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Electrolytic Reduction of SiO₂ at Liquid Zn Cathode in Molten Salts and Precipitation of Si from Liquid Si-Zn Alloy

Ma, Yuanjia 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24000

2022.03.23

概要

本論文は、溶融塩中における液体 Zn 陰極上での SiO2 の電解還元および液体Si–Zn 合金からの Si 析出について検討した結果をまとめたものである。本論文では、O2−イオン溶解度の高い溶融CaCl2 と、融点が比較的低い共晶溶融 NaCl–CaCl2 を用い、固体 SiO2 と溶解 SiO2 の電解還元について検討を行っている。また、液体 Si–Zn 合金からの Si 析出時における不純物元素の偏析挙動についても検討している。本論文は、全 7 章より成っている。

第 1 章は序論であり、現行の太陽電池級 Si の製造プロセス上の問題点を踏まえ、これまでに研究・提案されている太陽電池級 Si の新規製造法についてまとめている。それらの中から、溶融塩中における SiO2 の電解還元に注目し、液体 Zn 陰極上での SiO2 電解還元を用いた太陽電池級 Si の新規製造法について、その特徴を述べている。また、本研究の目的および各章の内容について述べている。

第 2 章では、1123 K の溶融CaCl2 中において、液体 Zn 電極上での固体 SiO2 の電解還元挙動について検討を行った。サイクリックボルタンメトリーでは、1.55 V (vs. Ca2+/Ca)より卑な電位で SiO2 の電解還元が、0.85 V より卑な電位で液体 Ca–Zn 合金の生成が示唆された。これを踏まえて定電位電解等を行い、0.60 V における SiO2 の還元が、直接電解還元と液体 Ca–Zn 合金による間接還元の両方で進行することを確認した。電解で得られた Si 中の不純物濃度を分析した結果、多くの金属元素および P については、一方向凝固精製前の一次原料に求められる許容濃度を達成した。特に Ca についても許容濃度を達成しており、液体 Ca–Zn 合金による SiO2 の間接還元は Si 中の Ca濃度を増加させないことを示した。

第 3 章では、1123 K の溶融 CaCl2 中において、溶解 SiO2 の電解還元挙動を検討した。まず、O2−イオン源として CaO を、シリケートイオン源として CaSiO3 を添加し、Raman 分光を用いて、O2−/SiO2 比の異なる溶融塩中におけるシリケートイオン種を同定した。その結果、O 2−/SiO2 比が 1.0 の溶融塩において SiO32−が優勢イオン種であり、その比が 2.0 になると SiO44−が優勢になることを明らかにした。また、O2−/SiO2 比がこれらの中間の 1.5 の場合、SiO44−が第一優勢イオン種、Si2O76−が第二優勢イオン種であることも明らかにした。次に、それぞれの浴において、固体グラファイト電極を用いてサイクリックボルタンメトリーおよび定電位電解を行った結果、O2−/SiO2 比が 1.0 の溶融塩が Si 電析に適していることを示した。これらを踏まえて、液 体 Zn 電極を用いたサイクリックボルタンメトリーおよび 0.90 V における定電位電解を行い、グラファイト電極と同様な傾向を確認した。さらに、液 体 Ca–Zn 合金が生成する 0.60V における定電位電解では、回収した Si の質量から計算した電流効率として、全ての浴中において80%程度と比較的高い値を得た。これは電解中に生成した液体 Ca–Zn 合金による間接還元が進行したためと考察した。

第 4 章では、融点の低い共晶 NaCl–CaCl2 に着目した。液体 Zn 電極を用いた検討に先立ち、固体グラファイト電極上でのシリケートイオンの電解還元について調べた。まず、第 3 章と同様にRaman 分光を用いて、1023 K の O2−/SiO2 比の異なる溶融塩中におけるシリケートイオン種を同定した。その結果、O2−/SiO2 比が 1.0 の場合は SiO32−が優勢イオン種であり、その比が2.0 になると SiO44−が優勢になることが分かった。また、O2−/SiO2 比がこれらの中間の 1.5 の場合は、第一優勢イオン種が SiO44−、第二優勢イオン種が SiO32−と同定した。全ての浴において、 1023 K でサイクリックボルタンメトリーと定電位電解を行った結果、O2−/SiO2 比が 1.0 の溶融塩が Si 電析に適していることを示し、液体 Si–Zn 合金の生成にも有利であると予想した。1123 K においても、固体グラファイト電極を用いて同様の検討を行ったところ、ほぼ同様の結果を得た。

第 5 章では、1023 K と 1123 K の溶融 NaCl–CaCl2 中における液体 Zn 電極上でのシリケートイオンの電解還元について検討を行った。1023 K において、サイクリックボルタンメトリーおよび 0.90 V における定電位電解の結果から、Ca–Zn 合金が生成しない電位範囲では、 O2−/SiO2 比が 1.0 の溶融塩が液体 Si–Zn 合金の生成に適していることを示した。一方、液体 Ca–Zn 合金が生成する 0.60 V における定電位電解では、全ての浴中において 95%以上の高い電流効率を得た。これは第 3 章と同様に、電解中に生成した液体 Ca–Zn 合金による間接還元が進行したためと考察した。次に、1123 K においても液体 Zn 電極を用いて同様の検討を行った結果、0.90 V での電解では 1023 K と同様の傾向が得られた。一方、0.60 V での電解では、 80%以上の比較的高い電流効率が得られたが、1023 K の電流効率よりは低い値となった。

第 6 章では、析出工程における不純物元素の偏析挙動について検討した。まず、熱力学データを用いて 923 K における不純物元素の偏析係数を計算し、C、Al、Ca、Fe、B および P の効率的な除去を予想した。次に、原料に金属級 Si を用いた析出実験を行い、得られた Si 中の不純物濃度を分析した結果、熱力学計算の予想どおり、C、Al、Ca、Fe および B は高い除去率を達成した。一方、熱力学計算の予想に反して、O も高い除去率を示した。この原因として、原料である金属級 Si 中のO は金属酸化物として存在しており、これらが溶融塩中に溶解したためと考察した。さらに、精製工程に関する初期検討として、浮遊帯溶融法により、析出実験で得られた Si 粒子から Si インゴットを作製した。不純物濃度を分析した結果、金属不純物の濃度は 0.2 ppmw 以下であり、その中の Al と Ca は太陽電池級 Si の許容濃度を達成した。特に Zn の濃度は 0.01 ppmw 以下であり、Si 中に残留しないことを確認した。

第 7 章では、総括として、本論文で得られた成果について要約している。

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