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大学・研究所にある論文を検索できる 「巨大食道を伴うadvanced achalasiaに対しての経口内視鏡的筋層切開術(P O E M:Peroral endoscopic myotomy)」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

巨大食道を伴うadvanced achalasiaに対しての経口内視鏡的筋層切開術(P O E M:Peroral endoscopic myotomy)

上田, 千勢 神戸大学

2023.03.25

概要

Kobe University Repository : Kernel
PDF issue: 2024-05-02

Peroral endoscopic myotomy for advanced
achalasia with megaesophagus

上田, 千勢
(Degree)
博士(医学)

(Date of Degree)
2023-03-25

(Resource Type)
doctoral thesis

(Report Number)
甲第8507号

(URL)
https://hdl.handle.net/20.500.14094/0100482255
※ 当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。

(課程博士関係)

学位論文の内容要旨

Peroral endoscopic myotomy for advanced achalasia with
megaesophagus

巨大食道を伴う advanced achalasia に対しての経口内視鏡的筋層切開術(P O E M:Peroral
endoscopic myotomy

神戸大学大学院医学研究科医科学専攻
内科学講座消化器内科学分野
(指導教員:児玉 裕三教授)
Chise

Ueda

上田

千勢

【背景・目的】食道アカラシアは食道のまれな神経変性疾患であり、推定有病率は 10 万人あたり
8 人、発生率は 10 万人あたり1人/年とされている。アカラシアは下部食道括約筋(LES)の機能
障害または食道の異常な収縮を特徴とする疾患であり、嚥下障害、摂食不足、体重減少を引き起こ
す。アカラシアの治療法には、薬剤、内視鏡ボツリヌス毒素注射、バルーン拡張術、および外科手
術が含まれるが、最近、アカラシア治療の新しい内視鏡手術として、経口内視鏡的筋層切開術(Peroral Endoscopic Myotomy: POEM)が標準治療になりつつある。アカラシアは進行するにつれ、食
道は拡張していき、S 状に蛇行していくとされている。これまで巨大食道を伴う advanced
achalasia に対する POEM の有効性や安全性については十分な検討はされていない。本研究は巨大
食道を伴う advanced achalasia に対する POEM の治療成績を明らかにすることを目的とした。
【方法】当院で 2015 年 4 月から 2019 年 3 月までに当院で POEM を受けたアカラシア患者
234 例を対象とし、巨大食道を伴う advanced achalasia に対する POEM の有効性や安全性を
retrospective に検討した。巨大食道は 6cm 以上の食道拡張を有する患者と定義した。研究の主要
アウトカムは advanced achalasia と非 advanced achalasia に対しての POEM の臨床的成功率(臨
床成功定義:Eckardt スコア≦3、POEM 後 1 年以内に再治療なし)の比較とした。副次アウトカム
は、技術的成功率、周術期合併症の発生率、POEM 前の患者背景、治療後の逆流性食道炎の有無、
処置時間、入院期間、および筋切開長などの処置に関連した項目等について比較し検討した。
【結果】研究期間中、306 人のアカラシア患者に対して POEM を行った。以前に POEM を受けた
ことがある 4 人の患者と、フォローアップに失敗した、または、フォローアップ データが不完
全だった 68 人の患者は除外され、234 人の患者がこの研究に登録された。234 例中 11 例
(4.7%)が巨大食道を伴う advanced achalasia と診断された。巨大食道を伴う advanced
achalasia の POEM の技術的成功率は 100%であった。しかし、advanced achalasia 群は非
advanced achalasia 群に比べて臨床的成功率が有意に低かった(63.6% vs. 96.0%、p=0.002)。
また主要な合併症の発生率が有意に高かった(18.2% vs. 2.7%、p=0.048)。end-stage
achalasia 群での主要な合併症例は2例あったが、2例ともエントリーの離開によるものであっ
た。いずれの症例も縫縮に難渋し、エンドクリップのみでは縫縮できず、1例はネオベール、1
例はエンドループを使用し、創部の縫縮を行った。advanced achalasia 群は、非 advanced
achalasia 群と比較して症状を有していた期間が有意に長かった (15 [2-41] 年 対 5 [0.2-61]
年、p=0.003)。さらに、advanced achalasia 群 では S 状食道の割合が高かった (90% 対
19.3%、p<0.001) 。advanced achalasia 群 において治療前後を比較したところ Eckardt スコア
(6 vs.2、p=0.003)と IRP (integrated relaxation pressure)(28mmHg vs.9mmHg、p=0.028)
において有意な低下が認められた。advanced achalasia 群における臨床的成功群と失敗群の患者
背景や治療内容について比較したが、年齢、症状の持続時間、以前の治療の有無、S 状食道の有
無、術前の Eckardt スコア、および筋切開の長さにおいて有意差はなかった。また、advanced
achalasia における成功群と失敗群の食道透視所見を比較したところ、術後の食道の口径比

(r/R)、つまり食道流出の最小直径と最大食道直径の比 (0.275 [0.193-0.47] 対 0.216 [0.1220.244]、p=0.023)において有意差を認めた。
【結論】巨大食道を伴う advanced achalasia に対しての POEM は治療の前後で自覚症状を改善
し、I R P の低下を認めた。そして、技術的にも可能であった。しかし、臨床的成功率は
advanced achalasia では非 advanced achalasia と比較すると有意に低く、主要な合併症の発生
率が高かった。したがって、巨大食道を伴う advanced achalasia への POEM の適用は慎重に行う
べきである。

