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大学・研究所にある論文を検索できる 「Controlled induction of immune tolerance by mesenchymal stem cells transferred by maternal microchimerism」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Controlled induction of immune tolerance by mesenchymal stem cells transferred by maternal microchimerism

祝, 小百合 大阪大学

2021.04.30

概要

〔目 的(Purpose)〕
遺伝性疾患に対する幹細胞治療は、移植した幹細胞から欠損している遺伝子産物が補充されることを期待している。しかし、同種他家由来幹細胞移植を行う場合、拒絶反応が治療効果維持の妨げとなる。そこで、免疫系確立前の胎児期幹細胞移植が注目され、胎児期造血幹細胞(HSPC)移植による移植細胞への免疫寛容誘導効果が報告されている。しかし、胎児期間葉系幹細胞(MSC)移植による免疫寛容誘導については明確な報告がない。今回我々は、マウスモデルを用いて骨髄MSC移植による免疫寛容誘導効果を検討し、HSPC移植と比較した。次に、妊娠中に母体細胞が胎児に移行するmaternalマイクロキメリズムに着目し、母親MSCが胎仔に移行してMSC特異抗原に対する免疫寛容を誘導している可能性を検討した。さらに骨髄からMSCを血中動員する作用を持つHMGB1ペプチドを妊娠マウスに投与し、maternalマイクロキメリズムによるMSC免疫寛容誘導増強効果を検討した。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
①免疫寛容誘導に必要な細胞の検討:Donor細胞としてB6GFPTgマウスの全骨髄細胞(BMC,2.5×106細胞)、HSPC分画(100細胞)、MSC分画(100細胞)、分化細胞分画(2.5×106細胞)を、生後24時間以内の新生仔同系B6マウスに経静脈に移植した。生後6週時にGFP皮膚片を移植し、GFPに対する免疫寛容状態を検討した。免疫寛容状態確認は皮膚片生着率、B細胞性免疫は抗GFP抗体の有無をELISA法にて計測し、T細胞性免疫はELISPOT法を用いて評価した。GFP皮膚片は、BMC群と同様MSC群でも生着した。抗GFP抗体の産生は、分化細胞群では抑制されないのに対して、BMC・HSPC群同様にMSC群では有意に抑制された(p<0.01)。さらにELISPOT法によるIFN-γの発現量測定では、分化細胞群と比較してBMC・HSPC・MSC群では有意にT細胞活性は低かった(p<0.01)。以上から、免疫寛容誘導に幹細胞移植が必要であり、MSC単独移植で免疫寛容誘導が可能であることが示された。
②間葉系特異抗原に対する免疫寛容誘導における、胎仔MSC移植のHSPC移植に対する優位性の検討:PDGFRα-GFP遺伝子改変マウス(Pα-KIB6)のBMCから、HSPC分画とMSC分画を分離した。PDGFRaは間葉系細胞のマーカーのため、HSPCはGFPを発現せず、MSCとその間葉系分化細胞でのみGFPを発現する。①と同様の皮膚移植の系で評価した。GFP皮膚片は、PαKI-MSC群でのみ皮膚片が生着した(p<0.01)。抗GFP抗体の産生はPαKI-MSC群でのみ抑制され(p<0.05)、T細胞系免疫反応もPαKI-MSC群でのみ抑制された(p<0.05)。このことから間葉系特異抗原に対する免疫寛容を誘導するためには、MSCを移植しなければならないことが示された。
③maternalマイクロキメリズムで移行する母由来間葉系特異抗原に対して免疫寛容が誘導される割合の検討:Pα-KIB6(雌)とB6WT(雄)を交配させ、F1B6GFP-/-マウス(NIMAGFP暴露群)が得られるモデルを作成した。F1マウスに生後6週時にGFP皮膚片移植をしたところ、WT(GFP-/-マウス;NIMAGFP非暴露群)では生着率0%に対し、F1B6GFP-/-マウス(NIMAGFP暴露群)では約15%の生着率であった。母親由来MSCが胎仔に移行し、母由来MSCおよびその系譜細胞を拒絶しない仔の割合を反映していると考えられた。
④maternalマイクロキメリズムによる免疫寛容誘導効率を高める方法の検討:末梢循環MSCを増加させるHMGB1ペプチドを、③で作成した妊娠母体に尾静脈投与することで、母体血中MSCを増加させ、F1マウスGFP-/-(NIMAGFP暴露群)のGFPに対する免疫寛容誘導効率を上昇させ得るか検証した。GFP皮膚片に対する免疫寛容の成立した割合は、PBS群(対照群)と比較してHMGB1群で有意に増加した(5.9%vs.26%,p<0.05)。

〔総 括(Conclusion)〕
免疫寛容誘導には、分化細胞ではなく幹細胞の移植が必要であり、免疫系が未熟な期間内のMSC移植で免疫寛容誘導が可能であった。また一定の割合でmaternalマイクロキメリズムによる母親由来間葉系特異抗原に対する免疫寛容が成立していることが明らかになったことから、maternal MSCマイクロキメリズムの効率を増強させることにより、母親MSCおよびその系譜細胞に対する拒絶反応を回避して、根治的治療法を可能にする母親MSCを用いた再
生医療の実現が可能になると期待される。

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