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大学・研究所にある論文を検索できる 「Nav1.1活性化剤を用いたタウ病態に対する抑制性神経の関与についての研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Nav1.1活性化剤を用いたタウ病態に対する抑制性神経の関与についての研究

三平 和明 東北大学

2021.09.24

概要

アルツハイマー病をはじめとする多くの神経変性疾患は、脳内にタウタンパク凝集体が沈着することを特徴とし、タウオパチーと呼ばれる。タウタンパク沈着は神経変性と密接に関わると考えられている。これらの疾患ではてんかん発作が高率に併発し、認知機能低下と関連することが報告されている。この神経回路の過剰興奮は病初期において認められる GABA 作動性の介在神経の機能低下が背景にあり、認知機能障害だけでなくタウタンパクの細胞間伝播や神経細胞死を加速させると考えられている。しかしながら、神経回路異常とタウ病態の関連については未だ不明点が多く、また抑制性神経細胞の賦活化によって病態の進展を抑制するような薬理学的な手法は確立されていない。そこで本研究では、抑制神経細胞に発現し、その変異によるハプロ不全が乳児重症ミオクロニー症の原因となることが知られている電位依存性ナトリウムチャネル Nav1.1 に着目し、新規 Nav1.1 活性化剤である DSP Compound が in vivo において抑制神経細胞を賦活化するかどうか、また抑制性神経細胞の賦活化によってタウオパチー病態が抑制されるかどうかについて検証を行った。DSP Compound は hNav1.1 安定発現 HEK293 細胞におけるナトリウム電流を増強し、マウス大脳皮質スライスにおける抑制性神経細胞の活動電位の発生頻度を増加させることが示された。また、DSP Compoundは Nav1.1 をコードする SCN1A 遺伝子変異マウスにおいて認められる熱性けいれんを顕著に抑制したことから in vivo において Nav1.1 活性化を通じて抑制性神経を賦活化し、神経過興奮を抑制できることが示唆された。そこで、タウオパチーモデルである rTg4510 マウスにおいてタウ蓄積の進展が認められる 4 ヵ月齢から DSP Compound を混餌投与し、その後のタウ蓄積と脳萎縮をそれぞれ新規タウ病変トレーサーである [18F]PM-PBB3 を用いた PET および MRI によって評価したところ、タウ蓄積・脳萎縮の進行がいずれも顕著に抑制されることが明らかとなった。また、全ての PET・MRI 解析後、死後脳を用いた組織学的・生化学的検証により、可溶性リン酸化タウの減少、神経脱落の抑制、ならびにグリア細胞活性化の抑制が示された。これらの知見からタウ病態において抑制性神経細胞の機能異常が重要な役割を果たしていることが示唆され、抑制性神経細胞の賦活化は神経回路の過剰興奮によるタウ蓄積と神経細胞死に対する有望な治療戦略であると考えられる。また、新規タウ PET トレーサーは良好なコントラストで非臨床モデルにおけるタウ蓄積も検出することが可能であったことから、タウ病態を標的とする新薬開発においてトランスレーショナルな薬効評価を可能にすると見込まれ、臨床試験の成功確度の向上が期待される。

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