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書き出し

3Dテキスタイル技術による機能性と快適性に優れたクッション保護具の新たな設計方法

朱, 春紅 信州大学

2021.03.01

概要

1版

様 式 C−19、F−19−1、Z−19 (共通)

科学研究費助成事業  研究成果報告書
令和

元 年

6 月 12 日現在

機関番号: 13601
研究種目: 若手研究(B)
研究期間: 2016 ∼ 2018
課題番号: 16K16256
研究課題名(和文)3Dテキスタイル技術による機能性と快適性に優れたクッション保護具の新たな設計方法

研究課題名(英文)A new design method for cushion materials with functionality and comfortability
using three-dimensional textiles
研究代表者
朱 春紅(ZHU, Chunhong)
信州大学・学術研究院繊維学系・助教

研究者番号:80773100
交付決定額(研究期間全体):(直接経費)

3,000,000 円

研究成果の概要(和文):本研究は三次元中空構造を持つテキスタイルの設計方法及びそれをクッション材とし
ての応用の可能性に着目し、研究を行った。一般のジャカード織機を用いて、断面構造が円形の多層三次元織物
の設計、製織の可能性を検討した。その後、製織した織物を樹脂と複合材料にした後、製織パラメータがクッシ
ョン性に及ぼす影響を検討した。結果として、断面構造が円形の場合、断面のサイズが小さいほど、材料のクッ
ション性が向上することが分かった。

研究成果の学術的意義や社会的意義
本研究は着用可能なクッション保護材料に用いられる三次元テキスタイルの開発に関する研究である。現有の普
通の織機を用いて、断面が円形で、厚みのある三次元テキスタイルを設計、製織した。さらに、これらのテキス
タイルを用いて、ポリウレタン樹脂と複合して複合材料を作製した。クッション保護性を評価するため、圧縮試
験を行ない、断面のサイズやテキスタイルの層数(厚み)がクッション性に及ぼす影響を明らかにした。

研究成果の概要(英文):In this study, a new design method for cushion materials with functionality
and comfortability using three-dimensional fabrics was investigated. Firstly we discussed the
possibility of using conventional loom to weave three-dimensional fabrics. A kind of
three-dimensional fabric with circle-shape weft cross-section was designed and woven by a Jacquard
loom. In order to investigate the effect of circle size and fabric layers on the cushion property of
three-dimensional fabrics, we woven several sizes of fabrics by changing their circle size and
layers. After that, these three-dimensional fabrics were reinforced with Polyurethane and the
composites were evaluated by compression test. Results showed that circle size had an important
effect on the cushion property.

研究分野: テキスタイル工学
キーワード: 三次元テキスタイル 中空構造織物 複合材料 圧縮特性 クッション性



式 C−19、F−19−1、Z−19、CK−19(共通)

