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大学・研究所にある論文を検索できる 「T cell receptor-engineered T cells derived from target human leukocyte antigen-DPB1-specific T cell can be a potential tool for therapy against leukemia relapse following allogeneic hematopoietic cell transplantation」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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T cell receptor-engineered T cells derived from target human leukocyte antigen-DPB1-specific T cell can be a potential tool for therapy against leukemia relapse following allogeneic hematopoietic cell transplantation

勝山, 直哉 名古屋大学

2023.08.01

概要

主論文の要旨

T cell receptor-engineered T cells derived from target
human leukocyte antigen-DPB1-specific T cell can be a
potential tool for therapy against leukemia relapse
following allogeneic hematopoietic cell transplantation
HLA-DPB1抗原特異的T細胞由来のTCR-T細胞は
同種造血幹細胞移植後の再発性白血病に対する
有効な治療法となりうる

名古屋大学大学院医学系研究科
微生物・免疫学講座

総合医学専攻

分子細胞免疫学分野

(指導:西川 博嘉
勝山 直哉

教授)

【緒言】
難治性白血病に対しては大量の抗がん剤を用いた後の造血幹細胞移植が有効な治療
法として知られているが、移植を行っても約半数が結果的に再発することが問題とな
っており、再発後の有効な治療法が求められている。移植を行う際は HLA を適合させ
ることが重要であるが、HLA の 1 つである HLA-DP に関しては半数以上の非血縁者間
移植で不適合が生じることが知られている。HLA-DP 不適合移植後の再発状態を考え
ると、移植により正着した正常造血細胞はドナー由来の HLA-DP 型を有する一方で、
再発し増殖した白血病細胞の HLA-DP 型は元の患者由来となる。この HLA-DP 型の違
いを利用し、白血病細胞だけを特異的に排除するような治療はできないかと考え、白
血病細胞に発現している特定の HLA-DP のみを選択的に認識する T 細胞の T 細胞受容
体(TCR)を利用して TCR-T 細胞療法を展開することを目的とした。
【対象及び方法】
日本人集団で頻度の高い HLA-DPB1 * 09:01 を標的抗原とした。この HLA-DP 型を有
さない健康人ドナー末梢血より、CD4+CD45RA+のナイーブ T 細胞を純化し、不適合
HLA-DP 分子を遺伝子導入した K86 細胞(HLA 欠損 K562 細胞に CD86 を安定導入)で
複数回の刺激を行った。増殖した T 細胞をクローン化し、HLA-DPB1* 09:01 を発現さ
せた様々な腫瘍細胞に対するサイトカイン産生、細胞傷害性を指標として特異性を検
討した。良好な特異性を示した T 細胞クローンから TCR 遺伝子配列を取得し、レト
ロウイルスベクターによる遺伝子導入にて TCR-T 細胞を作製した。TCR-T 細胞の反
応性もクローンの場合と同様な方法で検討した。さらに詳細な特異性を検討するため
に HLA-DP に対する中和抗体の存在下で反応が生じるか検討した。また交差反応性の
程度を評価するために K86 細胞に日本人集団で頻度の高い各種 HLA-DP 型分子を発
現させ、それらに対する TCR-T 細胞の反応性を検討した。さらに複数の患者由来の
AML(急性骨髄性白血病)検体を用いて反応性を検討した。
【結果】
ドナーより純化した CD4+CD45RA+のナイーブ T 細胞に対して HLA-DPB1 * 09:01 を
発現させた K86 細胞で複数回刺激した後に T 細胞の活性化マーカーである CD154 の
発現が上昇しており、HLA-DPB1 * 09:01 に特異的に反応する T 細胞群が存在すること
を確認した。それらの T 細胞群から CD154 によるソーティングおよび限界希釈によ
るクローニングでシングルクローンを取得した。さらにその中から白血病細胞だけに
反応するクローンを取得することを目的として HLA-DPB1 * 09:01 発現 K86 細胞には反
応し、非血液系細胞である HeLa 細胞に HLA-DPB1*09:01 を発現させたものには反応
しないような T 細胞を目的の T 細胞クローンとした。以上にて得られた T 細胞クロー
ンは腫瘍細胞株の中でも骨髄性白血病由来細胞株に対して特異的に TNF-α、IFN-γ お
よび Granzyme B を産生した。さらにこの T 細胞クローンの傷害活性は骨髄性白血病
細胞に特異的であり、サイトカイン産生と相関性を示した。次いで樹立した T 細胞ク

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ローンから作成した cDNA をもとに PCR を用いて TCR 遺伝子を増幅し、配列決定を
行った。この配列をもとにコドン適正化後に TCR を人工合成し、レトロウイルスベク
ターを用いて TCR-T 細胞を作製したところ、元のクローンと同等な特異性をもった
TCR が高いレベルで発現していることを確認した。作製した TCR-T 細胞は骨髄性白
血病細胞株特異的に TNF-α および IFN-γ を産生し、さらに細胞傷害性を示すなど元の
T 細胞クローンと同様な反応パターンを示した。この TCR-T 細胞の骨髄性白血病細胞
に対するサイトカイン産生は HLA-DP の中和抗体によってブロックされることから
HLA-DP 依存的であることを確認した。さらに、HLA-DPB1 * 09:01 とは異なる HLA-DP
型分子を発現させた K86 細胞には反応を示さなかったことから、強い HLA-DP 拘束性
を 有 し て い る こ と も 示 さ れ た 。 HLA-DPB1 * 09:01 を 発 現 し て い る 急 性 骨 髄 性 白 血 病
(AML)検体へは弱いながらも TNF-α、IFN-γ および Granzyme B を産生した。
【考察】
作製した TCR-T 細胞は HLA-DPB1 * 09:01 を発現させた骨髄性白血病細胞特異的な
反応性を示したが、T 細胞や B 細胞などのリンパ球系の細胞株には反応せず、骨髄性
細胞株にのみ反応したことから、抗原遺伝子は骨髄系細胞にのみ発現することが考え
られる。臨床応用を考えた場合、HLA-DP に提示されるペプチド及び抗原遺伝子の特
定は必須と考えられるため、現在同定を試みている。遺伝子が同定されれば患者白血
病細胞への反応性が弱かった原因の解明につながると考えられる。また TCR-T 細胞を
用いることで患者白血病細胞への反応性が向上したことから、反復刺激で増殖させた
T 細胞よりも、短期間培養で作製できる TCR-T 細胞は疲弊することなく機能を維持し
たと考えられる。
【結語】
HLA-DP 抗原特異的な T 細胞クローンの誘導及び特定を行い、抗原特異的な TCR を
発現させた TCR-T 細胞を作製した。TCR-T 細胞は骨髄性白血病細胞に対して特異的
な反応を示し、患者由来の急性骨髄性白血病細胞にも反応したことから治療応用の可
能性が示唆された。今後の課題として、HLA-DPB1*09:01 以外の日本人において頻度
の高い他の HLA-DP 型分子をターゲットとする特異的な T 細胞も樹立して TCR-T 細
胞を作成し治療対象を増やす必要があると考えられた。

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