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書き出し

Graphite Negative and Positive Electrodes for Alkali Metal-Ion and Dual-Carbon Batteries Using Ionic Liquid Electrolytes

Yadav, Alisha 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24853

2023.07.24

概要

様式Ⅰ

博士学位論文調査報告書

論文題目
Graphite Negative and Positive Electrodes for Alkali Metal-Ion and
Dual-Carbon Batteries Using Ionic Liquid Electrolytes
( イオン液体電解質を用いたアルカリ金属イオン電池およびデュアル
カーボン電池のグラファイト負極および正極に関する研究)
申 請 者

A L I S H A YA D AV (アリシャ ヤダヴ)

最終学歴

令和 4 年 9 月
京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー基礎科学専攻博士後期課程
研究指導認定退学

学識確認

平成





日(論文博士のみ)

調査委員

京都大学大学院エネルギー科学研究科

(主査)



調査委員

京都大学大学院エネルギー科学研究科


調査委員





野平 俊之

萩原 理加

京都大学大学院エネルギー科学研究科




佐川 尚

( 続紙 1 )
京都大学

博士(エネルギー科学)

氏名

ALISHA YADAV

Graphite Negative and Positive Electrodes for Alkali Metal-Ion and
論文題目

Dual-Carbon Batteries Using Ionic Liquid Electrolytes
(イオン液体電解質を用いたアルカリ金属イオン電池およびデュアル
カーボン電池のグラファイト負極および正極に関する研究)

(論文内容の要旨)
本論文は、電力貯蔵用の安全な二次電池の開発に向け、イ オ ン 液 体 電 解 質 を 用 い た ア ル
カリ金属イオン電池およびデュアルカーボン電池のグラファイト負極および正極に
関 す る 研 究 結果をまとめたもので、7 章からなっている。
第 1 章 は 序 論 で 、 地球規模の気候変動という人類が直面する課題に対処するため、 電気
化学的エネルギー貯蔵(EES)システムの開発が急務であることを述べている。現在のリチウ
ムイオン電池材料として不可欠な Co や Li の資源偏在性や価格不安定性に起因する懸念を説
明し、Na や K といった他のアルカリ金属イオンを用いた電池の有望性を述べている。また、
従来の有機溶媒系電解液の安全性に関する課題を説明し、安全な電解液としてのイオン液体の
特徴を 述 べ て い る 。 さ ら に 、 グ ラ フ ァ イ ト な ど の 炭 素 材 料 を 正 負 両 極 に 用 い た デ ュ
ア ル カ ー ボ ン 電 池 ( DCB) の 特 徴 を 説 明 し 、 電 力 需要調整用途に適用できる二次電池と
して期待できることを述べている。最後に、 本 研 究 の 目 的 お よ び 各 章 の 内 容 に つ い て 述
べている。
第 2 章では、本研究の実験装置、用いた試薬、実験方法、分析方法などについて述べている。
第 3 章 で は 、 K[FSA]-[C3C1pyrr][FSA] (FSA = bis(fluorosulfonyl)amide, C3C1pyrr =
N-methyl-N-propylpyrrolidinium)イオン液体中における、グラファイト負極の電気化学的挙動を
調べた。その結果、理論容量(279 mAh g−1)に近い、高い可逆容量(268 mAh g−1)を示し、200 サ
イクル以上の安定したサイクル特性を示した。XRD 分析により、充放電の過程でステージ 1
の KC8 グラファイトインターカレーション化合物(GIC)および他のいくつかの高ステージ化
合物が形成されていることを明らかにした。さらに、3 電極構成のセルを用いて、298 K で
M-GIC(M=Li, Na, K)の電気化学的形成について調べ、比較検討を行った。その結果、Fc+/Fc
(Fc=フェロセン)に対して−2.85 V より低い電位領域で 2 元系 M-GIC の形成が起こることが
わかった。また、Na 系では、Na 金属析出がより高い電位で始まってしまうため、Na-GIC の
形成は困難であると考えられる。
第 4 章では、Rb-イオン系と Cs-イオン系について、グラファイト負極の電気化学的性能を
検 討 し た 。 Rb[FTA]-[C4C1pyrr][FTA](C4C1pyrr = N-butyl-N-methylpyrrolidinium, FTA =
(fluorosulfonyl)(trifluoromethylsulfonyl) amide)イオン液体中、298 K でグラファイト負極が充放
電可能であることを明らかにした。また、充電終了時にステージ 1 の RbC8 が形成されている
ことを、XRD 測定によって確認した。次に、Cs[FTA]-[C4C1pyrr][FTA]イオン液体では、初回
サイクルで 185 mAh g−1 の可逆容量が得られ、ステージ 1 の CsC8 の形成を確認した。これら

