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大学・研究所にある論文を検索できる 「Control of Spin State Dynamics in Quantum Dot-Molecular Composites for Energy Multiplication」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Control of Spin State Dynamics in Quantum Dot-Molecular Composites for Energy Multiplication

Zhang, Jie 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k22876

2021.01.25

概要

太陽エネルギー変換技術の急速な発展にもかかわらず、すべての半導体デバイスは、スペクトル損失による低い変換効率に悩まされている。半導体を使用する太陽エネルギー変換デバイスは、半導体のバンドギャップに近い光子のみを効果的に変換するため、エネルギーが一致しない光子は無駄になっている。結果として、短波長域および長波長域の太陽スペクトルはほとんど有効に利用されていない。太陽光をより有効に活用する効果的な方法として、光子のアップ/ダウンコンバージョンなどのエネルギー増倍技術がある。一重項分裂(SF)と三重項-三重項消滅(TTA)は、有機発色団における二つの光物理プロセスであり、高エネルギー光子-低エネルギー光子間の変換を実現するために利用することができる。半導体ナノ粒子(量子ドット、 QD)は、サイズに依存した強い吸収をもつと同時に、その大きな比表面積により表面に多数の有機分子を固定できる。したがって、QD と有機分子の複合系は、強い光吸収能と吸収波長制御能により、SF および TTA を基盤としたエネルギー増倍システムを確立するための理想的なシステムである。本博士論文では、エネルギー増倍のための QD/有機分子複合系の合理的な設計、および、複合系のスピンダイナミクスの解明と制御を目指した研究成果をまとめた。

第二章:QD 表面のアクセプター分子数がエネルギー移動効率とフォトンアップコンバージョン効率に及ぼす影響
QD/有機分子複合系は、三重項-三重項消滅アップコンバージョン(TTA-UC)が利用できる魅力的なフォトンアップコンバージョンシステムであるが、システムのアップコンバージョン効率は理論値からはほど遠い。QD に直接配位しているアクセプター分子の数(n)が、三重項-三重項エネルギー移動(TTET)効率(ΦTTET)に大きく影響するはずであるが、n 値に焦点を当てた研究はほとんどない。本章では、セレン化カドミウム(CdSe)またはテルル化カドミウム(CdTe)QD からペリレン-3-カルボン酸(Pe)(アクセプター分子)への TTET に対する n の影響を体系的に検討した。その結果、TTET およびTTA-UC 効率は、n の増加とともに増加することが明らかになった。すなわち、QD 表面の n の制御により、高性能 TTA-UC を実現できる可能性がありることが分かった。QD/有機分子システムの場合、QD からPe へのTTET 効率はQD の三重項エネルギーにより決定されるため、バンドギャップの広い小さなQDがTTET の高効率化に適している。一方、小さいQD は表面積が小さいため、n が制限される。したがって、効率的な TTA-UC を実現するためには、TTET に十分なバンドギャップと大きな n を提供できる QD とアクセプター分子を適切に選択することが重要であることが分かった。

第三章:CdTe QD 表面のペンタセン分子における共鳴エネルギー移動に伴う効率ほぼ 200%の一重項分裂
SF を利用した高エネルギー光子の 2 励起子への変換は、基礎科学からデバイス応用までの広い分野で重要である。しかし現在のところ、効率的な SF は、固体結晶や共有結合二量体などの限られた系でのみ達成されている。本章では、CdTe QD 上に 6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(Pc)発色団を集積することにより、新規SF 系の構築について検討した。その結果、CdTe から表面Pc への界面エネルギー移動を伴う、ほぼ 200%の SF が確認された。QD 上の Pc の特異的な配向が、高効率 SF を実現する重要な要因であることが分かった。可視領域での Pc の小さい吸光度が、QD から Pc への高効率エネルギー移動(99%)により補われている点も重要である。これら高い光吸収能、Pc 濃度に依存しない高い三重項収率、および長寿命三重項の生成は、優れた SF 系の構築に役立つものと期待される。

第四章:CdTe QD 表面のテトラセン分子における共鳴エネルギー移動に伴う効率的一重項分裂
SF を太陽電池の変換効率増強のために実質的に利用するには、1.1 eV 以上の三重項エネルギーをもつ分子を使用すること理想的である。高い三重項エネルギー(~1.25 eV)をもつテトラセン誘導体は、SF 発色団として多くの注目を集めている。吸熱 SFには、一つの一重項から二つの三重項へのエネルギー損失を回避できるという利点がある。ただし、テトラセンを使用した SF は、370〜480 nm の範囲でのテトラセン誘導体の小さい吸光度と、強い三重項対再結合(三重項-三重項消滅)のため、まだほとんど報告例がない。本章では、CdTe QD 表面に 6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)テトラセン(Tc)分子を集積することにより、SF の理想的な複合システムの構築について検討した。フェムト秒過渡吸収(fsTA)測定の結果から、CdTe から表面 Tc への界面エネルギー移動に伴う SF が、179%の高い三重項収率で得られた。このような高い三重項エネルギー、高い三重項収率、および高い光吸収能をもつ複合 SF系の構築により、高効率太陽エネルギー変換が実現できると期待される。

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