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大学・研究所にある論文を検索できる 「循環形質芽細胞と濾胞性T細胞亜分画は抗体陽性自己免疫性てんかんと関連する」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

循環形質芽細胞と濾胞性T細胞亜分画は抗体陽性自己免疫性てんかんと関連する

原, 敦 神戸大学

2023.03.25

概要

Kobe University Repository : Kernel
PDF issue: 2024-05-02

Circulating plasmablasts and follicular helper
T-cell subsets are associated with antibodypositive autoimmune epilepsy

原, 敦
(Degree)
博士(医学)

(Date of Degree)
2023-03-25

(Resource Type)
doctoral thesis

(Report Number)
甲第8601号

(URL)
https://hdl.handle.net/20.500.14094/0100482349
※ 当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。

(課程博士関係)

学位論文の内容要旨

Circulating plasmablasts and follicular helper T-cell subsets are
associated with antibody-positive autoimmune epilepsy

循環形質芽細胞と濾胞性 T 細胞亜分画は抗体陽性自己免疫性てんかんと関連する

神戸大学大学院医学研究科医科学専攻
脳 神 経

内 科 学

(指導教員:松本
原 敦

理器教授)

<序論>
てんかんは脳の慢性疾患で,
世界人口の 0.5~1.0%が罹患する.てんかんの病因は多岐にわたり,
今なお原因不明である場合もある.原因不明のてんかんの一部には抗てんかん薬に治療抵抗性で
免疫療法により発作が抑制される病型がみられ,自己免疫性てんかんと呼ばれるようになった.
自己免疫性てんかんは抗 N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体抗体脳炎といった自己免疫性脳炎
の亜型としての側面もあり,診断には Cell-based assay 法を用いた抗神経抗体の測定が有効であ
る.しかし抗体の解析には時間と費用がかかり特に本邦では診断と治療が遅れる傾向にある.抗
神経抗体の測定に依存しない包括的な自己免疫性脳炎の診断基準案を 2016 年に Graus らが提唱
し,自己免疫性てんかんに対しても広く用いられているが,非炎症性の難治てんかんも診断基準
に含まれてしまうことが問題である.これまで,自己免疫性てんかんにおける抗神経抗体の予測
因子や,抗体陽性自己免疫性てんかんにおける免疫学的背景についてはあまり知られていなかっ
た.
抗神経抗体を含む自己抗体は,濾胞性 T 細胞の Inducible T-cell co-stimulator(ICOS)などを介
したサポートを受け B 細胞が分化した形質芽細胞(plasmablasts: PBs)や long-lived plasma cell
に よ っ て 産 生 さ れ る . リ ン パ 組 織 の 濾 胞 性 T 細 胞 と 末 梢 血 単 核 細 胞 (peripheral blood
mononuclear cells: PBMCs)中の循環濾胞性 T 細胞(circulating follicular helper T cells: cTfh)の
間にはかなりのクローン重複がある.cTfh の亜分画のうち,CXCR3-CCR6+で定義される cTfh17,
CXCR3-CCR6-で定義される cTfh2 は B 細胞へ IgG 産生を促すことが知られている.近年,いく
つかの自己抗体の関連する自己免疫性疾患で疾患活動期に PBMCs における PBs の上昇や cTfh
の cTfh17 ないし cTfh2 への亜分画偏倚が報告されている.そこで我々は Graus らの診断基準案
を満たした自己免疫性てんかんの疑いのある患者 23 人を対象に,包括的な抗体解析および血液と
髄液における B 細胞と cTfh のリンパ球表現型解析を行った.抗体陽性群と陰性群間で臨床情報
を比較し,疾患活動期における抗体陽性自己免疫性てんかんの診断バイオマーカーについて考察
した.
<方法>
当院および神戸市立医療センター中央市民病院,兵庫県立尼崎総合医療センターを受診し,以下
の条件を満たす患者検体を解析した.1)1 度でもけいれん発作を起こし,自己免疫性てんかんを鑑
別するための臨床検査
(髄液検査,
頭部 MRI 画像検査など)が行われている,
2)Graus らの possible
autoimmune encephalitis の診断基準案を満たす,3)髄液ないし血清で既知の抗神経抗体の測定
を受けている,4)ステロイド内服治療または免疫抑制療法を受けていない.以上を満たす,自己免
疫性てんかんが疑われた 23 名を対象とした.NMDA 受容体,leucine-rich glioma-inactivated
protein 1(LGI1),myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)を標的とする抗神経抗体を測定
し,抗体陽性自己免疫性てんかん群(antibody-positive autoimmune epilepsy: AE/Ab(+))と抗体が
陰性で自己免疫性てんかんが疑われた群(antibody-negative suspected autoimmune epilepsy:
AE/Ab(-))に分類した.AE/Ab(-)はラット脳を用いた免疫組織化学染色で抗神経抗体が陰性であっ
たものと定義した.MRI,脳波,髄液検査といった一般臨床検査に加え,フローサイトメトリーを

