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大学・研究所にある論文を検索できる 「Respiratory syncytial virusの低温失活現象の発見とそのメカニズムの解明」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

Respiratory syncytial virusの低温失活現象の発見とそのメカニズムの解明

北井, 優貴 東北大学

2023.03.24

概要

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation

Respiratory syncytial virus の低温失活現象の発見とそのメカニズムの解明

東北大学大学院医学系研究科
基礎検査医科学

講座

氏名 Name

保健学 専攻

感染分子病態解析学
北井

分野

優貴

Respiratory syncytial virus (RSV)は主に小児において上気道感染を起こす呼吸器ウイルスであるが、新生
児や高齢者、免疫不全患者などには細気管支炎・肺炎といった重篤な下気道感染も引き起こし得る。本ウイル
スの診断方法の一つに培養細胞を用いたウイルス分離が挙げられる。この手法は迅速さという面で抗原迅速検
査や PCR 検査に劣る一方、臨床検体から感染性ウイルスを得ることができるという最大の利点を有し、得ら
れたウイルス株は、その抗原性の解析や抗ウイルス薬の薬効評価といった疫学的解析及び基礎研究に用いるこ
とができる。
しかし、臨床検体の取り扱いや使用する培養細胞の状態によってウイルス分離は失敗に終わることもしばしば
起こる。国立病院機構仙台医療センターウイルスセンターでは長年にわたってウイルス分離を行ってきた中で、
RSV のウイルス抗原が検体中にあるにも関わらずそこからウイルスが分離できない例が多数あったシーズン
が存在した。
そこで本研究では、その原因を探索することを目的に種々の解析を行った。その結果、臨床検体を低温保管
しているうちに RSV が失活していた可能性を見出し、実験的に調べたところ多くの分離株は 4℃程度の低温
で失活しやすく、逆に室温では失活しにくいという興味深い現象を発見した。そこでさらに、この低温におけ
るウイルス失活のメカニズムを解析することを目的に、低温失活株の代表格である RSV/Sendai/851/13 株を
用いて種々のウイルス学的検討を行った。その結果、4℃での 24 時間インキュベートはこのウイルス株を失
活させる一方、ウイルスの細胞への吸着と細胞内への取り込みには影響を与えていないこと、ウイルスと細胞
膜間の膜融合が顕著に阻害されていることが明らかになった。RSV のエンベロープ上に存在する Fusion (F)
蛋白、
その中でも prefusion form という立体構造をとる F 蛋白が膜融合能を有していることが知られている。
単クローン抗体 (palivizumab)を用いて prefusion form F 蛋白を検出すると、低温処理後のウイルスで
prefusion form の有意な減少が確認され、低温によって RSV の膜融合能を有する prefusion form F 蛋白が減
少したことで膜融合能の低下、ひいては失活が起こった可能性が考えられた。また RSV/Sendai/851/13 株を
1

(書式18)
低温処理をはさんだ継代を繰り返すことで、低温に対して安定性を有した変異株を得た。その変異株と親株の
間には F 蛋白の 148 番目のアミノ酸置換(I→T)が確認され、それぞれの F 蛋白を細胞に発現させたところ、
低温失活する親株由来の F 蛋白は低温に曝すことで、その膜融合活性を失うことが明らかになった。
本研究は RSV の分離率低下の原因探索を出発点として、本ウイルスの低温での失活現象を発見した。さら
にそのメカニズムは低温中における F 蛋白の構造変化によるものであることを示した。低温保管中における
ウイルスの失活は、ウイルス分離だけでなく、サプライチェーンにおける生ワクチン・ワクチン抗原の活性・
抗原性の維持に関わるため考慮する必要がある。RSV は未だ有効なワクチンが開発されていないため、本研
究の知見がその開発・運用に貢献できる期待がもたれる。 ...

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