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書き出し

意味性認知症をもつ人と家族のWell-beingを目指す病初期からのコミュニケーション支援への手がかり

柴, 珠実 大阪大学

2023.09.25

概要

Title

意味性認知症をもつ人と家族のWell-beingを目指す病
初期からのコミュニケーション支援への手がかり

Author(s)

柴, 珠実

Citation

大阪大学, 2023, 博士論文

Version Type
URL

https://hdl.handle.net/11094/93051

rights

Note

やむを得ない事由があると学位審査研究科が承認した
ため、全文に代えてその内容の要約を公開していま
す。全文のご利用をご希望の場合は、 href="https://www.library.osakau.ac.jp/thesis/#closed">大阪大学の博士論文につい
てをご参照ください。

Osaka University Knowledge Archive : OUKA
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/
Osaka University

様式3



















珠 実



意味性認知症をもつ人と家族のWell-beingを目指す病初期からのコミュニケーション支援への手がか

論文題名

り(Well-being of People with Semantic Dementia and Their Families: Clues to Communication
Support from the Early Stage of the Illness)

論文内容の要旨
<研究の背景>
意味性認知症(Semantic Dementia: SD) は前頭側頭型認知症(Frontotemporal dementia:FTD)のサブタイプのひ
とつである。治療法はなく、本人と家族は側頭葉の神経細胞の変性に起因する言語や性格の変化、共感性の喪失と
いった症状に多大な影響を受ける。SDの人と家族のWell-beingにはコミュニケーション障害への支援が重要である
が、ケアに関する指針となるものはなく、家族や専門職の語りから得られる知見を活用することが求められる。本
研究の目的は、SDをもつ人と家族のコミュニケーションに関連する経験を明らかにし、看護職による支援のポイン
トを明確化することである。
<研究1>
FTDをもつ人と家族を対象とする一次研究から質的エビデンスを統合し、先行知見を明らかにすることを目的とし
た 。 4 つ の 書 誌 デ ー タ ベ ー ス で 2021 年 2 月 ま で の 論 文 を 検 索 し 、 特 定 さ れ た 235 件 の う ち 6 件 を Noblit & Hare
(1988)のメタエスノグラフィーを用いて統合した。5つのテーマが抽出され、時には診断前から始まっている家族
の混乱と実存的苦痛、コミュニケーションの難しさが明確となった。これらの知見は発症後早期から提供される適
切なサポートが家族の生活に良い影響を与える可能性を示唆するものである。
<研究2>
病初期から言語リハビリテーション(失語症状に対する言語訓練と行動療法的アプローチ)を受けているSDをも
つ人と家族のコミュニケーションに関連する経験を明らかにすることを目的とした。9組の家族に個別インタビュー
を実施し、逐語録をデータとしてSatu Elo & Helvi Kynga¨ (2007)の内容分析プロセスに従って帰納的に分析し
た。家族はSDをもつ人の変化に早くから気づき、言葉によるコミュニケーションがとれなくなっていることに悩む
と同時に、言語リハビリテーションを通じて家族ならではの関係性に基づくケア方法を見出し、できる限り本人を
サポートしようとしていた。
<研究3>
病初期のSDをもつ人と家族に言語リハビリテーションを実施した経験があるセラピストの言語リハビリテーショ
ンに対する認識と看護職への期待を明らかにすること、病初期のSDをもつ人と家族に関わった経験がある看護職が
思う自らの役割を明らかにすることを目的とした。セラピスト4人、看護師6人に個別インタビューを実施し、各職
種の逐語録をデータとしてSatu Elo & Helvi Kynga¨ (2007)に従って帰納的に分析した。両職種とも病気の進行
を見据えた初期からの意図的な介入を重視し、本人や家族にはその重要性が伝わりにくいと認識していた。セラピ
ストは看護職に対して身体面の管理や家族支援を期待しており、看護職自身は本人や家族の心情に配慮してタイミ
ングを計りながら適時適切な支援を提供する役割や、チーム医療における他職種との連携調整役割があると考えて
いた。
<総括>
SDをも つ人 と 家 族の Well-beingにお いて 心 身 のよ りど こ ろ と な る看 護職 には 、 そ の 疾患 特 性を 理 解 し て い る こ
と、言語的コミュニケーションや共感性が保たれている病初期から本人と家族との関わりをもち、なじみの関係を
有していることが必要であることが示唆された。SDはアルツハイマー型認知症に比べて知名度が高いとは言えない
ため、さらなる理解促進が必要である。

