リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Total energy intake accounts for the postnatal anthropometric growth of neonates with congenital heart disease」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Total energy intake accounts for the postnatal anthropometric growth of neonates with congenital heart disease

成澤 宏宗 山梨大学 DOI:info:doi/10.34429/00004838

2020.09.28

概要

(研究の目的)
 新生児診療では、栄養管理は成長と発達に影響を与える重要な要素である。理想的な成長発達のために子宮内胎児と同等の栄養量が必要とされているが、先天性疾患を有する児や集中治療が必要な児では、理想的な栄養量を摂取できていない可能性がある。先天的な疾患を有する児では日々の栄養摂取状況に変化があり、1日ずつの栄養摂取量の評価だけでは栄養管理が不十分である。我々は以前に、新生児の栄養を評価するための新しいパラメーターとして総エネルギー摂取量( TEI) を定義し報告した。TEIは一定期間で新生児に投与されたエネルギー摂取量の総和であり、早産児の体格変化を説明する栄養評価であると報告した。しかし、これまでに先天的な疾患を有する児において、栄養摂取量の総和を評価した研究はない。本研究では、TEIは先天的な疾患を有する児の栄養管理にも利用できると仮定し、心疾患を有する児の栄養摂取量を評価するため、心疾患の児が入院した最初の4週間のTEIを計算し体格変化を説明し得るかを検討した。

(方法)
 2013年10月1日から2017年1月30日までの間に、山梨大学医学部附属病院のNICUに入院した新生児に対して、単一施設における後方視的な横断研究を実施した。研究に登録した新生児は、心疾患を有する群と疾患を有さない対照群に割り当てられた。さらに、心疾患を有する新生児は、1か月以内に手術を受けた群と受けなかった群に分けて研究した。入院中の新生児の栄養管理は、報告されているレビューやガイドラインを参照して作成された当院のNICUのプロトコルに従って行われた。各新生児の栄養管理は、小児科医、小児循環器科医、心臓血管外科医、看護師、栄養士、薬剤師からなる新生児栄養サポートチームの毎日の検討に基づいて行われた。新生児の毎日の栄養を評価するために、新生児栄養評価シート(NNA)を作成し、生後4週間の栄養摂取量の総和を計算した。本研究は山梨大学医学部倫理委員会の承認(1212)のもと行われた。

(結果)
 研究期間中に合計439例の新生児がNICUに入院し、そのうち104例が研究に参加した。心疾患を有する群は38例であり、疾患を有さない群は66例であった。38例の心疾患を有する児の中で、6例は心室中隔欠損、6例は大動脈縮窄症または大動脈離断症、4例は大血管転位症、4例は動脈管開存症、2例は両大血管右室起始症、その他は総肺静脈還流異常症、ファロー四徴症、肺動脈閉鎖症等であった。 38例の心疾患を有する児の中で20例は最初の1か月以内に手術を必要とし、18例は手術を行わなかった。
 疾患を有さない児の生後28日TEIは2,916.1 ± 346.4 kcal/kg/28日で、心疾患を有する児のTEIは2,208.6 ± 691.0 kcal/kg/28日であり有意差を認めた(P<0.001)。心疾患を有する児において、手術を要した症例のTEIは1,826.3 ± 570.8 kcal/kg/28日で、手術を要しなかった児のTEIは2,633.4 ± 558.7 kcal/kg/28日であり有意差を認めた(P<0.001)。また、心疾患を有する児の生後28日までのTEIと体重増加は有意に相関していた(r=0.887、P <0.001)。

(考察)
 心疾患の新生児の栄養障害は、心不全による体液制限、外科的ストレスによるエネルギー消費の増大、周術期の新生児壊死性腸炎のリスクによる経腸栄養の制限によるとされている。今回の研究では、心疾患を有する児のTEIは、疾患を有さない群の75.7%であることが新たに明らかとなった。
 また、生後28日以内に手術を要さない児と手術を要した児のTEIを比較したところ、後者の方が低値であった。生後28日以内に心疾患に対し手術を要した児のTEIは、疾患を有さない児の62.6%、心疾患を有して手術を要しない児の69.4%であった。心疾患に対し手術を要する児では、心不全および新生児壊死性腸炎のリスクを避けるため、より強い経腸栄養と水分制限が必要であり、今回の結果を説明し得る。
 また、生後28日間のTEIは、心疾患を有する児の体重増加と強く相関していた。これまでの報告では、心疾患の新生児はさまざまなストレスのためにエネルギー需要が増加とするとされており、重度の心疾患の新生児では、栄養摂取量だけでは体重増加に強い影響を与えない可能性があると予想していた。しかし重症症例も含め、心疾患を有する児においてTEIは体重増加と相関していた。これは適切な時期での医学的介入と手術により、エネルギー需要の増加を抑制したためであると考えられた。

(結論)
 生後28日間の心疾患を有する児のTEIは、疾患を有さない児と比較し低値であり、生後1ヶ月の体格変化に影響を及ぼすことが明らかとなった。TEIの測定により、心疾患の児における栄養状態と体格変化の関係を実証することができた。今後、電子カルテやAIなどの医療技術の進化により、より詳細な新生児の栄養管理を行うことが可能となる。本研究の展望として、未熟児、染色体および遺伝子疾患、先天性の消化器疾患をもつ新生児に関してTEIによる栄養評価を検討し、詳細な医療データを活用した栄養管理を推進して、新生児医療の発展に寄与することが望ましい。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る