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大学・研究所にある論文を検索できる 「Barrett食道癌周囲のBarrett粘膜におけるGlucocorticoid receptor (GR) 発現と粘膜固有層リンパ球浸潤に関する検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Barrett食道癌周囲のBarrett粘膜におけるGlucocorticoid receptor (GR) 発現と粘膜固有層リンパ球浸潤に関する検討

郷右近 祐介 東北大学

2020.03.25

概要

【研究背景・目的】
Barrett 食道癌(Barrett’s adenocarcinoma: BAC)の発生には胃酸と胆汁酸の暴露による慢性炎症が関与している。Glucocorticoids (GCs)は細胞内で GC receptor (GR)と結合し、炎症に関わる遺伝子の転写活性を調節することで、抗炎症作用を発揮する。GCs は上皮細胞からの炎症性サイトカインの発現を抑制し、間質においては CD8+細胞障害性 T 細胞の浸潤を抑制し、Foxp3+制御性 T 細胞の浸潤を増加させ、炎症反応を抑制することが報告されている。Barrett 食道(Barrett’s esophagus: BE)における GR の発現を検討した報告はないが、GR の作用は炎症から上皮細胞を保護し、発癌に抑制的に働く可能性がある。また、BAC 周囲 BE における GR の発現低下は抗炎症作用の低下を通じ BAC 患者の予後に悪影響をもたらす可能性がある。

【対象と方法】
当院及び関連7施設で切除された BAC 患者 87 例を対象とした。BAC 周囲の BE において CD3 (T細胞のマーカー)、CD8 (細胞傷害性 T 細胞のマーカー)、 Foxp3 (制御性 T 細胞のマーカー)、GR、GR によって転写調節を受ける serum- and GC-induced kinase-1 (Sgk1)、すでに BE からの発癌を予測するマーカーとして確立している p53 と Ki-67 を免疫組織化学的に検討した。さらに、扁平上皮癌もしくは悪性黒色腫の切除症例で、BAC を伴わない BE を持つ 13 例についても同様の検討を行い、BAC 周囲の BE と比較検討した。

【結果】
BAC を伴う BE は伴わない BE と比べて CD3+ 粘膜固有層リンパ球(lamina propria lymphocytes: LPLs)が高値を示した。BE の上皮細胞における GR の発現と間質での CD8+LPLs には負の相関関係があった。CD8+ LPLs高浸潤群は有意に予後不良であり(P = 0.019)、GR 低発現群、Sgk1 低発現群は有意に予後不良であった(P = 0.0008, 0.034)。多変量解析において、GR の発現低下は独立した予後不良因子であった(multivariate HR =3.19; 95% CI = 1.13– 8.92; P = 0.027)。

【結論】
本研究の結果から、BAC の発生に T 細胞の浸潤が何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。また、CD8+T 細胞の高度浸潤により組織傷害が遷延し、腫瘍の悪性度が増している可能性が示唆された。GRの活性化は CD8+T 細胞の浸潤を含む炎症反応を抑制した可能性があり、GR の発現低下によって炎症の抑制が不十分になり、患者の予後に悪影響を及ぼしていた可能性が示唆された。GR の低発現は独立した予後不良因子であり、GR-Sgk1 経路によって誘導される抗炎症作用に比べて GR が関わる他の経路の作用が強いことが示唆された。

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