様式7

論文審査の結果の要旨及び担当者








珠 実



(職)

最終試験担当者



主 査

(教授)

竹屋



副 査

(教授)

清水

安子

副 査

(教授)

武用

百子

副 査

(鳥取看護大学教授)

遠藤

淑美



論文審査の結果の要旨
【背景】意味性認知症(Semantic Dementia: SD) は前頭側頭型認知症(Frontotemporal dementia:FTD)
のサブタイプのひとつである。治療法はなく、本人と家族は側頭葉の神経細胞の変性に起因する病初期
からの言語や性格の変化、共感性の喪失といった症状に多大な影響を受ける。SDの人と家族のWellbeingにはコミュニケーション障害への支援が重要であるが、ケアに関する指針となるものはなく、家族
や専門職の語りから得られる知見を活用することが求められる。
【目的】本研究の目的は、1) FTDの人と家族を対象とする一次研究から質的エビデンスを統合し先行知見
を明らかにすること、2) 病初期のSDの人と家族のコミュニケーションに関連する経験を明らかにするこ
と、3) 病初期のSDの人と家族に言語リハビリテーションを実施した経験があるセラピストの言語リハビ
リテーションに対する認識と看護職への期待および病初期のSDをもつ人と家族に関わった経験がある看
護職が思う自らの役割と支援の手がかりを明確化することである。
【方法】1)は質的システマティックレビューであり、4つの書誌データベースで2021年2月までの論文を
検索し、特定された235件のうち6件をメタエスノグラフィーにより統合した。2)は質的記述的研究であ
り、9組の家族に個別インタビューを実施し、逐語録をデータとしてElo & Kyngas¨ (2007)の内容分
析プロセスに従って帰納的に分析した。3)も質的記述的研究であり、セラピスト4人、看護職6人に個別
インタビューを実施し、逐語録をデータとして2)と同じ方法で職種別に分析した。
【結果】1)では5つのテーマが抽出され、時には診断前から始まっている家族の混乱と実存的苦痛、コミ
ュニケーションの難しさが明確となった。これらの知見は発症後早期から提供される適切なサポートが
家族の生活に良い影響を与える可能性を示唆するものであった。2)では4つのテーマが生成された。家族
はSDの人の変化に早くから気づき、言葉によるコミュニケーションがとれなくなっていることに悩むと
同時に言語リハビリテーションを通じて家族ならではの関係性に基づくケア方法を見出し、できる限り
本人をサポートしようとしていた。3)では、両職種から各4つのテーマが生成された。どちらも病気の進
行を見据えた病初期からの意図的な介入にこそ意味があるものの、本人や家族にはその重要性が伝わり
にくいと認識していた。セラピストは看護職に対して身体面の管理や家族支援を期待しており、看護職
自身は本人や家族の心情に配慮してタイミングを計りながら適時適切な支援を提供する役割や、チーム
医療における他職種との連携調整役割を担うと考えていた。
【総括】病初期のSDの人と家族へのコミュニケーション障害に対する適切なサポートは、進行ととも
に増していく意思疎通の不便さやそれに影響を受ける日常に折り合いをつけ、家族独自のコミュニケー
ション方法や関係性の持ち方を模索していく過程において非常に重要な資源のひとつとなり得ることが
明らかとなった。SDは他の認知症性疾患に比べて社会的な認知度が低いために、今後は医療職のなかで
もより理解が深まるように啓発することや、本人と家族それぞれへのアプローチのあり方についてさら
に研究を進める必要がある。
以上から、本論文は博士(看護学)の学位に値するものと評価した。

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