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書き出し

病気や障がいを自己開示して働く人の就労継続に至るまでのプロセス

千野, 由麻 信州大学

2023.08.22

概要

Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023

   病気や障がいを自己開示して働く人の就労継続に至るまでのプロセス
03-2
千野由麻(清泉女学院大学看護学部看護学科)
キーワード:病気、障がい、自己開示、就労継続、プロセス

要旨:近年、障害者雇用の増加を背景に、病気や障がいについての相談先となることの多い医療者による
支援が重要視されている。病気や障がいを持つ人の病気の理解や体験を明らかにするために、自身の病気
や障がいを自己開示しながら働いている人に、就労継続に至るまでのプロセスについて半構造的面接を行
った。M-GTA を用いて分析した結果、35 の概念、9 つのサブカテゴリー、7 つのカテゴリーが生成された。
看護師は、就労を見据えた情報提供や病気や障がいへの肯定的な思いを引き出す支援、揺れ動く当事者を
継続的に支える環境づくりをしていく必要がある。

A.目的

なお、カテゴリーは【 】
、サブカテゴリーは< >

 自分の病気や障がいを開示して働く人の病気や

を用いて示す。

障がいの理解とそれに伴う体験に焦点をあて、就

 ストーリーライン:
【病気や障がいのそれぞれの

労継続に至るまでのプロセスを明らかにした。

受け止め】を病気や障がいをもちながら働くスタ

B.方法

ート地点として、<自分の病気や障がいについて

 一般企業で自身の病気や障がいを自己開示し

知る>中で、<病気や障がいに合わせた生活管理

ながら 2 年以上継続して働いている人(以下、当

>をする。さらに<病気や障がいを経験してみえ

事者)に、病気や障がいに気づいてから、どのよ

たもの>を感じ、
【病気や障がいを認め,サポー

うな思いや考えをもって、どのような出来事や人

トしてくれる人の存在】に支えられながら、
【自己

から支援や影響を受け、自身の病気や障がいにつ

と向き合い,社会で働くための踏み出す一歩】を

いて理解し、まわりに説明してきたのかについて、

経験していた。病気や障がいについて理解を深め、

半構造的面接を行った。逐語録をデータとし、修

<病気や障がいという特徴をもった自分>と捉え

正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ 1)を

る一方で、日々の出来事や病状などから<病気や

用いて分析した。本研究は、清泉女学院大学倫理

障がいへの葛藤>を感じることもあり、変化する

委員会の承認(承認番号:2021K007)を得た上で、

【病気や障がいをもつ自分】を形成していた。

研究協力依頼を行った。

 職場では、<自分の発信方法についての検討>

C.結果

を行い、<協力を得ながら働くために開示をする

 NPO 法人団体と障害者支援団体に研究依頼を行

>努力を重ね、
【職場環境づくりとしての自己開

い、同意を得られた 10 名に半構造的面接を行った。

示】をしていた。
【職場環境づくりとしての自己開

面接時間は 42 ~ 113 分で、平均 63.4 分であった。

示】は、
【サポートを受けながら働く職場環境】を

協力者の内訳は、男性 7 名、女性 3 名で、年齢は

つくり、就労継続へとつながるとともに、
【就労状

30 ~ 50 歳代、平均年齢は 41.5 歳(SD:7.7)であ

況による家族関係の変化】や【職場環境づくりと

った。雇用形態は一般雇用が 5 名、障害者雇用が

しての自己開示】へも良い影響を与えていた。

5 名で、就労継続年数は 2 ~ 17 年、転職経験はあ

D.考察

りが 7 名、なしが 3 名であった。

 社会で働くための一歩として重要なことは、疾

 当事者の就労継続に至るまでのプロセスとして、

患理解をはじめとした生活管理と、自身の強みを

35 の概念、9 つのサブカテゴリー、7 つのカテゴ

具体的に知ることであった。看護師は病気や障が

リーが生成された。それらの全体的な関連につい

いに関する専門的な知識をもつ支援者として、当

て、結果図(図 1)とストーリーラインにまとめた。

事者の疾患理解を支えていくことのできる重要な
48

信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. 1, August 2023

Shinshu Journal of Public Health Vol. 18 No. 1, August 2023
いに関する専門的な知識をもつ支援者として、


