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書き出し

マウス嗅上皮の組織傷害後再生における亜鉛欠乏の影響

生島, 寛享 東北大学

2023.03.24

概要

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation
マウス嗅上皮の組織傷害後再生における亜鉛欠乏の影響

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻
神経・感覚器病態学講座 耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野
氏名 Name

生島

寛享

嗅覚は生物にとって食物の獲得、周囲環境の把握、生殖等に必要不可欠なものである。嗅神経は生涯にわた
ってターンオーバーを繰り返し、傷害を受けても再生する機能を有するが、永続的な障害が生じることもあ
る。様々な治療アプローチが試されているが、いまだ確立された治療法はない。そのため、嗅上皮傷害後の
再生に影響を与える因子の同定は、嗅覚障害の治療および予防方法を開発する上で重要である。
亜鉛はタンパク合成に必須の微量元素であり、脳内では亜鉛イオンが重要な神経伝達物質である。また亜鉛
は小脳や海馬での神経新生にも関わるとする報告がある。亜鉛と嗅覚との関連についていくつかの研究がな
されており、亜鉛欠乏マウスは食物の匂いへの反応が乏しくなることや、重度亜鉛欠乏マウスの嗅球におけ
る嗅神経鞘細胞の減少が報告されている。しかし亜鉛と嗅上皮傷害後の再生との関連は明らかになっていな
い。
そこで本研究では、亜鉛と嗅上皮傷害後の再生との関連を調べるため、亜鉛欠乏マウスに対しメチマゾール
投与を行って嗅上皮傷害を引き起こし、嗅上皮組織の再生過程の変化を調べた。嗅上皮傷害前と傷害後 7,
14,28 日後の時点で嗅上皮を組織学的に評価した。その結果嗅上皮の厚みについては、すべての計測時点
で、亜鉛欠乏群は対照群と比較して回復が不十分だった。また嗅神経の再生は、まず Ki67 陽性の前駆細胞
が発現し、
次に GAP43 陽性の未熟嗅神経細胞となり、最後に OMP 陽性の成熟嗅神経細胞となるが、Ki67、GAP43、
OMP に対する免疫染色を行った結果、亜鉛欠乏群では分化の方向に一致して経時的に、各陽性細胞数の減少
を認め、神経の再生が遅延していることが示唆された。また成熟嗅神経細胞については傷害後 28 日目にも
減少を認めており、亜鉛欠乏群で永続的な嗅神経の再生障害がある可能性も考えられた。分子生物学的な分
析として、メチマゾール投与前の対照・亜鉛欠乏マウスの嗅上皮粘膜を用いて RNA シーケンスを行い、発現
遺伝子の変化を調べた。その結果、亜鉛欠乏群では炎症性サイトカインであるインターロイキン 4 の伝達や
合成に関する遺伝子群、活性酸素種の産生を調節するミエロペルオキシダーゼの合成に関する遺伝子の増加
を認めた。アルツハイマー病やうつ病、統合失調症、脳卒中など、複数の神経疾患において、炎症反応の亢
進が神経新生を阻害するという報告がなされており、本実験でも炎症反応の亢進が嗅神経の再生を阻害した
1

(書式18)
可能性がある。また亜鉛欠乏群ではコラーゲンやオステオカルシンといった細胞外基質の合成に関わる遺伝
子群が減少していたが、細胞外基質は海馬や脊髄で神経新生の際、足場の役割を果たすとされており、今回
の実験でも細胞外基質の減少が嗅神経再生遅延の一助となった可能性がある。
以上の結果から、亜鉛の欠乏は嗅上皮傷害の再生を遅延させ、嗅上皮において炎症反応に関連する遺伝子の
増加や細胞外基質の合成に関わる遺伝子の減少を引き起こす。本研究は、亜鉛が嗅上皮の再生に関与してい
ることを示すものである。嗅上皮傷害を引き起こす病因による違いは考慮しなければならないが、亜鉛の補
充は、実臨床に容易に導入できると考えられ、さらなる研究が進んでいくことが期待される。 ...

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