1.研究開始当初の背景
健康を追求するため、運動をする人が増えている。運動する際、膝や腕は衝撃を受けやすい
ため、特にサッカー、ラグビー、野球、スケートなど激しい運動をする時、クッション保護具
をつけなければ、関節が負傷しやすいと言われている。今までの研究によると、膝用クッショ
ン保護具を使用することで、
スケート運動時負傷を低減することができると発表された。
また、
膝保護具を使用しない人より、する人のほうが膝が保護されていることも発表された(大谷、
1999)。従来の研究は、特殊な糸を用いて開発したクッション材は曲げ剛性が高く、柔らかく
ないため、膝、腕の動きを妨げる懸念があった。さらに、不織布積層法を用いて保護具開発が
行われていたが、MD(経)方向での力学特性が低いため、実用に至らなかった。
一方で、三次元テキスタイルとは、全体的な三次元形状またはより複雑な内部三次元構造、
あるいはその両方を持つテキスタイルとして定義されている。Chen らの研究に基づいて、三
次元テキスタイルには、全体的に形状を持つ単層材料、多層中空材料、多層の固体平面材料、
及び全体の三次元形状を持つ固体多層材料が含まれている。三次元テキスタイルは、その低コ
スト及び取り扱いの容易さから、コンポジットの補強材料としてよく使用されている。これら
の三次元テキスタイルは、織ったり、編んだり、不織布にしたりすること、またはいくつかの
新しい方法で製造することができる。三次元テキスタイルの複合材料は、高強度、高剛性、軽
量、及び良好な耐疲労性など優れた機械的特性を有し、航空機、自動車、ならびにスポーツ、
保護、ジオテキスタイルなどに使われている。
三次元中空織物は、多孔断面を有する一種の織物である。多くの研究は、三次元中空織物の
製織技術、そして機械特性に着目した。しかしながら、これらの報告では、熱硬化性樹脂と複
合し、材料の剛性、強度、エネルギー吸収及び耐衝撃性の観点から議論されている。実際、三
次元中空織物は、クッション構造に使用するのに望ましい材料であり得る。
2.研究の目的
本研究は、3D テキスタイル製織技術を用いて、機能性と快適性に優れたスポーツ用クッシ
ョン保護具(膝、肘あて)の新たな設計方法を開発することを目的とする。具体的には、一定の
厚みをもつ三次元テキスタイルを設計、製織し、三次元テキスタイル構造材料を加熱加圧成形
した後、耐衝撃性をメインとする力学特性と着用性を評価し、クッション保護具の新たな設計
手法を提案する。
3.研究の方法
研究を設計・製織、複合材料の作製及び評価に分けて進める。
(1)三次元テキスタイルの設計・製織
今回は一般の織機でも製織可能な三次元テキスタイルを提案し、その設計方法を検討する。
よこ断面が円形の三次元テキスタイルの断面図を作成し、図 1 に示すように、織物の最小リピ
ートは、N 層と(N-1)層の二つがある。円形のサイズは交錯する糸の本数で決めるため、(2n+1)
で表す。平織りを基礎組織として設計する。断面図に基づいて組織図などを作成する。
Digital fabric system にて組織の再現をした後、ジャカードで製織を行なった。ここで、
設計した構造からたて糸、よこ糸の本数、中空のサイズ(直径)などの理論値を数式で表した。
今回はたて糸、よこ糸ともポリエステル糸で、N は 3、4、5、(2n+1)は 7、11、15 に設定し、計
9 種類の織物を製織した。織物の番号は 3L7P、3L11P、3L15P、4L7P、4L11P、4L15P、5L7P、5L11P、
5L15P である。

図 1.提案した円形構造織物のよこ糸方向断面図(a)、組織図(b)
(2)複合材料の作製及び評価
製織した三次元テキスタイルは、ポリウレタン樹脂を用いて複合材料に成形した。その後、
材料のクッション性を評価するため、圧縮試験を行なった。材料の厚みの 80%まで圧縮し、そ
の力-変位から、図 2 に示す応力-ひずみ曲線を作成し検討した。評価パラメータとして、ひず
みが 65%になった時の圧縮応力(CV65%)、圧縮プロセスにおける吸収されたエネルギー(EA)

及び圧縮レジリエンス(CR)を用いて評価し、円形のサイズやテキスタイルの層数が圧縮特性
に及ぼす影響を検討した。

図 2.代表的な応力-ひずみ曲線
4.研究成果
今回ジャカード織機を用いて、設計した三次元円形構造のテキスタイルを製織することが可
能となった。ポリウレタン樹脂と複合して作製した三次元テキスタイル複合材料は圧縮試験を
用いてクッション性を評価した。結果として、断面の円形のサイズが小さいほど、圧縮されに
くいことが分かった(図 3)
。CV65%、EA、及び CR の結果も同じ傾向を示している。また、層の
数も材料の圧縮特性に大きく影響していることが分かった。

図 3.異なる断面サイズの材料の応力-ひずみ曲線

図 4.変形のメカニズムと実物図

断面構造が円形の織物複合材料を、圧縮した際の材料の変形を図 4 に示している。図 4(a)
は荷重で円形を圧縮し、
(b)は円形を楕円形に変更し、さらに圧縮すると、
(c)を経て(d)の
ようにつぶされることが分かった。
本研究はポリエステルを用いて実験を行なったが、実用化のニーズに応えるため、今後高性
能糸を使用して検討する見込み。
5.主な発表論文等
〔雑誌論文〕
(計 1 件)
1.Chunhong Zhu, Jian Shi, Kasumi Hayashi, Hideaki Morikawa, Akio Sakaguchi, Qingqing
Ni. Effect of design parameters on cushioning property of cellular fabric composite. ...

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