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The process by which mothers of children with special healthcare needs evolve their connections with the community

菊原 美緒 鳥取大学

2022.03.04

概要

令和 4 年 2 月

菊原美緒


学位論文審査要旨






治 代

副主査





義 弘











主論文
The process by which mothers of children with special healthcare needs evolve
their connections with the community
(医療的ケア児の母親がコミュニティとの繋がりを進化させるプロセス)
(著者:菊原美緒、平上久美子、玉崎章子、前垣義弘、花木啓一)
令和3年

Nursing & Health Sciences

23巻

957頁~966頁

参考論文
1. 地域で生活する障がいを持つ人々との当事者参加型教育を実施して-看護学生が療養
される人々の暮らしとケアを理解するために-
(著者:仲野真由美、土居裕美子、中川康江、伊藤順子、菊原美緒)
平成29年

鳥取看護大学・鳥取短期大学研究紀要

第74号

29頁~38頁













The process by which mothers of children with special healthcare needs evolve
their connections with the community
(医療的ケア児の母親がコミュニティとの繋がりを進化させるプロセス)

近年、医療技術の進歩により医療的ケア児が増加し、その数は2019年までの10年間で約
2倍へ急増した。そのなかで、主たるケア実施者である母親は、常に児の生命の危険と向
き合い24時間のケアに負担を感じながら生活していて、孤立しやすく心理社会的な不適応
を生じやすいと考えられている。ところが、このような母親が、地域の人的資源であるつ
きあいや交流などのソーシャルキャピタルとどのように繋がっているのかについては、今
までその詳細は明らかにされていない。そこで、本研究では、医療的ケア児の母親が長年
月をかけて構築した地域のソーシャルキャピタルとの繋がりの構造を明らかにすること
で、医療的ケア児を養育する母親とその家族への効果的支援のための示唆を得ることを目
的とした。




本研究のデザインは質的記述的研究である。2017年12月から2019年2月に山陰地方の在

宅医療・介護を提供する3施設を利用した医療的ケア児・者を養育する母親のなかで、同
意が得られた12名を研究参加者とした。母親の年齢は48.7±13.5(平均±SD)歳、児の年齢
は19.8±12.8歳、男8人、女4人、在宅療養期間は18.6±12.7年であった。医療的ケア児の
母親が調査時までに構築した地域との繋がりについて、母親自身がもつ考えや思いを半構
成的面接法により収集し、1人あたり75.2±16.4分のデータを得た。分析にはM-GTA法
(Modified-Grounded theory approach)を用いた。データの分析テーマに関連する部分を
分析ワークシート上に転記し、文章または段落ごとに意味を解釈して、その内容を概念と
して表現した。概念化の際には、医療的ケア児の母親を分析焦点者とした。概念の意味の
解析により、類似した概念は統合し、複数の概念からなるカテゴリを生成させた。対象数
を増しても概念の数が増加しないことをもって理論的飽和とした。得られた概念、カテゴ
リ間の関係を概念図として表示した。この研究は、鳥取大学医学部倫理審査委員会の承認
を経て実施された(No. 1705A028)。




医療的ケア児の母親が構築した地域のソーシャルキャピタルとの繋がりは、次の4つの

段階に分けられた。そのストーリーラインを、概念〔 〕とカテゴリ【 】を用いて示
す。
①閉じこもり期:地域で医療的ケア児を養育する母親は、〔現状への憤り〕〔生活しに
くく孤独な療養生活〕〔希望が持てない〕という状況にあり、【自分の世界に閉じこも
った子育てからくる生きにくさ】によって閉じこもっている。②客観期:〔医療的ケア
児を養育してきた自負への気づき〕や〔交流から得られる気分転換と気づき〕を契機
に、【医療的ケア児の養育の現状・将来像の客観視】ができるようになる。このような
気づきが得られたことにより【他者との関係性を理解した上での協同】が可能となり、
地域と繋がる準備ができる。③地域との協同期:医療的ケア児の母親は、第1のステップ
で〔ネットワークを構築〕し、第2のステップで〔療養上の問題点を明らかにして共有〕
し〔地域とのかかわり方を模索する〕。さらに第3ステップで〔より良い医療的ケア児の
養育の理念とその実現に向けて行動をする〕。この3つのステップを経て、地域のソー
シャルキャピタルとの繋がりを拡げ深めていく。④自己実現期:母親は〔療養生活の受
容と自身の自己実現〕に目を向けるようになり、〔この子と歩む人生に価値を見出〕し
【生きることの素晴らしさ】を認識するに至る。




本研究で明らかとなった医療的ケア児の母親が地域との繋がりを構築するプロセスは、

Meleisによる移行理論の3段階と類似した構造を持ち、①閉じこもり期は(1) The ending
に、②客観期と③地域との協同期は(2)The neutral zoneに、④自己実現期は(3)The new
beginningに相当すると考えられた。それゆえ、医療的ケア児の母親が退院後に地域の新
しい環境に適応していく過程で生じる困難への支援に際しては、移行理論の各段階に対応
した支援を提供することにより、より効果的に対象者をwell-beingの方向へ導くことがで
きると考えられた。




本研究では,医療的ケア児の母親が地域とのつながりを進化させていくプロセスをM-

GTA法を用いて分析した。そのプロセスは、①閉じこもり期、②客観期、③地域との協同
期、④自己実現期の4つの段階に分かれ、移行理論の概念枠組みと符合していたことか
ら、このような母親には協同的パートナーシップによる支援が有用なことが示唆された。

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