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大学・研究所にある論文を検索できる 「Studies on interaction between light sensor protein PYP and its downstream protein PBP」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Studies on interaction between light sensor protein PYP and its downstream protein PBP

Kim, Suhyang 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23720

2022.03.23

概要

PYPは、紅色細菌Halorhodospira halophilaの走光性関連因子として発見された青色光受容タンパク質で、発色団として, クマル酸を結合している。PYPの光反応は、構造生物学、分子分光学的手法を用いて詳細に調べられている一方で、PYPの光反応に関するほとんどの研究では、安定で水溶性が高いHalorhodospira halophila由来のPYP(Hh-PYP)が扱われており、100種ほどの細菌が持つとされるPYPの光反応が生物種によってどう違っているかはほとんどわかっていない。また、PYPは光受容ドメインのみをもつシングルドメイン型のタンパク質であるため、PYPが受容した光情報は他のタンパク質との相互作用を通して伝達される。しかし、PYPと相互作用するタンパク質(下流タンパク質)は未だ一つも同定されていない。こうした背景から本研究では、紅色細菌Rhodobacter capsulatus由来のPYP(Rc-PYP)を研究対象とし、Rc-PYPの光反応および下流タンパク質との相互作用検出を行った。

 Rc-PYPを単離精製し、光反応ダイナミクスを調べた。Rc-PYPは紫外域と青色領域にそれぞれ吸収極大波長をもつため、TG法、過渡吸収分光法を用いて紫外光励起による光反応、青色光励起による光反応についてそれぞれ調べた。その結果、紫外光励起では構造変化を伴って暗回復に約1日を要する長舂命生成物が生成することがわかった。さらに驚くべきことに、この長秦命生成物は青色光によって直ちに暗状態へと戻すことができることが判明し、Rc-PYPがフォトクロミック分子であることがわかった。一方、青色光励起でも構造変化が起こったが、暗回復速度は非常に早く、従来のPYPの光反応とよく似ていた。これらの結果からRc-PYPの2つの光反応サイクルのスキームを得ることができた。

 Rc-PYPと同一オペロン上に位置する遺伝子がコードするタンパク質を下流タンパク質(PYP-binding protein, PBP)候補とし、Rc-PYPとの相互作用について調べた。PBPのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)から、PBPは溶液中で2量体をとることがわかった。さらにRc-PYPとPBPを混合したサンプルを用いて暗状態、紫外光照射、青色光照射時のSECを比較した。その結果、紫外光照射による複合体の形成、青色光照射による解離が観測され、Rc-PYP単独でみられたフォトクロミズムがPBP共存下でも保存されていることがわかった。また、紫外光照射によって生成するPYP-PBP複合体は、PBP2量体2つとRc-PYP単量体2つが会合したへテロ6量体であることがわかった。続いて紫外光励起、青色光励起によるTG信号をPBP共存下、非共存下で比較し、相互作用スキームを検討した。紫外光励起時、TG信号強度はPBP非共存下に比べPBP共存下で増大したため、Rc-PYPの構造変化に加え、相互作用による大きな拡散係数変化が示唆された。TG信号の解析から、紫外光励起によって生成する活性化型Rc-PYPがPBP2量体と相互作用し、過渡的なヘテロ3量体を形成したのち、ヘテロ3量体同士が会合してヘテロ6量体を形成することがわかった。一方、青色光励起ではPBP共存下、非共存下でTG信号の変化はなく、青色領域に吸収をもつ分子種はPBPと相互作用しないことがわかった。さらに、紫外光をあらかじめ照射して複合体を形成させたサンプルを青色光励起した際のTG信号の解析から、解離反応のスキームも決定した。従来PYPは青色を受容すると考えられてきたが、Rc-PYPは紫外光によってシグナル伝達を行う紫外光センサータンパク質であること判明し、光の波長で会合状態と解離状態が制御可能であることもわかった。

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