用いて末梢血及び髄液の B 細胞と cTfh のリンパ球表現型解析を行った.また,Immunoassay 法
を用いて血清と髄液における炎症性サイトカインも測定し,各群間で比較した.末梢血のリンパ
球表現型解析においては健常人(HC)11 例も加え各群で比較した.
データ解析は適宜 unpaired t-test,Mann-Whitney U test,Spearman 順位相関係数を用いて
算出した.
<結果>
AE/Ab(+)は 13 例(57%),AE/Ab(-)は 10 例(43%)であった.AE/Ab(+)の内訳は NMDA 受容体
抗体 5 例(38%),LGI 抗体 4 例(31%),MOG 抗体 4 例(31%)であった.MOG 抗体関連疾患の患者
は全て皮質脳炎を来していた.AE/Ab(+)と AE/Ab(-)において年齢・性別・一般髄液検査・脳波・
MRI・腫瘍の合併率に差はなかった.
そこで,抗体産生に関わる B 細胞の表現型についてフローサイトメトリーを用いて解析した.
AE/Ab(+)の PBMCs では AE/Ab(-)と HC と比較し PBs が上昇していた(p=0.010, p=0.029).
AE/Ab(+)の中でも NMDA 受容体抗体と LGI1 抗体陽性群を合わせた細胞表面抗原に対する抗体
陽性群において特に PBs が上昇していた(p=0.023, p=0.0181).さらに,AE/Ab(+)では AE/Ab(-)
と比べて髄液中の B 細胞と PBs が上昇していた(p=0.029, p=0.001).他の B 細胞亜分画である
naïve B 細胞,unswitched memory B 細胞(USM), switched memory B 細胞 double negative B
細胞の割合は各群間で差がなかった.
次に,B 細胞分化の背景にある濾胞性 T 細胞の表現型について,PBMCs における cTfh 亜分画
とその ICOS 発現率を解析した.cTfh は各群間で差がなかった.一方,cTfh の ICOS 発現率が
AE/Ab(+)において AE/Ab(-)と HC と比較し高かった(p=0.022, p=0.001).
cTfh の亜分画解析では,
AE/Ab(+)において cTfh17 への移行率が AE/Ab(-)と HC と比較し高く(p= 0.008, p=0.006),ICOS
発現 cTfh における cTfh17 への移行率は AE/Ab(+)において他 2 群と比較し高かった(p= 0.0006,
p=0.014).
さらに,AE/Ab(+)のリンパ球表現型解析と臨床情報を比較した.すると AE/Ab(+)の PBMCs 中
の PBs と入院時の modified Rankin Scale の間に正の相関が見られた(r=0.67).また,AE/Ab(+)
における NMDA 受容体抗体と LGI1 抗体陽性を合わせた群で,B 細胞のうち USM と cTfh のう
ち ICOS 発現 cTfh17 が正の相関が見られた(r=0.93).
最後に,AE/Ab(+)と AE/Ab(-)の血清・髄液における炎症性サイトカインの測定を行った.
AE/Ab(+)は血清の IL-6・IL-23・IL-17A・IL-12p70・IFNγが上昇し,髄液中では IL-6・IL-17A
が上昇した.
<考察>
抗神経抗体の測定が常に可能とは限らないため,抗体解析に依存せず自己免疫性てんかんを診
断する努力がなされている.治療可能な疾患の見逃しを避けるにはより包括的な解析が必要であ
る.本研究において AE/Ab(+)は自己抗体を有する真の自己免疫病態を背景とするが,AE/Ab(-)の
中には包括的な診断基準により抽出された非免疫性の難治てんかんが含まれることに注意が必要
である.今回の研究では,既報と同じく AE/Ab(+)と AE/Ab(-)を一般臨床検査で鑑別することは困

