大腸微小病変の質的診断における自家蛍光内視鏡を用いたリアルタイム自動診断の有用性の検討 (第137回成医会総会一般演題)
概要
【目的】
大腸微小病変に対する高い質的診断を有するモダリティの開発は重要な課題である.本研究の目的は新たに開発した色調強度解析プログラムによる第二世代自家蛍光内視鏡(AFI)を用いたリアルタイム自動診断の有用性を明らかにすることである.
【方法】
2017年12月から2018年5月までに,東京慈恵会医科大学附属病院にて大腸病変に対する内視鏡的治療を施行予定の患者を対象とした.白色光で検出された5 mm 以下の大腸病変に対し,AFI を用いたリアルタイム色調強度解析診断を施行後,狭帯域拡大観察(NBI 拡大観察)による質的診断を施行し,内視鏡的に摘除した.AFI を用いた色調強度解析は,対象病変の中央を関心領域とし,Green をRed の色調強度で割ったG/R 比の算出を行い,Cut-off 値の0.95以下を腫瘍性病変と診断した.病理組織診断をgoldstandard として, NBI 拡大観察,自動AFI 診断による質的診断能を前向きに評価した.
【結果】
検討期間中の対象は95症例,429病変であった.局在は近位大腸146病変(34.0%),下行結腸25病変(5.8%),直腸・S 状結腸病変258病変(60.1%)であった.全大腸病変を対象とした,NBI 拡大観察の腫瘍性病変に対する診断能は,感度 91.7%,特異度92.4%,陰性的中率92.4%,陽性的中率91.7%,自動AFI 診断では,感度 78.6%,特異度92.4%,断成績は,NBI 拡大観察では,感度 88.7%,特異度 95.9%,陰性的中率96.4%,陽性的中率87.3%,自動AFI 診断では,感度82.3%,特異度94.9%,陰性的中率 94.4%,陽性的中率 83.6% であった.自動AFI 診断における受信者動作特性曲線下面積は,全大腸病変対象では0.861,直腸・S 状結腸病変対象では0.890であった.
【結論】
AFI を用いたリアルタイム自動診断により,直腸・S 状結腸の大腸微小病変に対する良好な質的診断成績が得られた.陰性的中率 82.4%,陽性的中率 90.5% であった.直腸・S 状結腸病変を対象とした質的診