Enigmazole Aの第二世代全合成研究
概要
エニグマゾール A(1)はパプアニューギニア諸島沿岸に生息す る 海綿 Cinachyrella enigmatica より単離・構造決定されたマクロリド天然物である。本天然物は NCI-60 系ヒトがん細胞パネルスクリーニングにおいて強力な増殖阻害活性を示し、急性骨髄性白血病や消化管質腫瘍の治療薬のシードとして興味深い。これまで 4 例の全合成と 1 例の形式合成が報告されているがいずれも 23 工程以上を要し、合成効率に課題を残している。
本研究では、閉環メタセシスと渡環反応による環構築を特色としたエニグマゾール A(1)の効率的な全合成法の開発を目的とした。エニグマゾール A(1)は化合物 2 よりリン酸基の導入を含む数段階の変換により合成できるものとした。化合物 2 は化合物 3 より閉環メタセシスおよび渡環 oxa-Michael 付加により誘導できるものとした。化合物 3 はアルコール 4 とカルボン酸 5 のエステル化により得られるものとした。