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大学・研究所にある論文を検索できる 「Straight Locking Miniplate Technique Achieves Submillimeter Accuracy of Condylar Positional Change During Bimaxillary Orthognathic Surgery for Patients With Skeletal Class III Malocclusion」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Straight Locking Miniplate Technique Achieves Submillimeter Accuracy of Condylar Positional Change During Bimaxillary Orthognathic Surgery for Patients With Skeletal Class III Malocclusion

髙須 曜 横浜市立大学

2021.01.31

概要

1.緒言
顎変形症とは,頭蓋および顎顔面骨格の異常に伴い,軟組織からなる顔の輪郭の異常や,咬合状態などに高度の異常を生じるものである.治療法としては歯科矯正治療後の顎矯正手術が施行され,その術式として上顎に対するLe Fort I型骨切り術および下顎に対する両側下顎矢状分割術(BSSO)を同時に施行する上下顎骨移動術が広く用いられている.BSSOの術後不良の要因として顎関節における下顎頭の位置異常が指摘されており,術後の後戻り,咬合不全,顎関節障害の出現が報告されている.よって,下顎頭を術中に術前の位置に正確に復位することが重要と考えられている(Epker et al., 1986).通常の術式では下顎頭の復位は術者の経験と感覚を頼りに徒手的に行われるため,下顎頭が正確な位置に復位されないこともある.近年,正確な上顎骨の位置決めの方法としてstraight locking miniplate(SLM)techniqueが考案された(Omura et al., 2012).SLM techniqueは顎矯正手術の際に特殊な装置を必要とせず,容易に上顎骨の位置決めが可能である.本研究ではBSSOの際に下顎頭を正確に復位するために,SLM techniqueを下顎骨に応用して下顎頭の復位を行い,下顎頭の位置を手術前と比較し,その精度について検討を行った.

2.対象と方法
対象は2016年1月から2017年12月までに横浜市立大学附属病院歯科・口腔外科・矯正歯科および横浜市立大学附属市民総合医療センター歯科・口腔外科・矯正歯科を受診し,骨格性下顎前突と診断されてLe Fort I型骨切り術とBSSOによる上下顎骨移動術を行った症例で,18歳未満の患者,頭蓋奇形患者,4mm以上の顔面非対称症例,顎関節症を有する症例は対象外とした.対象は18症例(36下顎頭)で,Le Fort I型骨切り術の上顎骨の位置決めはすべての症例でSLM techniqueを用いた.BSSOの下顎頭の復位において,SLM techniqueを用いた9症例(18下顎頭)をSLM群,徒手的に復位した9症例(18下顎頭)をManual群とした.術前と術直後に撮影したCTデータをPCソフトウェア内で重ね合わせ,その変化量を3次元的に計測した.フランクフルト平面を基準にX軸を左右,Y軸を前後,Z軸を上下方向の座標軸とした直交座標系より3次元的変化を測定し,SLM群とManual群を比較検討した.骨格計測点に3次元座標値を与え,移動量,角度変化を計測した(YangandHwang.2014).骨格計測点は下顎頭の近心極:MP,遠心極:LP,筋突起:CPとした.MPとLPの中点を下顎頭中心:CCとし,検討項目は術前と術後のX軸,Y軸,Z軸方向に対する各骨格計測点の移動量と,CCの3次元的移動量をユークリッド距離計算にて求めた.また,下顎頭の角度変化についてXY-平面(体軸面:axial),XZ-平面(冠状面:coronal),YZ-平面(矢状面:sagittal)を計測検討した.術前のMPとLPを結ぶ直線(下顎頭長軸)と,術後の下顎頭長軸が体軸面でなす角度をΔθ,冠状面でなす角度をΔωとして座標値より求めた.さらに,術前後のCCとCPを結ぶ直線が矢状面でなす角度をΔγとして求め比較検討した.SLM群とManual群の群間での比較をWilcoxon-Mann-Whitney検定にて行い,P値<0.05にて有意差ありとした.

3.結果
SLM群とManual群を比較したところ,CCの移動量はX軸でSLM群は平均-0.12mmに対して,Manual群は平均0.53mmであり,SLM群の移動量は有意に少なかった(P<0.05).Y軸,Z軸での移動量に有意差は認められなかったが,CCが3次元的に移動する量は,SLM群は平均0.62mmに対してManual群は平均1.44mmと,SLM群は有意に移動量が少なかった(P<0.01).以上よりSLM群はManual群よりも下顎頭を術前の位置に近い位置に復位されたことが示された.また,角度変化では矢状面でSLM群は平均-0.23°に対してManual群は-0.53°と,SLM群は角度変化においても有意に小さかった(P<0.01).

4.考察
BSSOの際に熟達した術者が下顎頭を徒手的に復位した場合,術後の移動量は1~3mmとの報告があるが,本研究でのSLM techniqueによる下顎頭の術後の移動量は平均0.62mmと徒手的な方法よりも優れていた.また下顎頭の復位方法としていくつかの装置が報告されているが,いずれも特殊かつ煩雑であることから復位では時間を要する.本研究で用いたSLM techniqueはわずか2枚のロッキングプレートで正確な上顎骨の位置決めと,下顎頭の復位を可能とする方法である.本法は簡易的で特殊な装置を必要とせず,さらに術者の技量に頼ることもなく,経験の少ない術者においても単純で容易に行うことが出来る有用な方法であると考えられた.

5.結論
骨格性下顎前突患者に対する上下顎骨移動術においてSLM techniqueを用いることにより,下顎頭の位置は従来の徒手的な方法より,正確に術前の位置に復位されることが示された.

この論文で使われている画像

参考文献

Epker, BN., Wylie, GA. (1986), Control of the condylar-proximal mandibular segments after sagittal split osteotomies to advance the mandible, Oral Surg Oral Med Oral Pathol, 62, 613–7.

Omura, S., Kimizuka, S., Iwai, T., and Tohnai, I. (2012), An accurate maxillary superior repositioning technique without intraoperative measurement in bimaxillary orthognathic surgery, Int J Oral Maxillofac Surg, 41, 949–51.

Yang, HJ., Hwang, SJ. (2014), Change in condylar position in posterior bending osteotomy minimizing condylar torque in BSSRO for facial asymmetry, J Craniomaxillofac Surg, 42, 325–32.

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