難であり,臨床現場における自己免疫性てんかん患者の診断の困難さが浮き彫りとなった.しか
しながら,より詳細な検討によって AE/Ab(+)では抗体産生に促すような免疫細胞とサイトカイン
の変化が見られ,自己免疫性てんかんの免疫背景を反映した診断バイオマーカー候補を明らかに
した.
AE/Ab(+)は AE/Ab(-),HC と比較し PBMCs と髄液中の PBs が上昇しており,AE/Ab(+)にお
ける PBMCs の PBs は入院時の重症度と相関していた. PBs の上昇は同じ自己抗体をもつ自己
免疫性疾患である IgG4 関連疾患や全身性エリテマトーデス,中枢神経の自己抗体が関連する中
枢性自己免疫性疾患の視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の疾患活動期にみられる.特に
NMOSD においては PBMCs, 髄液中ともに PBs が上昇し,病原性抗体を産生する.自己免疫性
脳炎では抗 NMDA 受容体抗体脳炎では少数例ながら PBMCs における PBs の上昇が報告されて
いる.今回の結果から,AE/Ab(+)の PBMCs における PBs の上昇が自己抗体介在疾患であること
を推定し,さらに疾患の病勢に関連する可能性が示唆された.
次に,AE/Ab(+)の cTfh が ICOS を強く発現し,cTfh17 に偏倚していることを示した.cTfh に
おける ICOS の発現上昇や cTfh17 への偏倚は重症筋無力症などの自己抗体が関連する自己免疫
性疾患で報告されており,ほかの自己抗体介在疾患と同様の免疫背景を共有している可能性が示
唆された.
また,NMDA 受容体抗体と LGI1 抗体が陽性の症例群における B 細胞亜分画のうち USM と
cTfh 中の ICOS 発現 cTfh17 とが相関していることを示した.USM は胚中心に存在する B 細胞
亜分画で,Tfh を介した PBs へ早期に分化する機能を持つ可能性を持つ.末梢血における USM
の上昇が,SARS-CoV2 に対する IgG1/IgM 反応と関連し,COVID-19 の回復が早まることが報告
され,さらに免疫チェックポイント阻害剤による治療によく反応する癌患者では cTfh と USM が
上昇することが報告されている.感染症やがんにおけるこのような免疫反応は,NMDA 受容体抗
体と LGI1 抗体が陽性の症例群の自己免疫反応における USM と cTfh の関連性を示唆する可能性
がある.
AE/Ab(+)では血清中 IL-12p70,IL-23,IL-6,IL-17A,IFN-g と髄液中 IL-6,IL-17A 濃度が
上昇していることを見出した.IL-17 は抗 NMDA 受容体抗体脳炎の髄液中で上昇することが知ら
れており,Th17 のみでなく Tfh17 によっても産生される炎症性サイトカインである.tight
junction 分子をダウンレギュレートし血液脳関門を白血球が通過するのを促進する.また,IL-6
は B 細胞の分化を誘導し,形質細胞の生存を促し抗体分泌を促進する.また,血清で上昇した IL12 と IL-23 はそれぞれ STAT4 と STAT3 を活性化し Tfh 系への T 細胞分化を促進する機能を持
ち,cTfh の亜分画変化を誘導した可能性がある.我々の AE/Ab(+)においてはサイトカインレベル
が不均一であり,これは自己免疫性てんかんの疾患活動期における複雑な免疫反応を反映してい
る可能性がある.
Dalmau らは自己免疫性脳炎の病態として,naïve B 細胞が中枢神経系以外の局所リンパ節で神
経系抗原を経験し,Tfh などの経路で memory B 細胞に分化し,中枢神経系に移動して,最終的
に抗体産生細胞に分化する,との仮説を提唱している.我々の結果はこの仮説を支持し,髄液での