は、298 K での Rb-GIC および Cs-GIC の電気化学的形成を報告した最初の研究である。
第 5 章では、Li、Na、K 系の FSA および FTA 系イオン液体中における、グラファイト正極
の充放電挙動に関する検討を実施した。FSA または FTA アニオンのインターカレーションに
伴うグラファイトの相変化挙動は、XRD 測定により評価した。ほとんどの系で、充電時にス
テージ 1 またはステージ 2 のアニオン GIC が形成されることが確認された。FTA 系イオン液
体は、アルカリ金属イオン種に関係なく、優れた充放電特性をもたらすことがわかった。FSA
系イオン液体では、Na 系が例外的に優れた充放電特性を示し、mAh g−1 の高い可逆容量を示
した。これはアルミニウム集電体の腐食が抑制されたためと考えられる。全体として、K[FTA][C4C1pyrr][FTA]が最も有望なイオン液体であることがわかった。このイオン液体中では、グラ
ファイト電極は 50 サイクルの安定したサイクル特性を示した。
第 6 章では、K[FTA]-[C4C1pyrr][FTA]イオン液体を、K 系デュアルカーボン電池に適用する
検討を行った。K 金属を対極に用いたハーフセル測定では、グラファイト正極および負極が
100 サイクルにわたり優れたサイクル特性を示すことがわかった。また、XRD 測定により相
変化挙動を調べ、正極では複数の FTA-GIC、負極では K-GIC が形成されていることを明らか
にした。最後に、正負極ともにグラファイトを用いたデュアルカーボンフルセルを構築した。
電流密度 100 mA g−1 で、84 mAh g−1 の放電容量を示し、300 サイクルの平均クーロン効率は
98.7%以上であった。
第 7 章では、本研究の結果をまとめ、包括的に考察した。様々なアルカリ金属イオンを含む
アミド系イオン液体において、グラファイトを正極もしくは負極に用いることで、安全性が高
く、高性能な EES システムを構築できる可能性があることを明らかにした。

(続紙 2 )

(論文審査の結果の要旨)
本論文は、電気化学的エネルギー貯蔵デバイスとして期待されるアルカリ金属イオン電
池およびデュアルカーボン電池の開発に向け、安全性の高いイオン液体電解液中における
グラファイト負極およびグラファイト正極の電気化学的挙動に関する検討結果をまとめた
ものであり、その内容は以下の通りである。なお、イオン液体として、 [C3C1pyrr][FSA]
(C3C1pyrr = N-methyl-N-propylpyrrolidinium, FSA = bis(fluorosulfonyl)amide)、[C4C1pyrr][FTA]
(C4C1pyrr = N-butyl-N-methylpyrrolidinium, FTA = (fluorosulfonyl)(trifluoromethylsulfonyl)
amide)を使用している。
1. K[FSA]-[C3C1pyrr][FSA]イオン液体中において、グラファイト負極は理論容量に近い高
い可逆容量(268 mAh g−1)を示し、200 サイクル以上の安定したサイクル特性を示した。
XRD 分析により、充放電の過程でステージ 1 の KC8 の黒鉛層間化合物(GIC)および他の
高次ステージ化合物が形成されることを明らかにした。また、M[FSA]-[C3C1pyrr][FSA]
(M=Li, Na, K)中におけるグラファイト負極での GIC 形成挙動の違いを明らかにした。
2. Rb[FTA]-[C4C1pyrr][FTA]および Cs[FTA]-[C4C1pyrr][FTA]イオン液体中における、グラフ
ァイト負極の充放電挙動を明らかにした。本研究は、298 K での Rb-GIC および Cs-GIC
の電気化学的形成を確認した最初の研究である。
3. M[FSA]-[C3C1pyrr][FSA]および M[FTA]-[C4C1pyrr][FTA] (M=Li, Na, K)イオン液体中でグ
ラファイト正極の充放電挙動を調べた。XRD 分析により、ほとんどの系で、充電時に
ステージ 1 またはステージ 2 のアニオン GIC が形成されることが確認された。各イオン
液体における充放電特性の違いは、主にアルミニウム集電体の腐食挙動によるものと考
察された。中でも、K[FTA]-[C4C1pyrr][FTA]が、可逆容量およびサイクル特性の観点か
ら最も有望な電解液であることが分かった。
4. 電解液に K[FTA]-[C4C1pyrr][FTA]イオン液体、負極と正極にグラファイトを用いてデュ
アルカーボン電池のフルセルを構築した。298 K において、100 mA g−1 の電流密度で、
84 mAh g−1 の高い初期放電容量が得られ、300 サイクルの充放電を達成した。平均クー
ロン効率は 98.7%以上であった。
5. 上記の様々なアミド系イオン液体の中から適切なものを選び、グライファイトを負極ま
たは正極に用いることで、高性能の電気化学エネルギー貯蔵デバイスが構築できる可能
性があることを明らかにした。
本論文で得られたこれらの知見は、安全なアルカリ金属イオン電池およびデュアルカー
ボン電池の実用化を目指す上で有用であり、学術上、実用上の寄与が大きい。
よって、本論文は博士(エネルギー科学)の学位論文として価値あるものと認める。ま
た、令和 5 年 6 月 20 日実施した論文内容とそれに関連した試問の結果合格と認めた。
論文内容の要旨、審査の結果の要旨及び学位論文の全文は、本学学術情報リポジトリに
掲載し、公表とする。ただし、特許申請、雑誌掲載等の関係により、要旨を学位授与後即
日公表することに支障がある場合は、以下に公表可能とする日付を記入すること。 ...

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