論 文審 査 の 結 果 の 要 旨


番号

甲第 3
251号





上田千勢



Pe
r
o
r
a
le
n
d
o
s
c
o
p
i
cmyotomyf
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awith
megaesophagus

論文題目

T
i
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leof
D
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e
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t
a
ti
on

巨大食道を伴う a
dvanceda
c
h
a
l
a
s
i
aに対しての経口 内視鏡的筋層

切開術 (
PO EM :Perorale
n
d
o
s
c
o
p
i
cmyotomy)


審査委 員

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ChiefEx
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n
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副 査

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□1げ
1
叶火


¥
2


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囮 嵐又
神 戸 大 学 大学院 医学 (系)研究涼ビて博士課程)

(要旨は 1, 00 0字 ∼ 2, 0 00字程度)


背景 ・目的 】食道アカラシアは食道のまれな神経変性疾患であり 、推定有病率は 1
0万
0万人あたり 1人/年とされている 。 アカラシアは下部食道括
人あた り 8人、発生率は 1

LE
S
) の機能障害または食道の異常な収縮を特徴とする疾患であり 、慮下障害、摂
約筋 (

食不足、体重減少を引き起こす。アカラシアの治療法には、薬剤、内視鏡ボッリヌス毒素
注射 、バルーン拡張術、お よび外科手術が含まれるが、最近、アカ ラシア治療の新 しい内
視鏡手術として、経口内視鏡的筋層切開術(Per-or
a
lE
nd
oscop
icM
y
o
t
o
m
y
: POEM)が標
準治療になりつつある 。アカラシアは進行するにつれ、食道は拡張していき、 S状に蛇行
していくとされている 。 これまで巨大食道を伴う advanced ach
a
lasiaに対する POEMの
有効性や安全性については十分な検討はされていない。 本研究は巨大食道を伴う
advancedac
hal
asi
aに対する POEMの治療成績を明らかにすることを目的とした。

方法 】当院で 201
5年 4 月から 2019 年 3 月までに当院で POEM を受けたアカラシ
ア患者 234例 を対象とし 、巨大食道を伴う advancedac
halasiaに対する POEMの有効性
や安全性を retrospecti
v
eに検討した。 巨大食道は 6c
m以上の食道拡張を有する患者と
定義した。
M を行った。以前に POEM

結果 l研究期間中、 306人のアカラシア患者に対して POE
を受けたことがある 4人の患者と 、フォローアップに失敗した、または 、フォローアッ
プデータが不完全だった 68人の患者は除外され、234人 の患者がこの研究に登録され
た。234例中 1
1例 (
4
.7%
)が巨大食道を伴う advancedachalasiaと定義された。 巨大
食道を伴う advan
cedachalasiaの POEMの技術的成功率は 1
0
0%であった。 しかし、
advanced ac
halasi
a群は非 advancedachal
a
si
a群に比べて臨床的成功率が有意に低か
った (
6
3
.
6
%v
s
. 96.
0
%、p=
O.
002
) 。 また主要な合併症の発生率が有意に高かった
(
1
8.
2% v
s
. 2.
7%、p=O
.0
4
8
) 。a
dva
nc
e
dachalasia群は、非 adva
nceda
chal
asi
a群
O
.2
6
1
]
と比較して症状を有していた期間が有意に長かった (
1
5[
2
4
1
]年 対 5[
90
%
年、p=0
.
0
0
3
)。 さらに、 a
dvancedachal
asia群 で は S状食道の割合が高かった (
対 1
9.
3%、p<
O.
0
0
1
) 。a
dva
nc
edachalasi
a群において治療前後を比較したところ
=0.
0
0
3
) と IRP (
integratedrelaxati
onpressur
e
)
Ec
kardtスコア (
6v
s.
2、p
(
2
8mmH
gv
s
.9
mmH
g、p=0.
028
) にお いて有意な低下が認められた。 巨大食道を伴う
advanced achalasi
aにおける成功群と失敗群の食道透視所見を比較したと ころ、術後の
食道の 口径比 (
r/R
)、つまり食道流出の最小直径と最大食道直径の比 (
0
.275 [
O
.1
930.47]対 0.
21
6[
O.1
2
2-0.244]、p
=O
.023
)において有意差 を認めた。


結 論 】巨大食道を伴う advancedachalasiaに対しての P
OEMは治療の前後で自覚症状
を改善し、 IRPの低下を認めた。そして、技術的にも可能であった。 しかし 、臨床的
成功率は advancedachal
asiaでは非 advancedachalasi
aと比較すると有意に低く、主
要な合併症の発生率が高かった。 したがって、巨大食道を伴う a
dvanc
e
dachalasiaへ
真重に行うべきである 。
の POEMの適用ばl

本研究は、本研究では

食道アカラシアに対する POEM の有効性を調べた点で重要な知

見を得たものとして価値ある業績であると認める 。よって本研究者は、博士(医学)の学
位を得る資格があるものと認める 。

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