PBs の上昇を捉えた.さらに AE/Ab(+)では末梢リンパ組織における cTfh17 偏倚と PBs 分化経路
が促進している可能性を示し,末梢組織における病態に関連した B 細胞分化機構を明らかにした.
<結語>
本研究で,我々は自己抗体をもつ自己免疫性てんかんの末梢血における B 細胞および cTfh の
亜分画が抗体産生を促す変化を来していることを示した.特に PBMCs における PBs の上昇と
ICOS 発現 cTfh17 への偏倚は抗体陽性自己免疫性てんかんの新たな診断・治療指標となる可能性
がある.

神戸大学大学院医学(系)研究科(博士課程)
言合瓦文こ弔皆ゴ臣クつ糸吉長艮クつ蚕巨旨i

受 付 番号

論文題目

甲 第 3266号

氏 名

原敦

C
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循環形質芽細胞と濾胞性 T細胞亜分画は抗体陽性
自己免疫性てんかんと関連する
主 査
審査委員

E
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C
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副 査

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副 査

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(要旨は 1,000字 ∼ 2,000字程度)

託ら虎月



急碍

素稔 鱈 記

<序論>
自己免疫性てんかんは抗てんかん薬に治療抵抗性で免疫療法により発作が抑制される中枢
l-baseda
s
s
a
y法を用いた抗神経抗体の測定が有効で
神経系の炎症性疾患である。診断には Ce

あるが、抗体の解析には時間と費用がかかり特に本邦では診断と治療が遅れる傾向にある。抗神
経抗体の測定に依存しない包括的な診断基準案を 2016年に Grausらが提唱し汎用されている
が、非炎症性の難治てんかんも診断基準に含まれてしまい不十分である。これまで、抗体陽性自
己免疫性てんかんにおける免疫学的背景についてはあまり知られていなかった。
n
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c
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r(ICOS)などを
抗神経抗体を含む自己抗体は、濾胞性 T細胞の I
p
l
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bl
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s
t
s:PBs)などによって産生される。リンパ組織の濾
介して B細胞が分化した形質芽細胞 (
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rT c
el
s:c
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h
)の間
胞 性 T細胞は末梢血における循環濾胞性 T細 胞(
T
f
hの亜分画のうち、 CXCR3-CCR6
+で定義される c
T
f
h
l7は B
にはかなりのクローン重複がある。c

細胞へ I
gG産生を促すことが知られている。
a
u
sらの診断基準案を満たした自己免疫性てんかんの疑いのある患者 23人を対象
我々は Gr

に、包括的な抗体解析および血液と髄液における B細胞と cTfhのリンパ球表現型解析を行った。
抗体陽性群と陰性群間で臨床情報を比較し、疾患活動期における抗体陽性自己免疫性てんか
んの診断バイオマーカーについて考察した。

く方法>
当院および関連施設を受診し、以下の条件を満たす患者検体を解析した。1
)
1度でもけいれん
を起こし、自己免疫性てんかんを鑑別する十分な臨床検査(髄液検査、頭部 MRI 画像検査など)
o
s
s
i
b
l
eautoimmuneenceph
a
l
i
t
isの診断基準案を満たす、 3
)髄液な
がなされている、 2)Grausらの p

)ステロイド内服治療または免疫抑制療法を
いし血清で既知の抗神経抗体の測定を受けている、 4
受 け て い な い 。 以 上 を 満 た す 、 自 己 免 疫 性 て ん か ん が 疑 わ れ た 23 名を対象とした。
N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体、 l
euc
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n(MOG)を標的とする抗神経抗体を測定し、抗体陽性自己免疫性て

んかん (
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eautoimmunee
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epsy:AE/
Ab(
+))群と抗体が陰性で自己免疫性てんか
a
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d autoimmune e
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p
s
y
: AE/
Ab())群に分類した。一
んが疑われた (
T
f
hのリンパ球表現型解析と、 I
mmunoassay法
般臨床検査に加え、末梢血及び髄液の B細胞と c

