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大学・研究所にある論文を検索できる 「Therapeutic strategy to suppress the onset and progression of Alzheimer’s disease with Bifidobacterium.」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Therapeutic strategy to suppress the onset and progression of Alzheimer’s disease with Bifidobacterium.

小林 洋大 東北大学

2021.09.24

概要

近年、腸内細菌と宿主の生体機能が密接に関連していることが明らかとなっており、さまざまな疾患と腸内菌叢との機能連関が示唆されている。さらに、気分やストレスなどの精神状態や脳高次機能、行動にまで影響を与えることが次々と明らかとなってきており、腸内細菌を含めた腸と脳の双方向的な機能連関を意味する「脳-腸-腸内細菌相関」と呼ばれる研究領域が注目を浴びている。

アルツハイマー病は認知症の中で多くの割合を占める神経疾患であるが、発症の数十年前から脳内に変化が生じていると考えられている。一度発症すると進行の抑止や根本治療が困難であることから、いかに発症を予防するか重要である。生活習慣の改善や運動、機能性食品など一般社会で応用できる有効な予防法を見出すことが課題となっている。近年の研究により、認知症を含む多くの脳疾患も腸内細菌と密接に関連することが示されてきており、腸内細菌叢の異常とアルツハイマー病との関連も示唆されている。そのため、腸内細菌をターゲットとし、「脳-腸-腸内細菌相関」を介したアルツハイマー病の予防および治療戦略が期待されている。

このような背景の下、私はプロバイオティクス摂取による腸内菌叢改善作用を通したアルツハイマー病の予防及び進行の抑制に関する研究に着手した。ビフィズス菌に焦点を当てて、アルツハイマー病で脳内に沈着する異常タンパクであるアミロイド β を脳室内に投与したマウスの空間認識力及び学習・記憶能力の改善作用を検討したところ、ビフィズス菌の一種である Bifidobacterium breve が強い改善作用を有することを見出し、 Bifidobacterium breve strain A1 (以後 B. breve A1)と命名した。次に海馬の遺伝子発現を網羅的に解析したところ、通常マウスと比較してアミロイド β 脳室内投与マウスでは多くの遺伝子発現が変動し、特に免疫反応や炎症に関わる遺伝子群の発現が誘導されていた。一方、B. breve A1 を継続摂取したモデルマウスでは、それらの遺伝子発現のほとんどが正常の状態を保っていた。これらのことから、B. breve A1 がアミロイド β により引き起こされた過剰な免疫反応や脳内炎症を抑えることが示唆された。

次に、アルツハイマー病をはじめとする様々な神経疾患で神経細胞死と密接に関わるタウタンパクの脳内沈着に着目し、タウ病態のモデルマウスである rTg4510 マウスを用いて、脳内タウ蓄積に伴うミクログリアの異常活性に対する B. breve A1 の作用を検討したところ、B. breve A1 の投与により活性型ミクログリアが抑制されることを見出した。rTg4510 では経時的な脳萎縮が観察されるが、驚くべきことに B. breve A1 の長期投与により脳萎縮が抑制された。rTg4510 マウスでは異常に活性化したミクログリアが神経細胞を貪食することで脳神経細胞の脱落を導くことが報告されていることから、B. breve A1 はミクログリアの活性を制御することにより rTg4510 マウスの脳萎縮を抑制したと推察される。

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