手術時年齢は平均 67.3 歳であった. 立位X線側面像にて術前の C2-C7 前弯角(C2-C7 角)を計測した. 術前の前方圧迫病変の局所突出度は, 術前のcomputed tomography myelogram 矢状断像で脊髄最圧迫部先端とその上下椎体縁を結ぶ線の交角(FA angle)を計測し定量化した. 脊髄アライメントは MRI 矢状断像を用いて4型に分類(前弯型:L 型, 直線型:S 型, 局所後弯型:LK 型, 後弯型:K 型)した. 術後神経症状の推移はJapanese Orthopedic Association(JOA)スコアの改善率を Hirabayashi et al. (1981) の方法を用いて評価した.

3. 結果
平均FA angle は 32.1°, 術前平均 C2-C7 角は 12.4°であった. 神経症状の改善率は平均 42.2%であった. 術前の脊髄アライメントは L 型もしくはS 型が 63 例であり神経症状の改善率は 47.8%であった. 術前の脊髄アライメントが LK 型もしくはK 型の神経症状の改善率は 34.7%と有意に低かった. 術後の脊髄アライメントが LK 型もしくはK 型の症例の神経症状の改善率は 33.1%と術後の脊髄アライメントが L 型もしくはS 型の神経症状の改善率(48.8%)と比較し有意に低かった. 術前脊髄アライメントがL 型もしくはS 型の症例は術後も 87.3%の症例は同じL 型もしくはS 型であった. 術前脊髄アライメントがL型もしくはS 型の症例のうち C2-C7 角が術前平均値の 12.4°より小さく, かつ FA angleが平均値の 32.1°より大きい症例は 12 例存在し, そのうち 5 例は術後脊髄アライメントが LK 型もしくはK 型に変わっており, これらの症例の術後脊アライメントが変化する割合は有意に高かった. 術前脊髄アライメントが LK 型もしくはK 型の症例 46 例中, 6 例が術後L 型もしくはS 型に変わっていた. これらの症例のFA angle は脊髄アライメントが変わらなかった症例と比べ有意に小さく, 神経症状の改善率は有意に高かった.

4. 考察
術前, 術後の脊髄アライメントはL 型もしくはS 型は, LK 型もしくはK 型と比較し優位に神経症状の改善率が高かった. Kawakami et al. (2002) の報告によると脊髄のアライメントは前弯型が後弯型やストレート型より有意に神経症状の改善率が高かったと報告している.

術前, 術後で脊髄アライメントはほとんどの症例で変わりなかった. Chen et al. (2020)は椎弓形成術後, 除圧の中央部で脊髄の後方への移動が最も大きいと報告している. この報告より術前脊髄アライメントが後弯の症例は術後も後弯であることが予想されるが, 脊髄アライメントが前弯の症例が術後どうなるのかは不明である. 本研究より術前脊髄アライメントが L 型もしくは S 型の症例は術後もほとんどの症例は同じ脊髄アライメントを保っていた. これらの症例は術前 LK 型もしくは K 型の症例とくらべ有意に FA angle は小さく, C2-C7 角は大きい事が脊髄アライメントを保てた原因と考えられた. しかし少数ではあるが, 術前脊髄アライメントがL 型もしくはS 型であっても術後 LK 型もしくはK型となった症例が存在した. 脊髄アライメントが変わった症例とそうでない症例を比較すると術前 C2-C7 角, FA angle, 神経症状の改善率に有意差は認められなかったが, 脊髄アライメントが変わった症例は術前C2-C7 角が小さく, 神経症状の改善率が低い傾向にあった. さらに術前 C2-C7 角が平均値の 12.4 度より小さくかつ FA angle が平均値の 32.1 度より大きい症例は術前脊髄アライメントが L 型もしくは S 型であっても術後後弯化する可能性が高かった. 術前脊髄アライメントが LK 型もしくはK 型の症例で術後脊髄アライメントが変化した症例と変化しなかった症例の間で術前 C2-C7 角は有意差を認めなかったが変化した症例は有意に FA angle が小さく神経症状の改善率が高かった. このことから術前脊髄アライメントが LK 型もしくはK 型であっても FA angle が小さければ術後脊髄アライメントがL 型もしくはS 型になる可能性があり, 術後成績が良くなる可能性があると考えられた.

5. 結語
本研究から術前 C2-C7 角が 12.4 度より小さく FA angle が 32.1°より大きい症例では術前脊髄アライメントが良くても頚椎椎弓形成術後悪化する可能性があると考えられた. たとえ術前脊髄アライメントが後弯でも頚椎アライメントがストレートであり FA angle が 25 度より小さければ術後脊髄アライメントが前弯に改善する可能性があると考えられた.

この論文で使われている画像

参考文献

Chen HY, Yang MH, Lin YP, Lin FH, Chen PQ, Ming HH, Yang SH.(2020), Impact of cervical sagittal parameters and spinal cord morphology in cervical spondylotic myelopathy status post spinous process-splitting laminoplasty. Eur Spine J, 29(5):1052–1060. doi: 10.1007/s00586-019-06247-z

Hirabayashi K, Miyakawa J, Satomi K, Maruyama T, Wakano K. (1981) Operative results and postoperative progression of ossification among patients with ossification of cervical posterior longitudinal ligament. Spine (Phila Pa 1976), 6(4):354-364. doi: 10.1097/00007632-198107000-00005

Kawakami M, Tamaki T, Ando M, Yamada H, Yoshida M. (2002) Relationships between sagittal alignment of the cervical spine and morphology of the spinal cord and clinical outcomes in patients with cervical spondylotic myelopathy treated with expansive laminoplasty. J Spinal Disord Tech, 15(5):391-397. doi: 10.1097/00024720-200210000-00008

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