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大学・研究所にある論文を検索できる 「下痢型過敏性腸症候群に対する漢方薬の臨床効果・安全性、および腸内細菌叢の変化の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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下痢型過敏性腸症候群に対する漢方薬の臨床効果・安全性、および腸内細菌叢の変化の検討

有田 龍太郎 東北大学

2021.03.25

概要

背景
過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome; IBS)は若年者で頻度の高い機能性消化管疾患で、下痢型IBS(diarrhea-predominant IBS; IBS-D)は男性の頻度が高い。IBSの病態と腸内細菌叢の関連については近年様々な研究結果が相次いで報告されており、それらを踏まえ、現在「細菌叢の恒常性破綻(dysbiosis)」を改善する治療法が検討されつつある。漢方薬はIBS-Dを含む消化器症状に対して広く用いられているが、漢方薬治療による腸内細菌叢変化の臨床的エビデンスは乏しい。そこで、健常者と若年成人男性IBS-D患者の腸内細菌叢の相違を検討すると同時に、漢方薬治療前後や治療終了後のIBS-D患者の症状変化、および腸内細菌叢の変化を明らかにする目的で前向き臨床研究と細菌叢解析を行った。

方法
成人男性の健常者、およびIBS-D患者を組み入れ、両群のIBS症状と便検体を採取した。IBS-D患者には引き続き前向き臨床研究として、漢方薬(半夏瀉心湯または六君子湯)を4週間投与し、治療前の軽症時、増悪時、治療後、治療後4週間無加療で経過観察した後、の4時点で症状と腸内細菌叢の比較検討を行った。

結果
健常者と比べIBS-D患者の症状増悪時にdysbiosisとなる傾向がみられ、腸内細菌叢の属レベルではBlautiaが増加し、Oscillospiraが減少していた(それぞれP=0.006、0.04)。前向き研究では、IBS-D患者の81%が漢方薬服用後の症状改善ありと判断され、臨床的なスコア(IBS-QOL、Gastrointestinal Symptom Rating Scale(GSRS)、GSRS下痢スコア、IBS Symptom Severity Scale)および特性不安スコアは治療前と比べ治療後、経過観察後に有意に改善していた(それぞれP<0.001、=0.002、<0.001、<0.001、=0.02)。漢方薬による有害事象は認めなかった。腸内細菌叢解析では、増悪時と比較して治療後に多様性が増加し、増悪時にみられたBlautiaの増加、Oscillospiraの減少が、漢方薬治療後に有意に改善した(P<0.001,=0.003)。また、その改善効果は経過観察後も継続していた。

結論
成人男性IBS-D患者に対し、漢方薬は副作用が少なく、その治療前後で身体症状や不安症状が改善し、腸内細菌叢の多様性が改善する可能性が示唆された。また、その症状変化と腸内細菌叢変化は治療終了後も維持される可能性が示唆された。

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