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大学・研究所にある論文を検索できる 「シロイヌナズナ光合成組織における光合成依存的な細胞膜H⁺-ATPaseの活性化制御機構と生理的意義の解明」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

シロイヌナズナ光合成組織における光合成依存的な細胞膜H⁺-ATPaseの活性化制御機構と生理的意義の解明

木下(永縄), 悟 名古屋大学

2023.05.08

概要

学位報告4

別紙4
報告番号





















論 文 題 目 シロイヌナズナ光合成組織における光合成依存的な
細胞膜 H+-ATPase の活性化制御機構と生理的意義の解明


名 木下(永縄) 悟

論 文 内 容 の 要 旨
植物の細胞膜 H+-ATPase は細胞膜に存在する一次輸送体プロトンポンプであり、植物
の成長・発達に必須である。
細胞膜 H+-ATPase は C 末端から二番目のスレオニン (Thr)
がリン酸化され、そこに 14-3-3 タンパク質が結合することで活性化する。C 末端から
二番目の Thr は Protein phosphatase 2C D clade (PP2C-D) family タンパク質により
直接脱リン酸化を受けることでリン酸化レベルの調節がされる。これまでの研究によ
り、植物の光合成組織では光照射や外部からの糖の投与が、細胞膜 H+-ATPase の活性
化が誘導され、光照射による活性化は光合成依存的であることが明らかとなっている。
加えて、この現象はシロイヌナズナやゼニゴケを含む多くの陸上植物で保存された現
象である。しかしながら、光合成依存的な細胞膜 H+-ATPase の活性化制御の分子機構
や生理的意義などは未解明のままである。そこで、本研究では、まず、光合成依存的
な細胞膜 H+-ATPase の活性化制御機構について、次に、光合成依存的な細胞膜
H+-ATPase の活性化の窒素同化における役割について、さらに、細胞膜 H+-ATPase
の活性化が遺伝子発現制御における役割について解析した。
光合成依存的な細胞膜 H+-ATPase の活性化制御の分子機構について糖アナログや代謝
物解析を用いた解析を行なった。その結果、炭素代謝物の中でも、sucrose や glucose
といった糖ではなく、光合成時に産生される解糖経路やその下流の代謝物が細胞膜
H+-ATPase のリン酸化に必要であることを示した。また、遺伝子変動の網羅的な解析
により、PP2C-D を抑制する Small Auxin Up RNAs (SAURs) family の新奇アイソフ
ォーム SAUR30 が光照射・糖投与依存的に発現上昇することを見出した。加えて、プ

学位関係

ロトプラストを用いた一過的な発現により SAUR30 が細胞膜 H+-ATPase のリン酸化
を誘導することを示した。また、糖の投与のタイムコースをとり、細胞膜 H+-ATPase
のリン酸化が SAUR30 の発現上昇よりも早く誘導されることが分かった。
これにより、
シロイヌナズナでの葉での光合成依存的な細胞膜 H+-ATPase のリン酸化には時間的に
異なる 2 種の機構が存在することが明らかになった。
細胞膜 H+-ATPase の光合成に依存した活性化の生理的意義の解析では、細胞膜
H+-ATPase により形成される細胞膜を介したプロトンの電気化学勾配が物質輸送に利
用されていると考えた。光合成が盛んに行われている時に硝酸還元酵素が活性化され
ることがよく知られているため、葉での硝酸取り込みについて解析した。窒素安定同
位体を含む硝酸を用いた葉での硝酸取り込み速度を測定したところ、光合成依存的な
細胞膜 H+-ATPase の活性化は硝酸取り込みに正に寄与している可能性を示唆した。本
論文、第一章・二章の結果から、光合成依存的な細胞膜 H+-ATPase の活性化は窒素代
謝と光合成をつなぐ役割を担うことを提唱した。
実生胚軸での細胞膜 H+-ATPase 活性化の生理的な役割を明らかにすることを目的とし
て、光合成組織である植物の実生における細胞膜 H+-ATPase の活性化がグローバルな
遺伝子発現に与える影響についてトランスクリプトーム解析を行った。実生を細胞膜
H+-ATPase の活性化剤であるカビ毒素フシコクシンで処理すると、3000 を超える遺伝
子の発現変動を誘導した。細胞膜 H+-ATPase の活性化によって発現変動を示す遺伝子
群の中には細胞壁の構成に関わる遺伝子が存在し、また、発現変動の大きな遺伝子の
変異体では胚軸伸長の表現型が見られたことから、胚 軸伸長における細胞膜
H+-ATPase の寄与には遺伝子発現を介した制御機構が存在することを示唆した。加え
て、細胞膜 H+-ATPase 活性化によって変動する遺伝子群の中には、細胞膜 H+-ATPase
の活性制御に関わる遺伝子が複数含まれており、光合成組織での細胞膜 H+-ATPase の
複雑な活性制御機構も示唆された。
本研究により、植物の葉で細胞膜 H+-ATPase が炭素代謝物によって活性化される仕組
みを明らかにし、炭素と窒素のバランスを保つ役割や、網羅的な遺伝子発現誘導の役
割を担うことを明らかにした。

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