境づくりの重要性が示唆された。

事者の疾患理解を支えていくことのできる重要

E.まとめ

な存在である。看護師は、退院後の自宅における

病気や障がいを自己開示して働く人の就労継

存在である。看護師は、退院後の自宅における生

E.まとめ

生活のみだけでなく、当事者の就労へと視野を広

続に至るまでのプロセスが明らかとなった。

活のみだけでなく、当事者の就労へと視野を広げ、

げ、疾患理解へのサポートをしていく必要がある。
疾患理解へのサポートをしていく必要がある。

また、自己開示をしながら順調に働いている当

 病気や障がいを自己開示して働く人の就労継続

看護師は、就労を視野にいれた疾患理解への具

に至るまでのプロセスが明らかとなった。

体的な情報提供を行い、当事者の疾患管理を支え

 また、自己開示をしながら順調に働いている当

 看護師は、就労を視野にいれた疾患理解への具

事者も、病気の再発や就労継続による不安を抱え、 ていくとともに、病気や障がいへの肯定的な思い
体的な情報提供を行い、当事者の疾患管理を支え

事者も、病気の再発や就労継続による不安を抱え、

病気や障がいへの肯定的な思いとの間で、
揺れ動
病気や障がいへの肯定的な思いとの間で、揺れ

を引き出す支援をしていく必要がある。また、地
ていくとともに、病気や障がいへの肯定的な思い

きながら就労していた。看護師は、丁寧な説明を
動きながら就労していた。看護師は、丁寧な説明

域の支援者とつながり、
揺れ動く当事者を継続的
を引き出す支援をしていく必要がある。また、地

心がけ、病気や障がいへの思いを共有しながら、
を心がけ、病気や障がいへの思いを共有しながら、

に支える環境づくりが重要であると考えられた。
域の支援者とつながり、揺れ動く当事者を継続的

肯定的な思いを引き出す支援をすることが重要
肯定的な思いを引き出す支援をすることが重要で

F.利益相反
に支える環境づくりが重要であると考えられた。

あると考えられた。
であると考えられた。

F.利益相反
利益相反なし。
 利益相反なし。
G.文献

 最後に、当事者にとって、家族や地域における
最後に、当事者にとって、家族や地域における
支援者、職場の上司・同僚は、就労継続において
支援者、職場の上司・同僚は、就労継続において

G.文献
1)
木下康仁:ライブ講義 M-GTA 実践的質的研

重要な存在であった。産業保健師や行政保健師に

1)
木下康仁:ライブ講義 M-GTA 実践的質的研究

重要な存在であった。産業保健師や行政保健師に

究法

よる就労支援 ) ) では、家族への支援や職場環境

よる就労支援 2

3

修正版グランデッド・セオリー・アプ

法 修正版グランデッド・セオリー・アプローチ

2)3)

では、家族への支援や職場環境

ローチのすべて.弘文堂.2007.

の調整といった当事者を身近で支える支援が行わ

のすべて.弘文堂.2007.

2)西谷梨花,田渕紗也香,月野木ルミ:行政保

の調整といった当事者を身近で支える支援が行
れている。当事者が退院指導を受けた後、地域に

2)
西谷梨花,田渕紗也香,月野木ルミ:行政保健

われている。当事者が退院指導を受けた後、地域

健師による精神障害者の就労継続支援の内容.

おいてどのような課題があり、どのような支援の

師による精神障害者の就労継続支援の内容.日

日本公衆衛生雑誌
Vol.69.No.7:536-543.
本公衆衛生雑誌 Vol.69.No.7:536-543.2022.