HC
)
l
l例も
を用いて炎症性サイトカインを測定し、各群間で比較した。末梢血においては健常人 (
加え各群で比較した。

く結果 >
AE/Ab(+)
は 1
3例 (
5
7
%

) AE/Ab(-)
は 1
0例 (
4
3
%

であった。 AE/A
b
(
)の内訳は

NMDA 受容体
3
8
%

) LGil抗 体 4例 (
31
%

) MOG抗 体 4例 (
31
%)であった。 MOG抗体関連疾患の患者
抗体 5例 (
は全て皮質脳炎を来していた。 AE/Ab(+)と AE/Ab(-)における脳波 • MRI• 一般髄液検査に差はな

かった。

B細胞の亜分画解析では、末梢血と髄液における PBsの割合が AE/Ab(


で AE/Ab(、
) HCと

比較し上昇していた (
p<
0
.
0
5
)。他の B細胞亜分画である n
a
i
v
eB細胞、 u
n
s
w
i
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c
h
e
dmemoryB細
胞 (USM)、 switchedmemoryB細胞、 doublen
e
g
a
t
i
v
eB細胞の割合は各群間で差がなかった。
cTfhの解析では、 c
T
f
hの ICOS発現率、 c
T
f
hl
7への移行率、 ICOS発現 c
T
f
h
l7への移行率が
AE/Ab(
+)において他 2群と比較し高かった (
p<
0.
0
5
)
AE/Ab(
+)のリンパ球表現型解析と重症度の比較では、 AE/Ab(+)の末梢血中の PBs と入院時

のm
o
d
i
f
i
e
dRankinSca
l
eの間に正の相関を示した (
r
=
0.
6
7
)
。また、 NMDA受容体抗体と LGi
l抗体
陽性群を合わせた群で USMとICOS発現 cTfhl7が正の相関を示した (
r
=
0
.
9
3
)。
L
6
・I
L
-23・
I
L-17A・
血清と髄液における炎症性サイトカインの比較では、 AE/Ab(+)は血清の I
I
L
12p70・
IFNyが上昇し、髄液中では I
L
-6• I
L-1
7
A が上昇した (
p<
0
.
0
5)


く考察>
抗神経抗体の測定が常に可能とは限らないため、抗体解析に依存せず自己免疫性てんかん

と AE/Ab(-)
を一般臨床
を診断する努力がなされている。今回の研究では、既報と同じく AE/Ab(+
検査で鑑別することは困難であり、臨床現場における自己免疫性てんかん患者の診断の困難さ
が浮き彫りとなった。しかしながら、より詳細な検討によって AE/Ab(+)では末梢血を中心に PBsの
上昇や cTfhl7 への偏倍といった抗体産生を促すような免疫細胞、サイトカインの変化が見られ、
自己免疫性てんかんの免疫背景を反映した診断バイオマーカー候補を明らかにした。さらに cTfh
とB細胞亜分画間の関連性と、 PBsと重症度の相関を示した。PBsの上昇や cTfhl7への偏伶は
自己抗体を持つ自 己免疫性疾患である視神経脊髄炎スペクトラム障害や重症筋無力症などで報
告されており、自己抗体介在疾患としての免疫背景を共有している可能性が示唆された。
Dalmauらは自 己免疫性脳炎の病態として、 na
i
'
v
eB 細胞が中枢神経系以外の局所リンパ節で

神経系抗原を経験し、 Tfhなどの経路で memoryB細胞に分化し、中枢神経系に移動して、最終
的に抗体産生細胞に分化する、との仮説を提唱している。我々の結果はこの仮説を支持し、髄液
での PBsの上昇を捉えた。さらに AE/Ab(+)では末梢リンパ組織における cTfhl7偏倍と PBs分化
経路が促進している可能性を示し、末梢組織における病態に関連した B細胞分化機構の一端を
明らかにした。
く結 語 >
本研究で、我々は抗体陽性自己免疫性てんかんの末梢血における B細胞および cTfhの亜分
画が抗体産生を促す変化を来していることを示した。特に末梢血における PBsの上昇と ICOS発
現 cTfhl7への偏倍は抗体陽性自己免疫性てんかんの新たな診断・治療指標となる可能性がある
という点で価値ある業績である。
よって、本研究者は、博士(医学)の学位を得る資格があると認める。

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