リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「機能性食品の需要構造と市場支配力に関する計量経済分析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

機能性食品の需要構造と市場支配力に関する計量経済分析

金, ダウム KIM, DAUM キム, ダウム 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

機能性食品の需要構造と市場支配力に関する計量経
済分析
金, ダウム

https://hdl.handle.net/2324/6787682
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(農学), 課程博士
バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)





:キム

ダウム

論文題名

:機能性食品の需要構造と市場支配力に関する計量経済分析



:甲

















日本では近年、消費者の健康意識の高まり等を受け、機能性食品が相次いで販売されている。市
場構造が不完全競争的であると言われる食品市場においては、機能性食品は、製品差別化の進展に
つながり得るため、消費者と食品メーカーの行動、ならびに、フードシステムにおける主体間のパ
ワーバランスを変化させる可能性がある。
本論では、日本における緑茶飲料とヨーグルトを対象として、実証的産業組織論の観点から、機
能性食品の需要構造と市場支配力について計量経済分析を行うことを目的とする。また、機能性食
品のフードシステムにおける主体間のパワーバランスについて考察を行う。
研究目的等を述べた第 1 章の後、第 2 章では日本の保健機能食品に関する制度の国際比較や市場
概況の整理を行い、第 3 章では不完全競争性と機能性食品に対する消費者行動に関する先行研究レ
ビューを行った。以上から、実証的産業組織論の観点から機能性食品を考察する際には、差別化財
市場を前提として、機能性成分の含有量と健康強調表示の有無という製品属性に着目した上で、実
際の購買データを用いて機能性食品市場の不完全競争性について分析を行うことが課題であること
を明らかにした。
第 4 章では、上記の課題を克服し得る分析モデルとして、本論で使用する BLP モデルを説明し
た。
第 5 章では、緑茶飲料を対象として、機能性成分(カテキン)の含有量に焦点を当てた分析を行
った。主な結果は、以下のとおりである。第 1 に、消費者は、カテキン含有量が一定ならば価格が
低いブランドを選択し、価格が一定ならばカテキン含有量が多いブランドを選択する。第 2 に、観
察できない製品属性に関して、特定保健用食品(以下、トクホ)を取得したブランドは、消費者に
相対的に高い効用を与えている。第 3 に、メーカー全体の市場支配力は、伊藤園、サントリー、コ
カ・コーラ、キリンおよびイオンが概ね同程度である一方、花王は相対的に低い値を取っている。
第 4 に、価格が低い(カテキン含有量が少ない)ほど市場支配力が高く、価格が高い(カテキン含
有量が多い)ほど市場支配力が低い傾向にある。
第 6 章では、ヨーグルトを対象として、健康強調表示(トクホ表示)の有無に焦点を当てた分析
を行った。主な結果は、以下のとおりである。第 1 に、消費者は、価格が低く、タンパク質が多く、
脂質が少なく、炭水化物が少なく、トクホのブランドほど好む。第 2 に、価格が高いブランドほど、
消費者は価格に敏感に反応する。また、トクホブランド間で競争関係が強いほか、R-1 ドリンクタ
イプの価格がトクホ以外のブランドの市場シェアに与える影響が大きい傾向にある。第 3 に、ブラ
ンドごとの市場支配力は、価格が低いブランドほど高く、価格が高いブランドほど低い傾向にある。
また、メーカー単位の市場支配力は、展開するブランドについて、加重平均値では江崎グリコが最
も高く、中央値では明治が最も高い。一方、両値ともダノンが相対的に低い値を取っている。第 4
に、トクホ取得は、市場支配力の低下(価格の上昇)につながらず、市場シェアを増加させるなど、
企業にとって非常にポジティブに働いていると言える。
フードシステムにおける主体間のパワーバランスについて、上記から得られる結論は以下のとお

りである。
第 1 に、価格が低いブランドは一見すると利潤率が低いように考えられるものの、緑茶飲料とヨ
ーグルト市場ではそれぞれ、価格が低いブランドほど実際は利潤率が高いという結果が得られた。
この理由としては、価格が低いブランドほど、限界費用(原料供給者への支払い)が相対的にさら
に低く抑えられている可能性が考えられる。以上の結果は、小売業者や食品メーカーが強い買手市
場支配力を持っており、農家が公正な価格を享受していないと言われている 1 つの証左になってい
ると考えられる。したがって、価格が低いブランドにおいて、限界費用を固定して価格をより低く
設定すれば消費者の利益を増加させることが可能となり、反対に、価格を固定して限界費用をより
高く設定すれば原料供給者である農家の利益を増加させることが可能になると考えられる。さらに、
限界費用をより高く設定すると同時に、価格をより低く設定すれば、上記と比べて程度は小さくな
るものの、消費者と農家の利益をともに増加させることが可能になると考えられる。
第 2 に、価格が低いブランドの方が、利潤率が相対的に高く、また販売量も相対的に多いため、
食品メーカーは価格が低いブランドを重視している可能性がある。価格が低いブランドが重視され
るほど、原料供給者である農家に対する買い叩き圧力が強まる可能性が考えられるため、食品メー
カーの商品販売戦略を注視する必要があると考えられる。
以上から、価格が低いブランドについて、開発者の利益を保証しながら、政策や制度等を通して
適正価格を形成していく必要があると考えられる。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る