においてどのような課題があり、
どのような支援
必要性があるのかを看護師が知ることができれば、

3)
2022.
松浦さゆり,原田小夜:医療福祉労働関係者

の必要性があるのかを看護師が知ることができ
病状に合わせた指導や主治医との相談などの医療
れば、
病状に合わせた指導や主治医との相談など
機関にしかできない支援が可能になるのではない

3)松浦さゆり,原田小夜:医療福祉労働関係者
が難病患者の就労継続のために必要と捉えてい

だろうか。地域へとつなげる支援とともに、地域
の医療機関にしかできない支援が可能になるの

る支援と保健所保健師の役割.難病と在宅ケア.
が難病患者の就労継続のために必要と捉えて

と医療機関が連携して当事者を支える環境づくり
ではないだろうか。
地域へとつなげる支援ととも

Vol.26.No.1:32–35. 2020.
いる支援と保健所保健師の役割.難病と在宅

の重要性が示唆された。
に、
地域と医療機関が連携して当事者を支える環

ケア.Vol.26.No.1:32–35.2020.

図 1 病気や障がいを自己開示して働く人の就労継続に至るまでのプロセス
図 1 病気や障がいを自己開示して働く人の就労継続に至るまでのプロセス

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信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. ...

この論文で使われている画像

参考文献

1)

木下康仁:ライブ講義 M-GTA 実践的質的研

重要な存在であった。産業保健師や行政保健師に

1)

木下康仁:ライブ講義 M-GTA 実践的質的研究

重要な存在であった。産業保健師や行政保健師に

究法

よる就労支援 ) ) では、家族への支援や職場環境

よる就労支援 2

修正版グランデッド・セオリー・アプ

法 修正版グランデッド・セオリー・アプローチ

2)3)

では、家族への支援や職場環境

ローチのすべて.弘文堂.2007.

の調整といった当事者を身近で支える支援が行わ

のすべて.弘文堂.2007.

2)西谷梨花,田渕紗也香,月野木ルミ:行政保

の調整といった当事者を身近で支える支援が行

れている。当事者が退院指導を受けた後、地域に

2)

西谷梨花,田渕紗也香,月野木ルミ:行政保健

われている。当事者が退院指導を受けた後、地域

健師による精神障害者の就労継続支援の内容.

おいてどのような課題があり、どのような支援の

師による精神障害者の就労継続支援の内容.日

日本公衆衛生雑誌

Vol.69.No.7:536-543.

本公衆衛生雑誌 Vol.69.No.7:536-543.2022.

においてどのような課題があり、

どのような支援

必要性があるのかを看護師が知ることができれば、

3)

2022.

松浦さゆり,原田小夜:医療福祉労働関係者

の必要性があるのかを看護師が知ることができ

病状に合わせた指導や主治医との相談などの医療

れば、

病状に合わせた指導や主治医との相談など

機関にしかできない支援が可能になるのではない

3)松浦さゆり,原田小夜:医療福祉労働関係者

が難病患者の就労継続のために必要と捉えてい

だろうか。地域へとつなげる支援とともに、地域

の医療機関にしかできない支援が可能になるの

る支援と保健所保健師の役割.難病と在宅ケア.

が難病患者の就労継続のために必要と捉えて

と医療機関が連携して当事者を支える環境づくり

ではないだろうか。

地域へとつなげる支援ととも

Vol.26.No.1:32–35. 2020.

いる支援と保健所保健師の役割.難病と在宅

の重要性が示唆された。

に、

地域と医療機関が連携して当事者を支える環

ケア.Vol.26.No.1:32–35.2020.

図 1 病気や障がいを自己開示して働く人の就労継続に至るまでのプロセス

図 1 病気や障がいを自己開示して働く人の就労継続に至るまでのプロセス

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信州公衆衛生雑誌 Vol. 18 No. 1, August 2023

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