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大学・研究所にある論文を検索できる 「Development and validation of a scoring system for prediction of insulin requirement for optimal control of blood glucose during glucocorticoid treatments.」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Development and validation of a scoring system for prediction of insulin requirement for optimal control of blood glucose during glucocorticoid treatments.

川島, 実可子 岐阜大学

2020.03.25

概要

膠原病や自己免疫疾患等にGlucocorticoid(GC)治療が実施されるが,その副作用の1つに高血糖がある。この高血糖に対して食事・運動療法,経口血糖降下薬,インスリンが使用されるが,基礎疾患の臓器障害等によりインスリンが選択されることが多い。GC糖尿病発症のリスク因子に関する研究はこれまで多数報告が存在するが,GC治療中の高血糖に対するインスリン療法の必要性を予測するリスク因子については,十分な検討がなされているとは言い難い。今回,我々はGC治療中の高血糖に対するインスリン療法の必要性を予測する因子を見出し,簡便な臨床的指標を用いた予測スコアリング・システムを構築し,その信頼性や妥当性を多施設において検証した。

【対象と方法】
SAS University Edition softwareを用いてレトロスペクティブにデータの抽出,統計学的解析を実施した。解析対象者の選定条件は,20歳以上,prednisolone(PSL)換算で5mg/日以上のGC投与を少なくとも4週間継続した初回治療例とした。このうち,GC治療開始前に既にインスリン療法を受けている患者,悪性腫瘍で抗がん薬投与を受けている患者は除外した。2004年6月~2016年7月の期間に岐阜大学医学部附属病院総合内科に入院した全患者(2,718名)から上述の条件により選定した対象者をDeveloping set(303名,59±18歳)と定義した。また,2012年4月~2016年7月の期間に岐阜県総合医療センター総合内科に入院した全患者及び,同期間に岐阜市民病院総合診療・リウマチ膠原病センターに入院した全患者から上述の条件により選定した対象者を各々,Validation set A(44名,66±16歳),Validation set B(77名,67±18歳)と定義した。まず,Developing setをGC治療開始後のインスリン療法導入の有無でinsulin群(導入有り)・non-insulin群(導入無し)の2群に分けた。GC治療開始前の身長・体重・BMI等の身体所見,入院時スクリーニング血液検査{血算,HbA1cや空腹時血糖(FPG)をはじめとする生化学検査}データ,PSL開始投与量等の臨床パラメータについてこの2群間で単変量解析を実施した。次に2群間で有意差がみられた臨床パラメータを説明変数,インスリン療法導入の有無を目的変数としてステップワイズロジスティック回帰解析を実施し,そこから選出された変数をGC治療中のインスリン療法導入のリスク因子と同定した。各リスク因子を臨床上の便宜性等を考慮してカテゴリ化し,カテゴリ化された変数をダミー変数に変換のうえ説明変数とし,インスリン療法導入の有無を目的変数として更にロジスティック回帰解析を実施した。この解析により得られた,カテゴリ化されたリスク因子の各変数における回帰係数βを3倍し整数に整理したものをリスク因子の各カテゴリのスコアと定義した。各対象者において,各該当カテゴリのスコア合計点をtotal scoreと定義し,Developing setにおいてtotal scoreのROC解析によりカットオフ値を算出した。このカットオフ値からこのスコアリング・システムの感度・特異度・正確度を算出した。次に,Validation set A,Bに対しても各々スコアリング・システムを適用し,上述のカットオフ値におけるtotal scoreの感度・特異度・正確度を算出した。

【結果】
GC治療中のインスリン療法導入のリスク因子として,男性,血清クレアチニン(cre)(mg/dL)・HbA1c(%)・FPG(mg/dL)高値,PSL開始投与量(mg/kg/日)の5つが同定された。女性0点,男性4点;cre<1.0(mg/dL),0点;1.0≤cre<2.0,4点;2.0≤cre,6点;HbA1c(%)<5.5,0点;5.5≤HbA1c<6.0,2点;6.0≤HbA1c<6.5,4点;6.5≤HbA1c<7.0,7点;7.0≤HbA1c,12点;FPG(mg/dL)<100,0点;100≤FPG<110,2点;110≤FPG<130,7点;130≤FPG,11点;PSL(mg/kg/日)<0.4,0点;0.4≤PSL<0.8,7点;0.8≤PSL,11点;というスコアリングが構築された。Developing setに適用した場合のtotal scoreのROC解析ではAUC0.938であり,カットオフ値は19点,感度90.0%,特異度88.1%,正確度88.4%であった。また,Validation set Aは,感度87.5%,特異度66.7%,正確度70.5%であり,Validation set Bは,感度83.3%,特異度76.1%,正確度76.6%であった。

【考察】
GC治療中のインスリン療法導入のリスク因子のうちHbA1c,FPG,PSL開始投与量は,既報のGC糖尿病発症リスク因子にGC投与量や既存の耐糖能異常,空腹時血糖異常が挙げられている点から妥当な結果と考える。リスク因子のcreは,11β-hydroxysteroid dehydrogenase(HSD)type2を介した活性化型PSLから不活化型prednisoneへの転換が腎機能低下により減弱し,投与されたPSLの代謝が遅延する可能性を考える。また,リスク因子の男性は,肝や脂肪組織において上記と逆の転換反応に働く11β-HSD1type1の発現や耐糖能に関連する各種ホルモンの活性に関する性差の関与を考える。

【結論】
GC治療中の高血糖に対するインスリン療法導入のリスク因子は,男性,cre・HbA1c・FPG高値,PSL開始投与量であった。この5つのリスク因子から構築したGC治療中のインスリン療法必要性を予測するスコアリング・システムの高い信頼性や妥当性が,多施設における検証により明らかになった。

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